VINTAGE ROCK × チケットぴあ presents FUTURE RESERVE vol.3 a flood of circle × the dadadadys @LIQUIDROOM 11/1
- 2022/11/02
- 18:51
イベンターのVINTAGE ROCKとチケットぴあがガッツリタッグを組んだライブハウスでの対バンイベント。今回のvol.3はa flood of circleとthe dadadadysの対バンという、ライブのタイトルほどに若手という感じではない2組だが、この自分が愛する2組の対バンを企画してくれたVINTAGE ROCKとチケットぴあの担当者には感謝しかない。それくらいに自分のためかのようなライブである。
会場のリキッドルームに到着したのが19時前だったため、18時30分からスタートのこの日のオープニングアクトである鉄風東京はすでに始まっていた。というか最後の1曲だった。
ギター、ベース、ドラムを思いっきり鳴らし、何を歌っているかわからないくらいに衝動を込めて歌う、そんなロックンロールバンド。それはこの日の2組の前に出てくるバンドである理由しか鳴っていない。その2組を好きな人がこれから先もロックンロールに夢を見続けることができるバンド。たった1曲だけでもそれが伝わってきた。それだけに早急にちゃんとライブを見なければいけないバンドだと思った。
・a flood of circle
1週間前に横浜F.A.Dでライブを見たばかりのフラッド。その日も1週間ぶりのフラッドのライブだっただけに、毎週フラッドのライブという期間になっている。自分にとってはそれくらいにライブを見まくりたいバンドということである。
おなじみのSEでメンバーが登場すると、佐々木亮介(ボーカル&ギター)はこの日は新アー写で着用している黄色い革ジャンに登場からすでにお茶割りを飲んでいる。他のメンバーが黒を基調とした出で立ちであるだけにその黄色の鮮やかさが実に目立つ中、
「おはようございます。a flood of circleです」
と挨拶すると、赤い照明がステージに注がれる中でHISAYOのベースが鳴らされる「Blood Red Shoes」でスタートするのであるが、曲中に青木テツ(ギター)の元にすぐさまスタッフたちが駆け寄ってくる。なんといきなりのアクシデントによって音が出なくなってしまい、急いでアンプを取り替えたりして対応する。そうしてテツとスタッフがアンプの周りに集まっている中でも何にも気にすることがないというくらいに普通に演奏を続けるメンバーの姿がシュール極まりないが、音が出るようになったのが最後のサビ中だったために、そのサビ入り前のキュルルルルルというテツのギターが鳴らずにサビに突入していくのは数え切れないくらいに聴いてきたこの曲でもはじめてのことである。そうしてギターが鳴らなかったからゆえか、渡邊一丘のドラムがその音の隙間をカバーするかのようにより力強く鳴る。それは無意識下での他のメンバーをカバーしようという動きだったのかもしれない。
先週のライブで実に久しぶりに演奏され、イントロを聴いた時には思わず「この曲なんだっけ?」とすら思ってしまった「美しい悪夢」がこうして対バンライブの持ち時間であってもまた演奏されるというのは、リリースから4年ほど経った今、この曲のバンドにおける立ち位置が変わってきている感じがする。先週は対バンのcinema staffの飯田のメンバーの呼び方に準じていた、ソロ回しでの亮介のメンバー紹介は通常のものになっていたが、直前にテツのギターの音が出なくなってしまったのもまた、今夜はビューティフル・ナイトメアということだろうか。
渡邊がポカポカとカウベルを叩くイントロで亮介が右手にマイク、左手にお茶割りというゴールデンコンビネーションになるのは「狂乱天国」であり、亮介は
「今日何しに来たの!ロックンロールでしょ!」
と叫んでからステージを歩き回りながら歌う。
「ダブルピースで」
というフレーズでは客席に向かって亮介がダブルピースをするのであるが、マイクだけならずお茶割りでも手が塞がっている中でもしっかりダブルピースできるのはさすがだし、そのフレーズ部分だけは観客も両手でピースする形で腕を伸ばす。ハンドマイク曲の中でもロックンロールでありながらもフラッドの、というか亮介の持つ可愛らしい部分を感じさせてくれる曲である。
渡邊が今度はタムなどを連打すると、その音が強くなる中で亮介は
「みんな今日本当に良く来たね。お目が高い。今日はめちゃくちゃ踊りやすそうじゃん(笑)」
と平日に恵比寿までライブを観に来てしまう観客のことを称えるのだが、踊りやすそうというのはスペースが広く空いてる=人が少ないということでもあるのだが、亮介がそう言うことによって空いていることをポジティブに捉えさせてくれるのは、イントロのテツのギターのフレーズからしてアンセム感しかない「New Tribe」。毎回演奏されるような曲ではないからこそ、様々なライブを経てきた上で聴くこの曲は我々を今日この場所から何度でも生まれ変わらせてくれる。それはもちろん
「生まれ変わるのさ 今日ここで変わるのさ」
というフレーズを歌う亮介の声に、前に進もうと思わせてくれるような希望を強く感じられるからだ。それがどんなに人が少なくてもこの日のライブを最高なものにしてくれる。いや、人数がどうだろうと関係ないのだ。こうしてフラッドがロックンロールを目の前で鳴らしてくれればそれだけでその日は最高になるのだ。
そんな亮介がアコギに持ち替えると、
「今日、会場着いて準備し終わってから本番まで時間あったから歌詞書こうと思って。俺が入れるような喫茶店あるかな〜って思いながらその辺を歩いてたんだけど、全席喫煙の喫茶店のメニュー見たら、ハヤシライス1700円って書いてあって。ああ、やっぱり俺は恵比寿が似合わないんだなぁって思った(笑)
結局公園に行って歌詞を書いたら、ダメなんだよ?ダメなんだけど、タバコ吸ってる高校生がいて。やっぱり恵比寿が似合わないんだなっていうか、むしろ恵比寿が俺に合わせに来い、寄せて来いって感じで。みんなもそうでしょ?今日出てる3組みんな恵比寿が似合わないから(笑)それでもこうやって来てくれるみんなの可能性に」
と、これまでも何度もこの会場でライブをやっているのに未だに恵比寿にしっくり来ていないという話をする。確かに恵比寿にある店なんかはこの日の出演者やそのファンが行くようなところではないだろう。(行くとしたら恵比寿横丁くらい?)
そう思える感覚があるからこそ、このバンドたちが好きなのかもしれないと思いながら演奏されたのは「花火を見に行こう」。もうすっかり夏は過ぎ去ったけれども、それでもこの曲はデカい花火を打ち上げてくれる。薄暗いライブハウスのステージだからこそ、自分の頭の中ではメンバーの背後で花火が上がっているような感覚になる。できることなら、フラッドにもっと盛大な花火を打ち上げて欲しいと思う。
その「花火を見に行こう」も今年リリースした曲であるが、さらなる新曲として2週間前の代々木公園でのフリーライブでお披露目されたのがタイトル通りのダンス・パーティーチューンの「Party Monster Bop」で、亮介はギターを最初はブラックファルコンを手にするのだがすぐにホワイトに変え、
「打席に立たないホームランなんかあるわけない」
という歌詞なんかは「美しい悪夢」の「逆転満塁ホームラン」に通じるものも感じさせるが、シンプルに曲に合わせて体を揺らし踊るためのロックンロールという意味では「花火を見に行こう」と真逆のタイプの曲であり、その振れ幅が来るべき来年のニューアルバムへの期待を高まらせてくれる。
そしてテツが空気を一閃するように煌めくギターを鳴らすのは「北極星のメロディー」。今ではもう毎回のようにライブで演奏されている曲なわけで、この日の客席にもいた、いつもフラッドのライブにいる人たちはすでに数え切れないくらいにこの曲をライブで聴いているはず。それでも何度聴いてもこのイントロが鳴らされるたびに腕が上がる。それはこの曲がフラッドのロックンロールの煌めきをこれ以上ないくらいに感じさせてくれる曲だからだ。今でも新曲として公開された時の「また素晴らしいアンセムが来た!」と思った感情やファンの盛り上がりもよく覚えている。
そのままメンバーが渡邊のドラムを中心に向き合うようにイントロを鳴らす…かと思いきや、亮介はギターを持ったまま一度袖の方へ行く。最初はお茶割りのおかわりをもらいに行くのかとも思ったが、結局何も持たずにすぐに戻ってきただけにあれは何だったんだろうと思ってしまうのだが、とはいえやはりこの日もそうしてメンバーが向き合うようにしてイントロを鳴らす「プシケ」からクライマックスへ突入していく。人が少ないからか、手拍子もいつも以上に揃っていた感じがする(いつもより音が小さかったからかもしれないが)メンバー紹介でそれぞれが音を鳴らす際に当たるピンスポットが本当にカッコいいのだが、
「FUTURE RESERVE」
というこの日のライブタイトルの亮介の発音があまりにも良すぎて驚いてしまった。日付や場所によって毎回変わるこの曲がそんなところまで変わるとは、とも思うけれど、その後に亮介がバンド名を叫ぶことで感じる圧倒的なカタルシスは変わることがない。
そしてこの日もその「プシケ」から繋がるラストは亮介が
「もう一回聞くけど、今日何しに来たの!ロックンロールでしょ!俺たちとあんたたちの明日に捧げる!」
と言って演奏された「シーガル」で、スペースが広く空いているだけに観客も思いっきり高く飛び上がるのであるが、やはりこの曲はこうしていろんな曲が演奏されて、バンドのグルーヴも観客のグルーヴも高まっている中で演奏されるからこそ最高な曲だと思うし、こうしてど平日、しかも1ヶ月の始まりの日にこの曲を聴くからこそ、やってくる明日に手を伸ばそうと思える。それは明日からもこうして生きていく力をくれるということである。
亮介も「ラスト」と言っていたし、完全に「シーガル」で終わりかと思っていたのだが、亮介はアウトロからそのまま「Honey Moon Song」を歌い始める。渡邊もHISAYOも笑っていた表情を見ると完全に急遽追加したことがわかるのであるが、亮介は1コーラス目では下手のステージ前にマイクスタンドを動かして観客の近くで歌い、2コーラス目では上手側に同じように動かすと、思いっきり感情を込めるような強さで歌う。その歌い方でこの曲のフレーズを歌うからこそ、亮介が今でもまだ何も諦めていないということが伝わってくる。そんなバンドを我々も信じているからこそ、これからも涙こぼれるまで笑わせてくれ、と思うのだ。
3週間も連続でライブを見ても決して飽きることがない。それどころか次はいつ見れるだろうか?とライブ予定を探してしまう。そうなってしまうのはやはりフラッドのライブが毎回平均点どころか100点を超えるようなものだからだ。ただその100点の超え方のベクトルは対バンや客席や状況や場所によって少し変わってくる。この日の超え方はどんなものだったかというと、ひたすらストレートにカッコいいロックンロールバンドであったということに尽きるんじゃないだろうか。
1.Blood Red Shoes
2.美しい悪夢
3.狂乱天国
4.New Tribe
5.花火を見に行こう
6.Party Monster Bop
7.北極星のメロディー
8.プシケ
9.シーガル
10.Honey Moon Song
・the dadadadys
ライブが始まる前はキャリア的にフラッドがトリかとも思っていたのだが、この日のトリはthe dadadadys。説明不用かとは思うが、自分が何度もライブレポを書いてきたtetoがメンバー脱退によって小池貞利(ボーカル&ギター)と佐藤健一郎(ベース)というバンドを続けようとした2人が、元THE 2のyucco(ドラム)とギタリストの山岡錬を加えたのがこのバンドである。
サポートギターにはおなじみのヨウヘイギマ(ex.ヤングオオハラ)も参加する中、ステージに最後に現れた小池は長い金髪をちょんまげのように結いてサングラスをかけているという、なんならモデルのような出で立ちであるのだが、思いっきりArctic MonkeysというかThe Mirrazな重いリフ主体のロックンロール「超々超絶絶頂絶好最高潮」でギターを弾きながら痙攣するかのような激しいアクションを取りながら歌う姿はモデルなんかではなくてロックンローラー小池貞利そのものでしかない。結局曲中にギターを下ろしてハンドマイクで駄々をこねる子供のようにステージを暴れまわりながら歌う姿も含めて、タイトル通りに絶好調にして最高潮である。
小池がまたすぐにギターを持つと、yuccoのエイトビートのリズムを中心にセッション的なインストの演奏が始まるのであるが、そのサウンドはどこかで聴いたことがあるな…と思ったらそれはtetoの「トリーバーチの靴」の間奏をアレンジして長いイントロにしたものであり、いきなりのteto時代の名曲によって観客はより一層飛び跳ねまくるのであるが、より押し引きを強くしたアレンジはあの4人のtetoではなくてこのメンバーでのthe dadadadysだからこそである。でないとtetoの曲を演奏する意味もないのだと思うが、小池は
「私を染めていく」
というフレーズの後に
「この薄汚れた東京に染まっていっちゃうんだよ!」
と追加していたのはフラッドの亮介の「恵比寿が似合わないバンド」という言葉に引っ張られたものなのかもしれないとも思う。
「ツイストで踊れ!」
と小池が言って演奏されたのはまさにツイスト的なリズムとサウンドで、誰よりも小池が踊りまくる「しぇけなべいべー」であるが、俺たちならどんな場所でもロックできるという意思を歌った曲だ。佐藤だけではなくギマもコーラスをするあたりが今のdadadadysのバンド感をさらに強く感じさせる。
さらには「青二才」と、4月にリリースされたこのバンドとしてのデビュー作と言っていいミニアルバム「Do Wah dadadady」の収録曲が続くのだが、「トリーバーチの靴」以外の曲がそのミニアルバムに収録されていることからもサウンドの振れ幅がよくわかる。しかしこうしてライブという場で小池が暴れるようにして歌うことによって、どの曲も衝動溢れるロックンロールになるというのは変わらない小池らしさである。
山岡が空間的なサウンドを、ギマが歪んだサウンドをという両極端なギターの音が鳴る、「くない」や「手裏剣」というそれらしいワードが小池特有の早口ボーカルで歌われる「にんにんにんじゃ」からはまだ音源としてはリリースされていない曲も演奏されていく。
「超絶カッティングと超絶早口のどっちが早いか勝負だ!」
と山岡に挑戦状を叩きつけるように演奏された「k.a.i.k.a.n」ではその言葉通りに小池のもはやなんて歌ってるか聴き取れないレベルの早口と山岡の激しいカッティングの応酬となるのだが、そうして暴れるようにして「快感」と歌う小池がやはり1番気持ち良さそうだ。「にんにんにんじゃ」ではyuccoがパッドを叩いてもいたけれど、この曲の中で鳴るドリルのような音は誰がどう鳴らしていたのか、あるいは同期の音だったりするのか。いずれにせよこのバンドが表面的に暴れているのはいつの間にかTシャツ姿になって髪を結くのもやめていた小池だが、音としては全員が思うがままに、でも統一感を持って暴れているというのがよくわかる。
そんな中で小池が
「the dadadadysで1番新しい曲」
と言って演奏された「らぶりありてぃ」は削ぎ落とされた、ここまでの轟音や爆音とは全く異なる、小池の歌唱も含めてヒップホップと言えるような曲。重力に支配されずに恋をしよう的なメッセージも含んでいるような感じがしたが、その単語や言語の言い回しが実に面白く秀逸なバンドだからこそ、早く歌詞を見ながら聴きたくなる。曲後半にはやはり一気にロックバンド的にアップリフティングなサウンドへと変化していくという構成も実にこのバンドらしいものである。
そして小池は自分たちがバンド名やメンバー、つまりは形は変わりながらも、
「a flood of circleは5年前にツアーの福岡に俺たちを呼んでくれたことがあって。だからその時以来。
鉄風東京ははじめましてだけど、彼らも5年くらい前に中学生の頃に俺たちのライブを見に来ていたって言ってくれて。
形が変わっても巡り巡ってこうやってまた会える。それは今日出たバンドたちもそうだし、今日来てくれたお客さんだってきっとまたどこかで会うことができるって思ってる」
と、こうしてフラッドと鉄風東京と再会できたことを語る。その語り口はさっきまで暴れまくっていた人のものとは思えないくらいに穏やかなものであるが、tetoからこのthe dadadadysに至るまで、小池の音楽の根底には人間としての慈愛や温もりのようなものが確かにある。それは小池の歌詞が人間のことばかりを歌ってきたものだからそう感じることができるのだが、その人間としての感情があるというか溢れまくっている音楽だからこそ、自分は小池の作る音楽が好きなんだろうと思う。
そんな小池の愛情をthe dadadadysとして感じさせる曲がミニアルバムの最後に収録されている「恋」だ。
「知らないけどさ 会ったことすらないけどさ」
と言いながら、自分の理想のイメージをこれでもかというくらいに言葉を尽くして投影する美しくも危ういラブソング。それを小池はギターを弾きながら、しっかり届けるように歌う。それはこの前のMCによって
「そこは問題じゃない、ただヤバい
君がどこかで生きていることが」
というフレーズがこうしてライブに来る観客のことであるかのようにも響いているし、そう感じられる人間の優しさがこの曲からも確かに滲み出ている。
そんなdadadadysが最後に演奏したのはこのバンドの始まりの曲とも言える(tetoの時から小池は弾き語りでこの曲をやっていた)「ROSSOMAN」で、疾走するバンドサウンドに合わせて小池もやはりステージ上でもんどり打つかのように飛び跳ねまくり、
「金曜日、泣いた女子見て
泣き顔にグッと発情する」
のフレーズを「オナニーする」というこれ以上ないくらいにストレートなものに変えて歌う。本当はレコーディングでもそういう歌詞で歌いたいのだろうなと思うし、その迸るような衝動は全く失われることはない。それは小池の持つロマンチックさも、我々観客側のライブを見ている時の熱狂も。
「We are the da da The dadadadys
そりゃ白線たまにゃー超えちゃいます
それでも地獄でも天国でも
ギリギリのまま生きる」
という曲の締めのフレーズが全てを言い当てている。これがthe dadadadysだった。アンコールを求める観客が手拍子を続けても、これが今日の全てだったと言わんばかりに出てこなかった潔さも含めて。
今年、the dadadadysになってから最初のライブを見た時(まだその時は山岡は参加しておらず、Helsinki Lambda Clubの熊谷がサポートギターで参加するというtetoのメンバー脱退後のツアーの延長的な形だった)はtetoの曲を結構演奏していた。でもそのライブで披露されていた新曲(それはこの日演奏されたものもある)を演奏する姿を見て、これはきっとこれからもっとこのバンドで生み出していく曲たちを演奏するようになるんだろうなと思った。
もちろんtetoの曲を愛してきたものとしてはtetoの曲を今でも聴きたいし、この日「トリーバーチの靴」を聴いて、やっぱり素晴らしい曲を生み出してきたバンドだよなと改めて思った。でもその曲たちはこのメンバーで生み出したものではないからこそ、今のこのdadadadysのメンバーたちで生み出した曲をもっとやりたいんだろうし、それこそがバンドが前に進んでいる証明になる。だからこそtetoの曲をやるのは口には出さないけれど、小池なりのファンへのサービス的な部分もあるんじゃないかと思っている。
その曲たちを超えるというハードルはめちゃくちゃ高い。それは我々以上に小池と佐藤、メンバー脱退後にバンドを支えたyuccoの方が良くわかっているはずだが、だからこそモチベーションになっている部分だってあるはず。
何より、こうしてライブを見ていると今もdadadadysの曲とライブで衝動を突き動かされるからこそ、これからのdadadadysに期待している。つまりは、やっぱりa flood of circleとthe dadadadysの対バンに鉄風東京が加わったこの日は、決して恵比寿の街が似合うようなものではない、こうした衝動溢れるロックンロールを自分が大好きなんだということを再確認せずにはいられない日になったのだった。
1.超々超絶絶頂絶好最高潮
2.トリーバーチの靴
3.しぇけなべいべー
4.青二才
5.にんにんにんじゃ
6.k.a.i.k.a.n
7.らぶりありてぃ
8.恋
9.ROSSOMAN
会場のリキッドルームに到着したのが19時前だったため、18時30分からスタートのこの日のオープニングアクトである鉄風東京はすでに始まっていた。というか最後の1曲だった。
ギター、ベース、ドラムを思いっきり鳴らし、何を歌っているかわからないくらいに衝動を込めて歌う、そんなロックンロールバンド。それはこの日の2組の前に出てくるバンドである理由しか鳴っていない。その2組を好きな人がこれから先もロックンロールに夢を見続けることができるバンド。たった1曲だけでもそれが伝わってきた。それだけに早急にちゃんとライブを見なければいけないバンドだと思った。
・a flood of circle
1週間前に横浜F.A.Dでライブを見たばかりのフラッド。その日も1週間ぶりのフラッドのライブだっただけに、毎週フラッドのライブという期間になっている。自分にとってはそれくらいにライブを見まくりたいバンドということである。
おなじみのSEでメンバーが登場すると、佐々木亮介(ボーカル&ギター)はこの日は新アー写で着用している黄色い革ジャンに登場からすでにお茶割りを飲んでいる。他のメンバーが黒を基調とした出で立ちであるだけにその黄色の鮮やかさが実に目立つ中、
「おはようございます。a flood of circleです」
と挨拶すると、赤い照明がステージに注がれる中でHISAYOのベースが鳴らされる「Blood Red Shoes」でスタートするのであるが、曲中に青木テツ(ギター)の元にすぐさまスタッフたちが駆け寄ってくる。なんといきなりのアクシデントによって音が出なくなってしまい、急いでアンプを取り替えたりして対応する。そうしてテツとスタッフがアンプの周りに集まっている中でも何にも気にすることがないというくらいに普通に演奏を続けるメンバーの姿がシュール極まりないが、音が出るようになったのが最後のサビ中だったために、そのサビ入り前のキュルルルルルというテツのギターが鳴らずにサビに突入していくのは数え切れないくらいに聴いてきたこの曲でもはじめてのことである。そうしてギターが鳴らなかったからゆえか、渡邊一丘のドラムがその音の隙間をカバーするかのようにより力強く鳴る。それは無意識下での他のメンバーをカバーしようという動きだったのかもしれない。
先週のライブで実に久しぶりに演奏され、イントロを聴いた時には思わず「この曲なんだっけ?」とすら思ってしまった「美しい悪夢」がこうして対バンライブの持ち時間であってもまた演奏されるというのは、リリースから4年ほど経った今、この曲のバンドにおける立ち位置が変わってきている感じがする。先週は対バンのcinema staffの飯田のメンバーの呼び方に準じていた、ソロ回しでの亮介のメンバー紹介は通常のものになっていたが、直前にテツのギターの音が出なくなってしまったのもまた、今夜はビューティフル・ナイトメアということだろうか。
渡邊がポカポカとカウベルを叩くイントロで亮介が右手にマイク、左手にお茶割りというゴールデンコンビネーションになるのは「狂乱天国」であり、亮介は
「今日何しに来たの!ロックンロールでしょ!」
と叫んでからステージを歩き回りながら歌う。
「ダブルピースで」
というフレーズでは客席に向かって亮介がダブルピースをするのであるが、マイクだけならずお茶割りでも手が塞がっている中でもしっかりダブルピースできるのはさすがだし、そのフレーズ部分だけは観客も両手でピースする形で腕を伸ばす。ハンドマイク曲の中でもロックンロールでありながらもフラッドの、というか亮介の持つ可愛らしい部分を感じさせてくれる曲である。
渡邊が今度はタムなどを連打すると、その音が強くなる中で亮介は
「みんな今日本当に良く来たね。お目が高い。今日はめちゃくちゃ踊りやすそうじゃん(笑)」
と平日に恵比寿までライブを観に来てしまう観客のことを称えるのだが、踊りやすそうというのはスペースが広く空いてる=人が少ないということでもあるのだが、亮介がそう言うことによって空いていることをポジティブに捉えさせてくれるのは、イントロのテツのギターのフレーズからしてアンセム感しかない「New Tribe」。毎回演奏されるような曲ではないからこそ、様々なライブを経てきた上で聴くこの曲は我々を今日この場所から何度でも生まれ変わらせてくれる。それはもちろん
「生まれ変わるのさ 今日ここで変わるのさ」
というフレーズを歌う亮介の声に、前に進もうと思わせてくれるような希望を強く感じられるからだ。それがどんなに人が少なくてもこの日のライブを最高なものにしてくれる。いや、人数がどうだろうと関係ないのだ。こうしてフラッドがロックンロールを目の前で鳴らしてくれればそれだけでその日は最高になるのだ。
そんな亮介がアコギに持ち替えると、
「今日、会場着いて準備し終わってから本番まで時間あったから歌詞書こうと思って。俺が入れるような喫茶店あるかな〜って思いながらその辺を歩いてたんだけど、全席喫煙の喫茶店のメニュー見たら、ハヤシライス1700円って書いてあって。ああ、やっぱり俺は恵比寿が似合わないんだなぁって思った(笑)
結局公園に行って歌詞を書いたら、ダメなんだよ?ダメなんだけど、タバコ吸ってる高校生がいて。やっぱり恵比寿が似合わないんだなっていうか、むしろ恵比寿が俺に合わせに来い、寄せて来いって感じで。みんなもそうでしょ?今日出てる3組みんな恵比寿が似合わないから(笑)それでもこうやって来てくれるみんなの可能性に」
と、これまでも何度もこの会場でライブをやっているのに未だに恵比寿にしっくり来ていないという話をする。確かに恵比寿にある店なんかはこの日の出演者やそのファンが行くようなところではないだろう。(行くとしたら恵比寿横丁くらい?)
そう思える感覚があるからこそ、このバンドたちが好きなのかもしれないと思いながら演奏されたのは「花火を見に行こう」。もうすっかり夏は過ぎ去ったけれども、それでもこの曲はデカい花火を打ち上げてくれる。薄暗いライブハウスのステージだからこそ、自分の頭の中ではメンバーの背後で花火が上がっているような感覚になる。できることなら、フラッドにもっと盛大な花火を打ち上げて欲しいと思う。
その「花火を見に行こう」も今年リリースした曲であるが、さらなる新曲として2週間前の代々木公園でのフリーライブでお披露目されたのがタイトル通りのダンス・パーティーチューンの「Party Monster Bop」で、亮介はギターを最初はブラックファルコンを手にするのだがすぐにホワイトに変え、
「打席に立たないホームランなんかあるわけない」
という歌詞なんかは「美しい悪夢」の「逆転満塁ホームラン」に通じるものも感じさせるが、シンプルに曲に合わせて体を揺らし踊るためのロックンロールという意味では「花火を見に行こう」と真逆のタイプの曲であり、その振れ幅が来るべき来年のニューアルバムへの期待を高まらせてくれる。
そしてテツが空気を一閃するように煌めくギターを鳴らすのは「北極星のメロディー」。今ではもう毎回のようにライブで演奏されている曲なわけで、この日の客席にもいた、いつもフラッドのライブにいる人たちはすでに数え切れないくらいにこの曲をライブで聴いているはず。それでも何度聴いてもこのイントロが鳴らされるたびに腕が上がる。それはこの曲がフラッドのロックンロールの煌めきをこれ以上ないくらいに感じさせてくれる曲だからだ。今でも新曲として公開された時の「また素晴らしいアンセムが来た!」と思った感情やファンの盛り上がりもよく覚えている。
そのままメンバーが渡邊のドラムを中心に向き合うようにイントロを鳴らす…かと思いきや、亮介はギターを持ったまま一度袖の方へ行く。最初はお茶割りのおかわりをもらいに行くのかとも思ったが、結局何も持たずにすぐに戻ってきただけにあれは何だったんだろうと思ってしまうのだが、とはいえやはりこの日もそうしてメンバーが向き合うようにしてイントロを鳴らす「プシケ」からクライマックスへ突入していく。人が少ないからか、手拍子もいつも以上に揃っていた感じがする(いつもより音が小さかったからかもしれないが)メンバー紹介でそれぞれが音を鳴らす際に当たるピンスポットが本当にカッコいいのだが、
「FUTURE RESERVE」
というこの日のライブタイトルの亮介の発音があまりにも良すぎて驚いてしまった。日付や場所によって毎回変わるこの曲がそんなところまで変わるとは、とも思うけれど、その後に亮介がバンド名を叫ぶことで感じる圧倒的なカタルシスは変わることがない。
そしてこの日もその「プシケ」から繋がるラストは亮介が
「もう一回聞くけど、今日何しに来たの!ロックンロールでしょ!俺たちとあんたたちの明日に捧げる!」
と言って演奏された「シーガル」で、スペースが広く空いているだけに観客も思いっきり高く飛び上がるのであるが、やはりこの曲はこうしていろんな曲が演奏されて、バンドのグルーヴも観客のグルーヴも高まっている中で演奏されるからこそ最高な曲だと思うし、こうしてど平日、しかも1ヶ月の始まりの日にこの曲を聴くからこそ、やってくる明日に手を伸ばそうと思える。それは明日からもこうして生きていく力をくれるということである。
亮介も「ラスト」と言っていたし、完全に「シーガル」で終わりかと思っていたのだが、亮介はアウトロからそのまま「Honey Moon Song」を歌い始める。渡邊もHISAYOも笑っていた表情を見ると完全に急遽追加したことがわかるのであるが、亮介は1コーラス目では下手のステージ前にマイクスタンドを動かして観客の近くで歌い、2コーラス目では上手側に同じように動かすと、思いっきり感情を込めるような強さで歌う。その歌い方でこの曲のフレーズを歌うからこそ、亮介が今でもまだ何も諦めていないということが伝わってくる。そんなバンドを我々も信じているからこそ、これからも涙こぼれるまで笑わせてくれ、と思うのだ。
3週間も連続でライブを見ても決して飽きることがない。それどころか次はいつ見れるだろうか?とライブ予定を探してしまう。そうなってしまうのはやはりフラッドのライブが毎回平均点どころか100点を超えるようなものだからだ。ただその100点の超え方のベクトルは対バンや客席や状況や場所によって少し変わってくる。この日の超え方はどんなものだったかというと、ひたすらストレートにカッコいいロックンロールバンドであったということに尽きるんじゃないだろうか。
1.Blood Red Shoes
2.美しい悪夢
3.狂乱天国
4.New Tribe
5.花火を見に行こう
6.Party Monster Bop
7.北極星のメロディー
8.プシケ
9.シーガル
10.Honey Moon Song
・the dadadadys
ライブが始まる前はキャリア的にフラッドがトリかとも思っていたのだが、この日のトリはthe dadadadys。説明不用かとは思うが、自分が何度もライブレポを書いてきたtetoがメンバー脱退によって小池貞利(ボーカル&ギター)と佐藤健一郎(ベース)というバンドを続けようとした2人が、元THE 2のyucco(ドラム)とギタリストの山岡錬を加えたのがこのバンドである。
サポートギターにはおなじみのヨウヘイギマ(ex.ヤングオオハラ)も参加する中、ステージに最後に現れた小池は長い金髪をちょんまげのように結いてサングラスをかけているという、なんならモデルのような出で立ちであるのだが、思いっきりArctic MonkeysというかThe Mirrazな重いリフ主体のロックンロール「超々超絶絶頂絶好最高潮」でギターを弾きながら痙攣するかのような激しいアクションを取りながら歌う姿はモデルなんかではなくてロックンローラー小池貞利そのものでしかない。結局曲中にギターを下ろしてハンドマイクで駄々をこねる子供のようにステージを暴れまわりながら歌う姿も含めて、タイトル通りに絶好調にして最高潮である。
小池がまたすぐにギターを持つと、yuccoのエイトビートのリズムを中心にセッション的なインストの演奏が始まるのであるが、そのサウンドはどこかで聴いたことがあるな…と思ったらそれはtetoの「トリーバーチの靴」の間奏をアレンジして長いイントロにしたものであり、いきなりのteto時代の名曲によって観客はより一層飛び跳ねまくるのであるが、より押し引きを強くしたアレンジはあの4人のtetoではなくてこのメンバーでのthe dadadadysだからこそである。でないとtetoの曲を演奏する意味もないのだと思うが、小池は
「私を染めていく」
というフレーズの後に
「この薄汚れた東京に染まっていっちゃうんだよ!」
と追加していたのはフラッドの亮介の「恵比寿が似合わないバンド」という言葉に引っ張られたものなのかもしれないとも思う。
「ツイストで踊れ!」
と小池が言って演奏されたのはまさにツイスト的なリズムとサウンドで、誰よりも小池が踊りまくる「しぇけなべいべー」であるが、俺たちならどんな場所でもロックできるという意思を歌った曲だ。佐藤だけではなくギマもコーラスをするあたりが今のdadadadysのバンド感をさらに強く感じさせる。
さらには「青二才」と、4月にリリースされたこのバンドとしてのデビュー作と言っていいミニアルバム「Do Wah dadadady」の収録曲が続くのだが、「トリーバーチの靴」以外の曲がそのミニアルバムに収録されていることからもサウンドの振れ幅がよくわかる。しかしこうしてライブという場で小池が暴れるようにして歌うことによって、どの曲も衝動溢れるロックンロールになるというのは変わらない小池らしさである。
山岡が空間的なサウンドを、ギマが歪んだサウンドをという両極端なギターの音が鳴る、「くない」や「手裏剣」というそれらしいワードが小池特有の早口ボーカルで歌われる「にんにんにんじゃ」からはまだ音源としてはリリースされていない曲も演奏されていく。
「超絶カッティングと超絶早口のどっちが早いか勝負だ!」
と山岡に挑戦状を叩きつけるように演奏された「k.a.i.k.a.n」ではその言葉通りに小池のもはやなんて歌ってるか聴き取れないレベルの早口と山岡の激しいカッティングの応酬となるのだが、そうして暴れるようにして「快感」と歌う小池がやはり1番気持ち良さそうだ。「にんにんにんじゃ」ではyuccoがパッドを叩いてもいたけれど、この曲の中で鳴るドリルのような音は誰がどう鳴らしていたのか、あるいは同期の音だったりするのか。いずれにせよこのバンドが表面的に暴れているのはいつの間にかTシャツ姿になって髪を結くのもやめていた小池だが、音としては全員が思うがままに、でも統一感を持って暴れているというのがよくわかる。
そんな中で小池が
「the dadadadysで1番新しい曲」
と言って演奏された「らぶりありてぃ」は削ぎ落とされた、ここまでの轟音や爆音とは全く異なる、小池の歌唱も含めてヒップホップと言えるような曲。重力に支配されずに恋をしよう的なメッセージも含んでいるような感じがしたが、その単語や言語の言い回しが実に面白く秀逸なバンドだからこそ、早く歌詞を見ながら聴きたくなる。曲後半にはやはり一気にロックバンド的にアップリフティングなサウンドへと変化していくという構成も実にこのバンドらしいものである。
そして小池は自分たちがバンド名やメンバー、つまりは形は変わりながらも、
「a flood of circleは5年前にツアーの福岡に俺たちを呼んでくれたことがあって。だからその時以来。
鉄風東京ははじめましてだけど、彼らも5年くらい前に中学生の頃に俺たちのライブを見に来ていたって言ってくれて。
形が変わっても巡り巡ってこうやってまた会える。それは今日出たバンドたちもそうだし、今日来てくれたお客さんだってきっとまたどこかで会うことができるって思ってる」
と、こうしてフラッドと鉄風東京と再会できたことを語る。その語り口はさっきまで暴れまくっていた人のものとは思えないくらいに穏やかなものであるが、tetoからこのthe dadadadysに至るまで、小池の音楽の根底には人間としての慈愛や温もりのようなものが確かにある。それは小池の歌詞が人間のことばかりを歌ってきたものだからそう感じることができるのだが、その人間としての感情があるというか溢れまくっている音楽だからこそ、自分は小池の作る音楽が好きなんだろうと思う。
そんな小池の愛情をthe dadadadysとして感じさせる曲がミニアルバムの最後に収録されている「恋」だ。
「知らないけどさ 会ったことすらないけどさ」
と言いながら、自分の理想のイメージをこれでもかというくらいに言葉を尽くして投影する美しくも危ういラブソング。それを小池はギターを弾きながら、しっかり届けるように歌う。それはこの前のMCによって
「そこは問題じゃない、ただヤバい
君がどこかで生きていることが」
というフレーズがこうしてライブに来る観客のことであるかのようにも響いているし、そう感じられる人間の優しさがこの曲からも確かに滲み出ている。
そんなdadadadysが最後に演奏したのはこのバンドの始まりの曲とも言える(tetoの時から小池は弾き語りでこの曲をやっていた)「ROSSOMAN」で、疾走するバンドサウンドに合わせて小池もやはりステージ上でもんどり打つかのように飛び跳ねまくり、
「金曜日、泣いた女子見て
泣き顔にグッと発情する」
のフレーズを「オナニーする」というこれ以上ないくらいにストレートなものに変えて歌う。本当はレコーディングでもそういう歌詞で歌いたいのだろうなと思うし、その迸るような衝動は全く失われることはない。それは小池の持つロマンチックさも、我々観客側のライブを見ている時の熱狂も。
「We are the da da The dadadadys
そりゃ白線たまにゃー超えちゃいます
それでも地獄でも天国でも
ギリギリのまま生きる」
という曲の締めのフレーズが全てを言い当てている。これがthe dadadadysだった。アンコールを求める観客が手拍子を続けても、これが今日の全てだったと言わんばかりに出てこなかった潔さも含めて。
今年、the dadadadysになってから最初のライブを見た時(まだその時は山岡は参加しておらず、Helsinki Lambda Clubの熊谷がサポートギターで参加するというtetoのメンバー脱退後のツアーの延長的な形だった)はtetoの曲を結構演奏していた。でもそのライブで披露されていた新曲(それはこの日演奏されたものもある)を演奏する姿を見て、これはきっとこれからもっとこのバンドで生み出していく曲たちを演奏するようになるんだろうなと思った。
もちろんtetoの曲を愛してきたものとしてはtetoの曲を今でも聴きたいし、この日「トリーバーチの靴」を聴いて、やっぱり素晴らしい曲を生み出してきたバンドだよなと改めて思った。でもその曲たちはこのメンバーで生み出したものではないからこそ、今のこのdadadadysのメンバーたちで生み出した曲をもっとやりたいんだろうし、それこそがバンドが前に進んでいる証明になる。だからこそtetoの曲をやるのは口には出さないけれど、小池なりのファンへのサービス的な部分もあるんじゃないかと思っている。
その曲たちを超えるというハードルはめちゃくちゃ高い。それは我々以上に小池と佐藤、メンバー脱退後にバンドを支えたyuccoの方が良くわかっているはずだが、だからこそモチベーションになっている部分だってあるはず。
何より、こうしてライブを見ていると今もdadadadysの曲とライブで衝動を突き動かされるからこそ、これからのdadadadysに期待している。つまりは、やっぱりa flood of circleとthe dadadadysの対バンに鉄風東京が加わったこの日は、決して恵比寿の街が似合うようなものではない、こうした衝動溢れるロックンロールを自分が大好きなんだということを再確認せずにはいられない日になったのだった。
1.超々超絶絶頂絶好最高潮
2.トリーバーチの靴
3.しぇけなべいべー
4.青二才
5.にんにんにんじゃ
6.k.a.i.k.a.n
7.らぶりありてぃ
8.恋
9.ROSSOMAN
the telephones 「Come on!!! TOUR」 @新宿MARZ 11/2 ホーム
ぴあ・tvk 50th Anniversary STAY ROCK! 2022 出演:銀杏BOYZ / Ken Yokoyama / ザ・クロマニヨンズ / ハルカミライ / 空気階段 @ぴあアリーナMM 10/30