PIA MUSIC COMPLEX 2022 DAY1 @新木場若洲公園 10/1
- 2022/10/02
- 21:09
かつてこの若洲公園で初めて開催された時には様々なカオスを発現させたフェスとしても話題になったPIA MUSIC COMPLEXこと、ぴあフェス。
昨年はぴあアリーナMMでの開催であり、会場もぴあが作ったものであるだけに今後はそこで開催されていくのかと思いきや、まさかの若洲公園に帰還。そこには野外でやりたいという思いや、ぴあアリーナだと同じ大きさで2ステージという設営しかできないなとの理由があると思われるが、ともあれおそらくは今年最後の野外フェスである。
そんな野外フェス日和すぎるというべきか、もう完全に夏フェスかのような暑さと陽射し。もう10月という完全に秋と言っていい時期だというのに5月にこの会場で開催されたMETROCKの時より暑いんじゃないかと思ってしまうくらいに暑い。名前こそ
WIND STAGE
CAMP STAGE
STAR STAGE
と変わっているが、ステージ構成もそのMETROCKと同様の3ステージ。
12:20〜 四星球 [CAMP STAGE]
本来はメインステージであり、この会場の象徴と言える風車が背後に聳えるWIND STAGEでBLUE ENCOUNTがフェスの開幕を告げるはずだったのだが、田邊駿一が当日に体調不良を訴えて陽性になってしまったために、その予定だった11:30からは空き時間となり、このステージとその10分前に開演となるSTAR STAGEがトップバッターになることに。
このCAMP STAGEのトップバッターである四星球はメンバーがサウンドチェックで衣装に着替える前の私服で登場すると、まだかなり早い時間から「ギンヤンマ」などの曲を演奏し始め、フェスではまずやらないような「HEY!HEY!HEY!に出たかった」「レッツ・エンターテイメント」あたりの曲を演奏するのは、コミックバンドでありながら年間100本以上のライブをしてきたライブバンドとして、常にこれらの曲を演奏できる状態にあるということを示しているかのようである。
しかもそれだけではなく、
「普通はやらへんからな?」
と北島康雄(ボーカル)が言いながら、どの曲をやるのかを観客が掲げたバンドのタオルによって決めるのであるが、ヤバTのタオルを見ると「あつまれ!パーティーピーポー」の音源をスマホで流してコードを確認し、
「この曲1分くらいずっと「しゃっ!」と「えびばーでぃ!」しか言ってないやん!こやま君凄いな!」
と驚きながらその場でコピーするのであるが、やはりイントロから「えびばーでぃ!」までのみというお約束っぷりで、さらにはかつてJAPAN JAMで本人とコラボしていたフォーリミ「swim」を演奏しようとすると、
まさやん「原キーで?」
北島「ゲンってどっちのゲン(原orGEN)って感じになるから(笑)」
とトークも昼間から絶好調なのであるが、原曲キーで歌ったことによって北島の喉は凄まじい消耗を強いられることに。本編で声が出なかったらこの曲のせいらしい。
さらにはロッキンでBiSHが出演キャンセルになった時に演奏していた「BiSH -星が瞬く夜に」までを演奏しようとするのだが、北島は袖にいたDizzy Sunfistのあやぺたを発見してステージに引っ張って歌わせようとすると、
あやぺた「アイドルになるっていう子供の頃からの夢が、BiSHの曲を歌わせてもらうことで叶いましたー!」
北島「こんなんで「夢叶った」って言っていいんか!?(笑)」
というバンド界最強クラスのボケとツッコミによるやり取りで笑わせながら、あやぺた歌唱で「BiSH -星が瞬く夜に」を演奏すると、客席のROTTENGRAFFTYのタオルを発見するも、
「タオルの向き逆やで。そういうところにうるさい人たちやから(笑)」
と言ってROTTENGRAFFTY「金色グラフティー」を演奏しようとするも、
まさやん「機械がないとできない!」
北島「機械ってなんやねん!(笑)」
まさやん「あ、じゃあチューニング変えてやります!」
北島「サウンドチェックしてるはずなのに「金色グラフティー」やるためだけにチューニング変えるってもう本末転倒ですよ!(笑)」
と、マジでこの曲のためだけにまさやんはチューニングを変えてイントロから「お前が見ている世界は」のセリフまでを演奏するのだが、そのセリフを「えびばーでぃっ!」に変えるというお約束をモリス(ドラム)だけが察知できずに演奏が止まり、最後は自分たちの「ギンヤンマ」を再度演奏してチェックを終える。
と、ここまでは全てまだ本編が始まる前の出来事である。本編の持ち時間30分に対してサウンドチェックを40分くらいやっていたが、これは間違いなくBLUE ENCOUNTのライブがなくなってこの時間の行き場がなくなってしまった我々が退屈しないで楽しめるためのものだ。その場で聴いた曲をすぐに演奏できる天才集団っぷりも凄いが、本当に優しいこのバンドがさらに大好きになってしまう。
本編で法被に着替えた北島がステージに現れると、
「チケットぴあではいろんなチケットを取り扱っております。音楽以外のチケットも取り扱っております!」
と、ライオンキングのU太(ベース)、しまじろう(のキャラクターの鳥?)のまさやん、ステージ脇に置かれていた怪しげな小型のテントから出てきた葉加瀬太郎のモリスというチケットぴあのイベントだからこその扮装で、なんの集団なのかパッと見では全然わからないメンバーが「鋼鉄の段ボーラーまさゆき」を演奏し始め、まさやんは自身の名前を力強く叫ぶと、小道具としてキャンプ用品やWIND STAGEの風車などのこの会場ならではのものが次々に出現する中、北島は観客にエアギターをやらせてその場でぐるぐる回らせたりするのだが、突如として歌うのをやめると、
「関係者がやってない!ぴあフェスの皆さん、関係者の人たちはぴあの50周年を祝う気がないみたいです!」
と、無理矢理関係者エリアの人たちにもエアギターをさせてその場でぐるぐる回らせるのであるが、北島が言う通りに今年でぴあは雑誌創刊から50年である。四星球が20周年なので、はるか大先輩ということになる。
早くも演奏された「クラーク博士と僕」ではまさやんがいきなりギターを置いて風車の小道具を北島とU太に向かって振り回すという狂人と化すのが面白すぎるが、そんな名曲で観客は踊りまくり、腕を上げたり手拍子を下する中で、リハから本編までの詰め込みっぷりに疲れてしまった北島はその場に寝転んでしまう。
それはもちろん「UMA WITH A MISSION」が始まる合図であるのだが、持ち時間が短いからかあっさり一回で起き上がるためにまさやんに合わせた曲中のダンスは覚えきれなかった人も結構多かったんじゃないだろうか。ちなみに
「持ち時間が5分増えても立ち上がるまでの時間が長くなるだけやから!」
とのこと。
そうした疲れは先週に4日で5本ライブをやり、この日も終わったらすぐに移動して翌日は島根でライブというとんでもないスケジュールによるものであるが、
「先週の5本目はライブ始まるまではさすがに疲れてた。始まるまでにいろんなもの飲んだりとかしてなんとか元気になろうと思ったんだけど、ライブ始まってステージに出たらすぐに元気になった。
みんなもそうでしょ?仕事、学校、バイトと疲れることがたくさんあって、土日に休んで元気になるところをこうしてわざわざライブ観に来てるんでしょ?それはライブを観たら元気になれるからですよ!」
と我々のことをわかってくれているあたりはさすがいろんな場所でライブをやりまくっていろんな人と出会って、いろんな光景を見てきたバンドだからこそだ。
そんなバンドの渾身のバラード「君はオバさんにならない」はこの日のトリのSaucy Dogの石原慎也も良い曲だと言っていた曲であるが、ぴあフェスのこのステージで聴くと、このフェスの初年度にバキバキのEDMアレンジのライブをやった、曲の元ネタの森高千里を思い出す。あの衝撃は長いフェス歴の中でもトップクラスと言えるくらいに強烈だったかもしれない。
そしてここまでですでにたくさん泣かせて、たくさん笑わせてくれたという泣き笑いっぷりを見せてくれたバンドが演奏する「妖怪泣き笑い」では北島が
「誰かが亡くなったっていうニュースを見ると、親にあと何回会えるかなとか、あの人に会いたいなとか思うんです。だから会える時に会いに来てくださいね」
と口にする。出来る限りそうした人生を送ってきたつもりであるが、こうして何度となく笑わせてもらって、何度となく力を貰ってきたからこそ、このバンドにもっと会いたいと思う。会えなくなった時に後悔しないように。そう思いながらもU太がエフェクティブなリズムに音を切り替えて、観客を座らせてから一斉にジャンプさせるのは本当に楽しくなってその後も何度だって飛び跳ねてしまう。
そんなライブの最後には、
「きっとSaucy Dog観た後にはこのライブなんか忘れてしまってるはずです!でもそれでいいんです!今日忘れても、来週の仕事とか学校で「あの時面白かったな」ってクスッと思い出し笑いしてくれたらそれでいいんです!」
と北島が告げて、パンクなリズムでメンバーはステージを動き回り、観客は飛び跳ねまくる「薬草」でザッツオールなのだが、最後にこの日使用した小道具をフル活用して
「祝50周年」
という文字を作ってぴあをお祝いしたことも含めて、こんなライブは忘れられるわけがない。今までに観てきた四星球のライブを覚えているように。こうしてこれからもライブを見るたびにきっと忘れようがないライブが増えていく。その記憶はそのまま平凡な日々を生きていくための力になってくれるはず。次にワンマンがあるんなら必ず足を運ぼうと思っている。
リハ.ギンヤンマ
リハ.Teen
リハ.HEY!HEY!HEY!に出たかった
リハ.レッツ・エンターテイメント
リハ.あつまれ!パーティーピーポー
リハ.swim
リハ.BiSH -星が瞬く夜に w/ あやぺた (Dizzy Sunfist)
リハ.金色グラフティー
リハ.ギンヤンマ
1.鋼鉄の段ボーラーまさゆき
2.クラーク博士と僕
3.UMA WITH A MISSION
4.君はオバさんにならない
5.妖怪泣き笑い
6.薬草
13:00〜 打首獄門同好会 [WIND STAGE]
ステージこそ違えど、この四星球→打首獄門同好会という流れは前週の豪雨の中津川 THE SOLAR BUDOKANと全く同じ流れである。なので2週間連続での四星球→打首という実に濃いフェスのスタートに。ブルエンが出れなくなったために実質このステージのトップバッターである。
メンバーとVJが登場するとおなじみの「新型コロナウイルスが憎い」でスタートし、
「VJもこの前かかったし
私もこの前かかったし」
とバンドで感染者が出てしまった歌詞に変わっているのは氣志團万博以降にすでに聴いているが、この日はさらに
「まさかのブルエンもやられたし
田邊君の分までぶちかますぞ」
という歌詞までもが追加されて、しっかりモニターにまで映っている。ブルエンのキャンセルが発表されたのがこの日の朝であったということを考えると凄まじい反射神経であるし、何より大澤会長(ボーカル&ギター)の人間としての優しさを感じる。それこそがこのバンドが様々なアーティストに慕われる所以なんだろう。
この日もステージにはレキシの等身大パネルが持ち込まれての擬似コラボが行われた「鬼の副長HIZIKATA」での肘や肩だけならず腰や膝までストレッチをしながら、新撰組局長・近藤勇のエピソードである「ゲンコツインザマウス」のフレーズで河本あす香(ドラム)とjunko(ベース)のリズムがレゲエを思わせるような軽やかなものに変化するのも実に楽しい。
やはりここで来るのはもう「スクワットの曲」としておなじみの「筋肉マイフレンド」であるが、ライブを40分見るよりもこの曲でスクワットをする時間の方がはるかにキツい。それでも周りにはやってない人がいないくらいにみんなスクワットをしているのでやらざるを得ない空気になってしまう。前週は四星球も自身のライブでスクワットを観客にやらせまくっていたが、この日はそうならなくて本当に良かったと思っていた。
すると会長は
「皆さんに一つ言いたいことがあります。今日、暑くないですか?(笑)
あまりにも暑いからセトリを変えました(笑)きっと今年この曲を演奏するのは今日が最後でしょう(笑)」
と言って演奏されたのは、コウペンちゃんが活躍するアニメーションが実に可愛い「なつのうた」。この曲のようにいろんな場所で夏の思い出を作ってきた、ようやくそんな夏が少しだけ戻ってきた今年の夏も間違いなくこの日、この週末で終わりだろう。9月以降は夏フェスなのか秋フェスなのかという問題もあるが、この曲が演奏されたことによってこの日は間違いなく夏フェスになったのだ。
「しまじろうのテーマソングの人気投票で1位になりました!」
と大澤会長が告げての「カンガルーはどこに行ったのか」ではしまじろうやカエルというキャラクターが大活躍するMVがスクリーンに映し出され、そこからは笑っちゃうくらいに共感せざるを得ない歌詞が映し出されることで笑いを誘う「死亡フラグを立てないで」、この暑さによる汗を流してさっぱりするために温泉に行きたいと思わせる、このバンドならではのラウドロックとサンバの融合と言える「地味な生活」とリリースしたばかりの新曲が続く。この2曲は時期こそ同じであるが、サウンドもテーマも何もかもが違う。それは打首というバンドがあらゆる意味での幅広さや引き出しを多く持っているバンドであるということだ。
12月に予定されているツアーファイナルの会場がぴあアリーナMMだというのもまたこのフェスに合わせたかのようであるが、この日にはそのライブが声出しOKのライブであることを発表する。ただ自分たちがそうしたいだけでそうするのではなく、我慢しまくってきた結果として自分たちが一歩踏み出すことで他のバンドにも繋げていきたいという想いを持っているということがしっかり伝わってくるのもメンバーの人間性によるものだろうが、海が近いだけに釣りをしにくる人も多くいるような会場だからこその「島国DNA」で昼飯時に残酷すぎる飯テロを起こすと、最後には
「去年までは見れなかったこの景色。これからの皆さんの大豊作を祈って!」
とやはり声には出せないけれど、心の中でと誰もが叫んだであろうタイトルフレーズも、ぴあアリーナワンマンでは思いっきり叫べるのか…と思うときっとその日は最高に楽しいものになるだろうなと思う「日本の米は世界一」が演奏された。
2回も流れてしまったぴあアリーナでのこのバンドのワンマンも含めて、きっと今年は秋からも大豊作と言えるくらいにいろんなライブを見れるようになる予感がしている。その流れを少なからずこのバンドは作ってくれたのである。
1.新型コロナウイルスが憎い
2.鬼の副長HIZIKATA
3.筋肉マイフレンド
4.なつのうた
5.カンガルーはどこに行ったのか
6.死亡フラグを立てないで
7.地味な生活
8.島国DNA
9.日本の米は世界一
13:50〜 Dizzy Sunfist [CAMP STAGE]
前回観たのが去年のSATANIC CARNIVALの時であり、この日に至るまでにいやま(ベース)の卒業もあってバンドの形が変わってから見るのははじめてのスリーピースメロディックパンクバンド、Dizzy Sunfistである。
テンション高くメンバー3人がステージに現れると、やはり新メンバーのメイ子(ベース)の金髪ショートという出で立ちはいやまとは真逆と言っていいものであるのだが、やはり何色にもわたる髪色をしているあやぺた(ボーカル&ギター)が
「暑い!めちゃくちゃ暑い!」
と叫びながら「Andy」でスタートし、そのメロディックパンクバンドとしての疾走感に腕が上がり、メロディの美しさについつい口ずさみたくなってしまう。
見るたびに見た目がワイルドになっている感じがするmoAi(ドラム)が力強いビートを叩きまくる「No Answer」ではスカのリズムになるフレーズで観客がツーステをして踊るという光景もこの日の出演者の中ではこのバンドだけだろうが、そうした演奏と楽しみ方がただでさえ暑いこの日をより暑くする。
「今までライブしてきて今日が1番暑い!」
「光合成してるみたい!みんな、光合成していこうぜ!」
とテンション高く、とりあえず思いついたことは全てそのまま口にするという、だからこそ意味不明に感じることも多いあやぺたのMCから「Someday」のメロディが響くと、メッセージからはシリアスさも感じさせる曲ながらも曲中にあやぺたとともに観客が腕を振るアクションが楽しい「Life Is A Suspence」とフェスらしくキラーチューンを連発していく。演奏を見ているとメイ子は機材はいやまとは変わらないように見えるが、高くベースを構えて弾くというあたりは彼女ならではの個性を感じる。
「みんな!心臓沸騰してるか!」
ともう暑すぎてわけがわからないくらいの感じになっているあやぺたの言葉から、曲に込めたメッセージはちゃんと説明できる最新曲「Hey! Stay by my side」はパンクというよりも跳ねるような軽快なビートが、まさにこのバンドが側にいてくれるという優しさを感じさせてくれるような曲だ。
「私も15年くらい前にKenさん(Ken Yokoyama)のチケットを取るために夜10時から朝10時まで梅田のチケットぴあの店舗に並びました!取れなかったけど!(笑)」
と、あやぺたなりのガチなぴあエピソードを語ると、メロディックパンクはポップな音楽であるということをしっかり感じさせてくれるような「Tonight, Tonight, Tonight」のサビで観客が両腕を上げたり手拍子をするのも実に楽しいが、心臓が沸騰するくらいに暑い中であってもあやぺたの歌唱は実に力強い。このバンドがこうしてメロディックパンクシーンの中で頭ひとつ飛び抜けた存在になったのはこの力強いサウンドに負けないようなあやぺたのボーカルがあるからだろう。
そしてあやぺたは最後まで、
「中学生の時に黒ギャルになりたくて日サロに2万円使って行ったけど、全然黒くならなかった!でも今日は日焼けして黒くなれそうな気がする!みんな、黒ギャルになろうぜー!」
と意味不明なことを口にし、メイ子とmoAiに
「中学生で日サロって早すぎる(笑)」
「中学生の2万ってだいぶデカイぞ(笑)」
と突っ込まれながらも、moAiがシンバルのセットを手で持ち上げる気合いを見せて、このバンドの活動指針そのものである「The Dream Is Not Dead」で自分たちの生き様を見せつけて終了かと思いきや、さすがそこはパンクバンド、30分の中に8曲を叩き込むように最後に「So Beautiful」を演奏した。それはあやぺたの超ポジティブな生き方はこんな時代になっても変わらないからこそ、こうして音楽があれば我々の人生も美しいということを示してくれているようだった。
「Dizzy Sunfistでした!ばいばいきーん!」
と言って終演SEのEDMサウンドで踊りまくりながら去っていくというのも楽しすぎた。
つまりはメンバーが変わってもDizzy Sunfistは変わらないということだ。もちろんメイ子が加入したことによってリズムやコーラスなどは彼女の個性を持って変化していくかもしれないけれど、あやぺたという太陽のような存在がいればこのバンドの輝きはずっと変わらないということが新編成でのライブを見てよくわかった。
1.Andy
2.No Answer
3.Someday
4.Life Is A Suspence
5.Hey! Stay by my side
6.Tonight, Tonight, Tonight
7.The Dream Is Not Dead
8.So Beautiful
14:30〜 ゲスの極み乙女 [WIND STAGE]
川谷絵音(ボーカル&ギター)はこの日2ステージ出演するが、1ステージ目はゲスの極み乙女でWIND STAGEに出演。ロッキンがコロナ感染でキャンセルになったために春フェス以来に見るライブである。
おなじみのコーラスメンバーのえつことささみおも含めた6人が轟音のSEでステージに登場。奇抜な衣装を着ることもある川谷絵音はこの日はジャケットを着用した普通の出で立ちであるが、この日の気候的に暑くないんだろうかと思うが、その川谷がギターを持ちながらキーボードを連打する「ロマンスがありあまる」でスタート。ちゃんMARIのピアノソロも実に美しいが、やはりメンバーそれぞれの演奏技術が実に高いバンドだというのが曲が始まってすぐに頭に浮かぶ感想というのはずっと変わらない。
その演奏技術の高さを改めて感じさせてくれるのは休日課長のゴリゴリのベースによって観客が飛び跳ねまくる「パラレルスペック」で、間奏ではメンバーそれぞれのソロも展開されるのであるが、川谷絵音は課長に
「今までに見たことないようなソロ見せて」
と無茶振りして課長はそれに応えようと渾身のソロを展開するのだが、川谷からは
「なんか見たことあるんだけど(笑)」
と一蹴されてしまう。その一方でちゃんMARIにも同じオーダーを出すとちゃんMARIはそれに応えて川谷も
「これは聞いたことないやつだった」
と言わざるを得ない見事なものに。そして最後にはドラマ「六本木クラス」に出演していたほな・いこか(ドラム)が
「行くぞ新木場クラスー!」
と叫んでのドラムソロへ。その麗しい見た目とタイトなドラムプレイが野外フェスという開放感を感じる観客のテンションをさらに上げてくれる。
サポート2人のコーラスが川谷のボーカルに美しく重なり合う「猟奇的なキスを私にして」でこのバンドが大ブレイクしたことはメンバーのキャラではなくてやはり曲の強さだなと思わざるを得ないヒット曲から、川谷がハンドマイクでステージを歩き回りながら言葉数の多いボーカルを歌う「はしゃぎすぎた街の中で僕は一人遠回りした」のメロディとサウンド、そして歌詞がやはりこのバンドの曲からは切なさを感じてしまうなと思ってしまう。
するとバンドの演奏も一気に激しく、サウンドもアッパーになる「crying march」ではいこかがドラムを叩きながら歌詞を口ずさんでいる姿がスクリーンにも映るのであるが、そんなサウンドがなだれ込んでいくのはまさかの「餅ガール」。アバンギャルド的とも言えるような演奏の中でメンバーが順番に「餅が」「食べたいわ」と口にするシュール極まりないこの曲がまさか今になって聴けるとは。改めて聴いても何もかもがめちゃくちゃ変な曲なのにめちゃくちゃポップな曲になっているというあたり、川谷絵音の魔力はすでにこの曲で全開に発揮されていたということがわかる。
そして川谷が再びハンドマイクになると、腕を挙げて観客を煽り、観客もそれに合わせて腕を上げる「キラーボール 」では間奏で川谷がちゃんMARIに
「チケットぴあのテーマ弾いて」
と言うと華麗なピアノソロを弾くのだが、それだけに止まらず
「イープラスは?」「ローチケは?」「楽天チケットは?」「ZAIKOは?」
と次々に競合他社のチケット会社のテーマを弾かせるのだが、ちゃんMARIの演奏を聴いて
「イープラスは狂ってる(笑)」
「楽天チケット使ったことないでしょ?(笑)」
「ZAIKOはよく問題起きるからそんな感じ(笑)」
と、これは後で怒られたりしないんだろうか?と心配になりながらも、
「ZAIKOはローチケのサービスだから同じだけど(笑)」
とさすがに川谷はチケット会社の事情にも詳しい。
そんな川谷はこの日の10月とは思えないような暑さを、
「今日想像したよりもずっと暑いんだけど、夏フェスを結構飛ばしちゃって出れなくなっちゃったから夏フェスに出てる感じがして嬉しかった」
と口にするのだが、その後に最後に演奏された、ゲスのど真ん中であり最新系でもある「もう切ないとは言わせない」はそのタイトルとは裏腹にその川谷の言葉が切なさを感じさせた。ロッキンとかをキャンセルしてしまったのも本人たちもきっと責任を感じていたところもあったのだろう。そうした今年の夏の切なさがこの曲のサウンドに全て集約されていた。来年は暑い10月だけではなくて8月のフェスでも見れるように。
1.ロマンスがありあまる
2.パラレルスペック
3.猟奇的なキスを私にして
4.はしゃぎすぎた街の中で僕は一人遠回りした
5.crying march
6.餅ガール
7.キラーボール
8.もう切ないとは言わせない
15:20〜 ROTTENGRAFFTY [CAMP STAGE]
ギターのKAZUOMIがライブ活動から離れている状態でもサポートギターを加えてあらゆるフェスに出演しまくっている、ROTTENGRAFFTY。このフェスにも出演と、毎週どこかのフェスでライブをしている感すらある。
これからライブが始まるというテンションを高めてくれるSEでメンバーが登場すると、黄色というか金色のシャツを着たNAOKI(ボーカル)が気合いを入れるようにして
「ぴあフェスー!」
と叫んで「ハレルヤ」からスタートすると、ラウドロックバンドだからこその重厚なサウンドとビートで観客を飛び跳ねさせまくる。この日の出演者の中でも音の強さは随一と言っていいくらいにやはり音の重さが違う。
しかしながら次の曲に行こうとすると侑威地(ベース)がドラムセットの前に立ってHIROSHI(ドラム)と何やら話をして、それを他のメンバーにも伝えている。どうやら同期の音かHIROSHIのイヤホンが上手く機能していなかったようで、スタッフが急いでそれを修復するのであるが、その間も実に自然にNAOKIが観客に向かってテンションを上げるような言葉を口にし続けているあたりはさすがである。きっとこうしたトラブルも数え切れないくらいに経験してきたのだろう。
そうして同期のサウンドが復活して演奏された「PLAYBACK」がさらに激しく強いこのバンドを感じさせてくれると、HIROSHIも立ち上がってスティックを振るう「D.A.N.C.E.」ではNAOKIが曲中に観客をその場に座らせるとNOBUYA(ボーカル)がステージから姿を消す。どこに行ったんだ?と思っていたらNOBUYAの声がステージ横にある関係者席の方から聞こえてきて、打首獄門同好会のjunkoらがライブを見ている関係者席で歌っていて座っている観客を爆笑させると、その直後に観客が一斉にジャンプしてさらにテンションが上がる。こうした、決して今のライブのルールからはみ出すことがないパフォーマンスはさすがである。
そのまま「THIS WORLD」とキラーチューンが続いていくのだが、KAZUOMIがいないことによって侑威地のコーラスの比重が強くなっているあたりはサポートギターが入るだけではなくてバンド全体でKAZUOMIの穴を埋めていくことによって、このピンチをメンバーそれぞれとバンド全体のさらなるレベルアップの機会だと捉えていることがよくわかる。
そして「「70cm四方の窓辺」」ではラウドな爆音の中に切ないメロディが同居するという、タイアップという要素もあっての新しいこのバンドの武器を見せてくれる。このメロディアスさはアコースティックアレンジなどからも感じることができるものであるが、これからそうしたメロディの力を強く打ち出した曲も増えていくんじゃないかと思う。
「おそらく今年最後の野外フェス」
という言葉からは少し寂しさも感じさせるが、すでに20年以上の歴史を誇るバンドだからこそ、ぴあの50周年という歴史に敬意を示しながら、互いにこれからももっと輝くようにという想いを込めて演奏されたのはやはり「金色グラフティー」であり、NAOKIのシャツの色も同じように輝く中、侑威地が観客に両手を挙げて踊るように煽りまくる。
氣志團万博ではいつもとは違う設定で我々を楽しませてくれたが、基本的にこのバンドがやることはいつも変わらない。全力で自分たちのロックを叩きつけるというだけだ。それでもこうしたフェスという非日常的な場所であってもこのバンドのライブからはライブハウスバンドの生き様が鳴っている。だからこそこうした場所でも強さがはっきりとわかるし、それこそがこのバンドが常に最前線に立ち、そこで勝ち続けてきた理由であるはずだ。
1.ハレルヤ
2.PLAYBACK
3.D.A.N.C.E.
4.THIS WORLD
5.「70cm四方の窓辺」
6.金色グラフティー
16:00〜 ヤバイTシャツ屋さん [WIND STAGE]
今でもとかくフェスではメインステージのトップバッターとして出演する機会が多いだけに、こうしたタイムテーブルの後半、夕方の時間に出演するのが実に珍しく感じるヤバT。個人的には先週の中津川 THE SOLAR BUDOKANが不慮のトラブルによって見れなかっただけにこうしてライブが見れるのが本当に嬉しい。
おなじみの「はじまるよ〜」の脱力SEでメンバーが登場すると、こやまたくや(ボーカル&ギター)が
「ヤバイTシャツ屋さん、始まるよー!」
と告げて最初の曲はいきなりの「ハッピーウエディング前ソング」なのだが、もりもと(ドラム)のビートをはじめとした曲のスピードがかなり速くなっている。「キッス!」「入籍!」などのコーラスを我々が歌うことができないのはやはり寂しいが、このバンドの鳴らす音はそうした観客の声がなくても衝動が漲っているということがよくわかる。
さらには「あつまれ!パーティーピーポー」とキラーチューン中のキラーチューンが連発されるのであるが、それはライブの最初とクライマックスを担えるような曲が増えてきているということでもある。この日は朝一で四星球に散々擦られた曲なだけに本家バージョンがちゃんと聴けるのはやはり嬉しいし、満員の観客がサビで腕を左右に振る光景は壮観である。
するとフェスでは実に珍しい選曲である、道重さゆみTシャツにスウェット姿のしばたありぼぼ(ベース)がAメロでカメラ目線で近づいていくのも楽しい「メロコアバンドの3曲目ぐらいによく収録されている感じの曲」で直前のROTTENGRAFFTY同様に観客を一斉に座らせてから一気にジャンプさせることによってより観客をテンション高く飛び跳ねさせまくる。この曲の座るスピードの速さで普段からヤバTのライブを見ている人かどうかわかるという分水嶺でもある。
さらにはフェスでは久々な感じもする、このバンドのタンクトップ(=パンクロック)精神を強く感じさせるような「Tank-top of the world」と、こうして代表曲やみんなが知っている曲はしっかり抑えながらもフェスでもセトリを毎回ガラッと変えてくるだけにヤバTのライブは飽きることがない。
それは
こやま「Saucy Dogです!」
しばた「編成が同じだから遠くにいる人は騙されるかもしれん(笑)」
こやま「白雪姫」
しばた「シンデレラボーイや」
こやま「白雪姫の反対が「シンデレラボーイ」や」
というこの日も絶好調のトークもそうであるが、しばたが観客にこのステージの象徴でもある風車のように腕を振り回すウェーブを客席後ろから前に展開すると、それを見たメンバーは「キモい!(笑)」と言うくらいの光景が広がり、そのまま最新シングル収録曲の「ちらばれ!サマーピーポー」へ。しばたの「イェイイェイイェイ」のコーラスも夏だからこそのテンションの高さを示してくれるのだが、まさか10月にもなってこの曲が似合うライブが続くとは思っていなかった。
「久しぶりにやる曲やります!」
と、こやまの学生時代の苦い思い出がパンクに刻まれた「sweet memories」ではこやまのギターもメロディアスに鳴り、しばたのハイトーンコーラスも抜群の安定感をもって響く。
さらには「泡 Our Music」と、こちらもCMタイアップという癒着はありながらもフェスでこうして演奏されるのは実に久しぶりの曲が続く。もちろんワンマンでは演奏されているが、こうした曲をいつでも演奏できるくらいにヤバTはライブをやりまくっているバンドだということだ。
するとこやまが観客の両腕を上げさせて手拍子をさせる「癒着☆NIGHT」はこの日もやはりいつものように「新曲」と言って演奏されるという永遠の新曲っぷりで披露されたのだが、
「上手いことやろうぜ、ぴあフェスー!」
というこやまの煽りはとっくに新曲じゃなくなった今でも我々のテンションをさらにブチ上げさせてくれる。こうして制限が多い中でも楽しむということはきっと上手いことやれているはずだ。
こやまが
「ヤバイTシャツ屋さんのライブ初めて見る人?」
と問いかけるとかなり多くの人が手を挙げたために
「すぐ下ろしてください」
と腕を下ろさせてから、しばたのベースももりもとのドラムも超高速化した「ヤバみ」がクライマックスの始まりを告げると、初めて見る人がたくさんいる中でも手拍子も「YEAH!!」のフレーズでピースするのも完璧に決まる「NO MONEY DANCE」というキラーチューンの連打っぷり。果たしてこの曲のコーラスを一緒に歌うことができるのはいつになるだろうかとも思うけれども、その時はきっと今よりもはるかに楽しいライブになるはずだ。
そんなライブの最後には「かわE」が演奏されて、観客は心の中で「やんけ」の大合唱が起きて楽しく踊って大団円と思われたのだが、こやまは
「あと3分30秒残ってる。無線LAN!」
と言って超高速で「無線LANばり便利」を演奏すると、その高速化しているビートの中で最後のサビ前で再び観客を座らせてから一気に大ジャンプさせる。
時間ギリギリまで使うのも、こうしてそれを何とか時間内に納めようとテンポを上げるのも、全ては観客に楽しんでほしいからだ。だからこやまは最後にも
「楽しかった人ー!」
と声をかけた。その声に応えるようにたくさんの腕が上がる。その光景こそが誰に何を言われても揺らぐことのない事実だ。ヤバTのライブはいつもそれを確かめさせてくれる。だからやめられないし、それを感じさせてくれるヤバTはかっこE越してかっこFなのである。
1.ハッピーウエディング前ソング
2.あつまれ!パーティーピーポー
3.メロコアバンドの3曲目ぐらいによく収録されている感じの曲
4.Tank-top of the world
5.ちらばれ!サマーピーポー
6.sweet memories
7.泡 Our Music
8.癒着☆NIGHT
9.ヤバみ
10.NO MONEY DANCE
11.かわE
12.無線LANばり便利
17:00〜 ハルカミライ [CAMP STAGE]
サウンドチェックでいつものように赤いTシャツの関大地(ギター)と髪を茶色く染めた小松謙太(ドラム)に肩を借りながら須藤俊(ベース)がステージに。先月のHAZIKETEMAZARE FESTIVALにてアキレス腱断裂という重傷を負ったためにその後のライブは当然出れず、この日が退院後初ライブなのだがすぐに歩くことができるわけもなく、須藤は椅子(というか大きめの箱)に座っての演奏。なのだが、
「今俺足にギブスつけてるんだけど、足にボルト入れるよりもちんこに管入れた方がよっぽど痛かった(笑)」
という入院エピソードで笑わせてから、座りながらでもいつも通りに演奏するあたりは負傷を全くネガティブなこととして捉えていないどころか、むしろ心配してしまいがちな観客すらも笑顔にしてくれる。この精神力の強靭さこそがハルカミライだと言えるだろう。
「この天気の良さ、アキレス腱切った時のハジマザのライブを思い出すな(笑)
あの時、激しい曲じゃなくて「ウルトラマリン」っていうむしろ良い曲系の曲で切れた(笑)」
と言ってその「ウルトラマリン」を実際にアキレス腱が切れたというパートまで演奏したりしてリハをすると、本番では橋本学(ボーカル)が旗を持ってステージに登場し、
「帰っときたぜー!」
と叫んで「君にしか」でスタートするのだが、橋本も関もこの3週間ほどをライブがない生活で過ごしていた我慢から解放されたかのように溜め込んだものを放出しようと思いっきり歌い、演奏し、動いている。そこに加われない須藤はなんとももどかしそうな顔をしているが、それでも椅子に座っていてもいつものようにベースをステージに置き去りにして弾かないかのように演奏していない部分があるというのは今までの感覚を忘れないようにしているところもあるのだろうか。
するとおなじみのコンボである「カントリーロード」では関が曲中にゆうに4mくらいはあるであろうステージ横の鉄骨をよじ登っていく。さすがに落ちたらアキレス腱どころじゃ済まないから落ちたり飛び降りたりしないでくれよと思っていると、そのままそこに座ってギターソロを弾いていたあたりは関もちゃんとわかっているようだ。彼もまた手首の骨にヒビが入っているという満身創痍状態であるらしいが。
サウンドチェックだけでなく本編でもしっかり演奏される「ファイト!!」でも須藤が動けないのは逆に新鮮であるが、
「ぴあ50周年と俺たちの復活祭に来てくれてありがとうー!」
と橋本が叫んだあたり、やはりライブをやりたくてやりたくて仕方がなかったんだろうなぁということが伝わってくる。
それが発揮されたのは「俺達が呼んでいる」で関がギターを抱えたままでステージを転がり回り、水を口に含んで橋本に吹きかけると橋本もお返しとばかりに関に吹きかけ、さらに関がドラムセットに突っ込んでぐちゃぐちゃになりながらギターを弾き、その状態でも小松はドラムを叩き続けるというパフォーマンス。それはどこかコロナ禍になる前のハルカミライのはちゃめちゃな、でもそれが何よりもロックバンドの衝動を感じさせてくれていたことを思い出す。我々からしたら1ヶ月はすぐであるが、バンドからしたら永遠のように長いライブができない期間だと感じていたのかもしれない。
そんな曲中にも須藤は関を自分のところに呼び寄せて耳打ちをし、それを関が小松に伝えることによってショートチューン「フルアイビール」が曲と曲を繋げるように演奏されるというその場でのセトリや流れの変え方はあれだけめちゃくちゃなライブをやっていても俯瞰した視点を失わない須藤ならではと言える。
それは橋本には伝えられていなかったために須藤が
「「フルアイビール」追加したの俺だから」
と橋本に告げてから演奏された「春のテーマ」でのメンバー全員の合唱は、やはりこのメンバーがこうして4人で演奏している間はこの場所が世界の真ん中になるんだなと思わせてくれる。それくらいにこのバンドのライブはやっぱり最強である。
「今日、Saucy Dogがトリなんだろ?変わってくれねぇかなぁ(笑)俺たち全然もう一回やるから!」
と、自身の初武道館ライブを捧げた友人だからこその言葉をSaucy Dogの初のトリに贈るのであるが、このバンドだっていつかは必ずこうしたフェスでメインステージのトリを務めるような日が来るはずだ。なんならワンマンのキャパを考えたら今メインステージに立っていてもおかしくないと思う。
須藤が
「学と大地が思いの外前に出るから俺ももっと前に行きたい」
と自身の座る箱を前に押し出してもらうと、その須藤の実家の犬の曲こと「Tough to be a Hugh」というショートチューンでさらにサウンドが加速すると、一瞬小松が前に出てきて観客を煽るようにしてから「世界を終わらせて」へ。この曲中に目の前にいたカップルが肩を組んで身を寄せ合うという場面に出くわしたのだが、それに舌打ちしたくなるのではなく、わかるよと思えるのがハルカミライの音楽の、ライブの凄さだ。なんならコロナ禍じゃなかったら周りの知らない人とそうしたくなるし、それが馴れ合いじゃなくて純粋な音楽の力であると言えるくらいに。
そしてメンバーが体を正対させるようにして薄暗くなってきた会場に真っ白い照明が当てられて轟音が鳴らされたのは「僕らは街を光らせた」で、橋本は曲中で
「バンドを始める理由なんて色々だ。中にはモテたくて始めたってバンドもいるかもしれないけど、ライブをやったりするにつれてその目的は変わっていく。バンドはカッコよくなっていくから、カッコいいバンドと一緒にカッコよくなろうぜ!」
と語る。もしかしたらそれこそが「地獄の果て」であり「音楽の果て」であり「歓声の果て」なのかもしれない。そうして一緒にカッコよくなっていくのはこのバンドであって欲しいと心から思っている。
橋本は
「セトリ変えます!」
と言うと、最後に演奏されたのは、轟音の中に確かな光が見える「ヨーロービル、朝」。僕らが光らせた街はこの新木場であり、ヨーロービルがあるバンドの地元の八王子なのだろうし、復帰初ライブという待ちに待った瞬間の最後に演奏するのはこの曲じゃなきゃいけないという一瞬の判断もあったのだと思う。
やはり須藤が負傷していて動けなくても、この4人が音を鳴らせばその最強っぷりは変わらないなと思っていたら、なんと
須藤「あと15秒ある?Bring!」
と言ってその、もはや残ってるって言わないような時間の中でもショートチューン「To Bring BACK MEMORIES」を一瞬で叩きつけて、やはり須藤が3人に背負われるようにしてステージを去っていった。もう笑っちゃうくらいにハルカミライすぎて、これならきっと大丈夫だなって思えたのだった。
須藤がアキレス腱を断裂したというニュースを見た時に、これは当分ライブは見れないだろうなと思った。プロ野球選手がアキレス腱を断裂して長いリハビリをすることになり、それから1年以上経過してグラウンドに戻ってきても、それまでのように走れなくなってしまった姿を見てきてしまったから。
そんな重傷を負いながらもハルカミライはすぐに戻ってきた。橋本はこの日ステージに現れてすぐに
「ヒーロー見参!」
と言っていたが、本当にこんなヒーローが他にいるだろうかと思う。今年はもう見れないかとも思ったハルカミライのライブはこれからもいろんな場所で見れる。
リハ.ファイト!!
リハ.ウルトラマリン
リハ.エース
リハ.ファイト!!
1.君にしか
2.カントリーロード
3.ファイト!!
4.俺達が呼んでいる
5.フルアイビール
6.春のテーマ
7.Tough to be a Hugh
8.世界を終わらせて
9.僕らは街を光らせた
10.ヨーロービル、朝
11.To Bring BACK MEMORIES
17:40〜 04 Limited Sazabys [WIND STAGE]
こちらもフェスではまだトップバッターとは言わないまでも、前半の時間帯に出演することが多い、フォーリミ。それはこの会場でのフェスでもそうであったが、この日はトリ前という時間帯。日中の暑さは完全に夏だったが、それでもこの時間にはもう場内がすっかり暗くなっているというのは今がもう夏ではないということを感じさせる。
おなじみの賑やかなオリジナルSEでメンバー4人がステージに現れると、
「ぴあフェス準備できてんの!?」
とGEN(ボーカル&ベース)が叫んで、来るべきアルバムに収録される新曲「Keep going」からスタート。前週の中津川の時は演奏されていなかった曲だが、この曲のシンプルかつストレートなメッセージと疾走感の強いビートは否応なしに我々の意識をより前へ前へと進ませてくれるし、アルバムへのただでさえ高い期待がさらに高まる。またこの曲はACIDMANの「Rebirth」も起用されていたアニメのタイアップなのだが、全くどんなアニメなのか観たことなくてもこの曲をきっかけに見てみたくなる。
「気持ちいいところへ一緒に行きましょう、ぴあフェス!」
とGENが言うとサビで腕を上げざるを得ないくらいに心躍るメロディーの「Warp」と、フォーリミもまた今はライブごとにガラッとセトリを変えているバンドだ。だからこそこうしてこの日はどんな曲が聴けるんだろう?と楽しみになるのだ。
さらにはポップなメロディーとKOUHEI(ドラム)によるビートが我々の体を踊らせてくれる「Kitchen」で手拍子もバッチリ決まると、
「もう薄暗くなってきてるから、降らせちゃってもいいですか!」
と「midnight cruising」へ。KOUHEIのカメラ目線のドラム連打も、RYU-TA(ギター)のやはりカメラ目線での変顔も実に楽しいが、雲ひとつなくわずかではあるが星が煌めくのが見える野外フェスの夜の時間に聴くことができるこの曲はやはり格別である。
「日本で1番有名な新幹線の利用客、04 Limited Sazabysです!」
とGENは前週の中津川でのライブ帰りに新幹線乗り場でTVに一般人として取材されたことをネタにするのだが、
KOUHEI「あの時、お前酒飲んでたからかもしんないけど、乗ってた新幹線が名古屋に引き返しますってなった時に1人だけ「修学旅行みたいじゃーん!」ってはしゃいでたのめちゃくちゃ恥ずかしかったからな!(笑)」
GEN「隣の席の人とかと協力して一緒に座席の向き変えたりして、なんだかこのコロナの状況の中でなんとか協力して生きていこうとしているみたいだったよね」
KOUHEI「さすがにそれは違うだろ(笑)」
GEN「違うか(笑)そんな、コロナなんて大昔にあったな〜って思うような、未来からのメッセージ!」
と「message」でのツービートでパンクに疾走すると、KOUHEIが身を乗り出すようにして中指を突き立てる「fiction」ではHIROKAZ(ギター)が観客を「オイ!オイ!」と煽りながら、ステージには様々な色のレーザーが飛び交う。それが野外で映えるのもこの暗くなった時間帯だからこそである。
するとそのHIROKAZの浮遊感を感じさせるギターフレーズが「swim」の現在形として響くような「fade」と、前週も同じくらいの持ち時間でのライブを見ているだけにセトリの様変わりっぷりには驚いてしまうのであるが、それはハードなサウンドの「escape」へと展開することによってこのバンドの器用さとパンクバンドでありながらのサウンドの幅の広さを実感する。それはHIROKAZとRYU-TAというタイプが違う2人のギタリストがいるからこそでもあるだろう。
そんなこの日は虫の鳴き声も聞こえてくるだけにすっかり秋であり、GENはHIROKAZに
「バッタ触れる?」
などの質問をぶつけるのであるが、自身の愛猫のちくわが寝る時に腕枕をせがんでくるようになったことによって秋を感じるようになったことを告げると、この日は「Letter」が残暑見舞いとして演奏される。この曲は春の卒業シーズンによく演奏されてきたイメージが強いが、こうしてこの時期に聴くと実に秋らしい曲でもあるなと思う。
するとGENによるベースと歌のみで始まる「soup」というまさかの選曲ではそのGENにスポットライトが当たるというフェスのステージとは思えないような演出が。それはこのフェスが本当にフォーリミのことを愛してくれている証拠であるし、その回答としてバンドはこの愛の曲を演奏しているように感じた。
そして中津川の時にも最後に演奏された「Just」は今のフォーリミの「monolith」と言ってもいいくらいの迫力を持ち、ライブ開始時は今日は少し喉がキツそうかなとも感じたGENもハイトーンの極みとも言えるようなこの曲をしっかり最後まで歌い切ることによってその曲の持つ力を引き出していると言える。
そんなライブの最後には
「ぴあフェス、この曲知ってるやつ何人いるんだ!」
と言って、その「Just」の雛形とも言えるような「monolith」までもが思いっきり腕を振り下ろすようにして演奏された。その演奏を見ていたら、初めてこの若洲公園でこの曲が鳴らされたのはMETROCKの1番小さいステージだったのが(当時すでにYON FESも開催されているという状況だったが)、今このバンドはこの会場のメインステージを担う存在になったんだなと思った。そこに至るまでを見てきただけに、今のフォーリミに絶大な頼もしさを感じるし、アルバムリリースからツアーと、まだまだここからコロナを振り切るくらいのスピードにフォーリミは加速していく。
1.Keep going
2.Warp
3.Kitchen
4.midnight cruising
5.message
6.fiction
7.fade
8.escape
9.Letter
10.soup
11.Just
12.monolith
18:40〜 indigo la End [CAMP STAGE]
川谷絵音のこの日2ステージ目はCAMP STAGEのトリでのindigo la End。もはやこのバンドがゲスの極み乙女のバーターではないことはここ数年のこのバンドの様々な曲での火のつき方から明確であるが、このバンドにピッタリな時間帯での出演である。
川谷とともにこの日2ステージ目であるサポートコーラスのえつことささみおも含めた6人編成で登場すると、長田カーティスが印象的かつテクニカルなギターフレーズを刻む「夜明けの街でサヨナラを」からスタートし、川谷はゲスのライブ時とは全く違う、切なさというか儚さを感じさせるような歌声になっているのもさすがであるが、佐藤栄太郎(ドラム)が激しく叩きまくるイントロからの「名もなきハッピーエンド」と、このバンドのギターロックバンドさを感じさせるような音の強さとスピードはゆったりしたムーディーな曲のバンドというイメージを持った人が初めて見たら驚くかもしれないくらいだ。
さらにもはやギターロックというよりもグランジ・オルタナ的な激しいサウンドが鳴り響く「実験前」ではカーティスだけではなく後鳥亮介(ベース)もステージ前に出てきて観客を煽るように演奏するのだが、佐藤の性格無比なドラムも含めて、やはりこのバンドはゲスの極み乙女とはまた違った方向でめちゃくちゃ演奏が上手い。それはやはり川谷が自分の描く音楽を再現するためのメンバーたちということもあるのだろうけれど、それぞれが演奏技術もキャラも全く違うメンバーたちばかりというのは川谷の人を見る目の凄まじさを実感させられる。少なくともミュージシャンを見る目においては。
それはコーラス2人もそうであり、その2人によるコーラスが曲の入りとなってその曲のイメージを決定づける「邦画」や「チューリップ」という曲は確かにそのムーディーなサウンドに浸るような曲でもあるのだが、それはこのコーラス2人によるものが大きいと言えるし、だからこそえつこがボーカルを務めるDADARAYのライブも見てみたくなる。何よりもそうした曲たちはこの夜という情景だからこそ本領を発揮できているというか、昼間だったらこんなにもこれらの曲でエモーショナルさを感じることはないだろう。
そんな中で意外な選曲は女優であり歌手でもある(YMOのメンバーたちとも活動している)原田知世に川谷が提供した「ヴァイオレット」のセルフカバー。そりゃあこの曲をカバーするならどのバンド、ユニットよりもこのバンドだろうと思うのであるが、まさかこうしてフェスという場で開陳するとは。まさにヴァイオレットな照明もまたこの夜だからこそ輝くものでもあると言えるだろう。
そして「はにかんでしまった夏」で再びカーティスのギターが牽引するロックサウンドが鳴り響く。こうした曲では観客の腕が上がっていた光景もまたこのバンドの音楽の受け取られ方が変わってきているんだなと思える。ただムーディーな音に浸るだけのバンドではないというのがちゃんと伝わってきているというか。
「フェスで夜に出るのも久しぶり。この曲をずっと夜の野外でやりたかった」
と川谷が言って演奏されたのはそんなバンドのイメージを決定づけた曲とも言える「夏夜のマジック」で、ギターロック的なアッパーなサウンドではなくてもたくさんの観客の腕が上がるというのは本当にこの曲が今のこのバンドの代表曲なんだなと思うけれど、もう10月だというのに完全に夏と言っていいくらいにこの日が暑かったのは、この日この場所でこのバンドがこの曲を演奏することが決まっていたからこそもたらされた、夏の夜の、今夜だけのマジックだったのかもしれないと思っていた。きっと今年この曲を夜の野外で聞けたのはこの日が最初で最後になった人もたくさんいただろうから。
1.夜明けの街でサヨナラを
2.名もなきハッピーエンド
3.実験前
4.邦画
5.チューリップ
6.ヴァイオレット
7.はにかんでしまった夏
8.夏夜のマジック
19:30〜 Saucy Dog [WIND STAGE]
今の勢いは確かに凄まじいものがあるとはいえ、タイムテーブルが発表された時は驚いてしまった。この日のメインステージであるWIND STAGEのトリはSaucy Dogである。
おなじみのSEでメンバー1人1人が順番に現れて丁寧に観客に頭を下げるのも、その出で立ちも普段と全く変わることはないが、やはりこのメインステージのトリというシチュエーションで3人だけの機材が並ぶステージ上は実にシンプルであるが、そんな中で石原慎也(ボーカル&ギター)が1曲目に歌い始めたのはこの東京都の会場で鳴らされた「東京」だった。
「東京。
大丈夫僕は。上手くやれているよ
諦めることにも麻痺してきたから
はじめて正しい事ばかりが
正義じゃないのが分かってきたんだ」
という島根から上京してきた石原の心境がリアルに響くのは、その自分に言い聞かせているかのようだった歌詞が、そうしなくても大丈夫になったという実感を感じさせるからだ。もちろんそれはこのフェスのメインステージのトリという状況がそう感じさせてくれたものである。
「バンドマンである僕らの歌」
と石原が言って演奏された「メトロノウム」もまた、
「僕らは旅をする 迷いながら
このままナビはいらないさ」
というサビのフレーズが、旅をしてきた結果としてのこのステージであることを感じさせるのだが、秋澤和貴(ベース)は本当に怖くなるくらいにフェスのメインステージのトリを任せられたプレッシャーを1ミリたりとも感じていないかのように普段と全く変わることがない。だからこそこうして地に足をついた演奏ができていて、バンドのサウンドがしっかりしているとも言えるのであるが、汗を飛び散らせながら
「今までに言われて1番キツかった曲」
と言って演奏された「煙」を歌う石原とは対称的だ。それはバンドとしては実に良いバランスと言えるのかもしれないけれど、石原の言葉は冒頭の恋人であろう人の会話がリアルな体験から生まれたものだということである。
まさかここで演奏されるとは思っていなかった「結」を歌う石原の歌唱は実に伸びやかであることは普段と変わらないというか、むしろ普段よりも一層そう感じるくらいだ。するとこちらも秋澤同様に普段と変わらないように見えるせとゆいか(ドラム)は
「私は普段、一緒に楽しみましょうってMCで言うようにしてるんだけど、今日は私たちがトリっていうことで、私たち以外のアーティストを観にきたっていう人もたくさんいると思う。だからそういう人たちも一緒に楽しめるライブがしたいなと思ってます。一緒に楽しみましょう」
と実に実直さを感じさせるような言葉を観客に送ると、逆にもう気持ちが前に前に行きまくっているように感じる石原は「君がいない」をタイトルコールして歌い始めると、感情を思いっきり乗せるように、なんなら叫ぶようにと言っていいくらいにして歌っていたのが印象的だ。
それは秋澤がステージ前に出てきてイントロのベースを鳴らす「雷に打たれて」もそうであったのだが、これらの普段フェスではあんまり演奏されることのない曲を演奏していたのは、この日はロックバンドとしての自分たちのライブを見せるというテーマがあったんじゃないかと思うし、初めてのフェスのトリとしてのライブでメンバーが1番示したかったのはそこだったんじゃないかと思う。
だからこそ石原がイントロで激しくギターを掻き鳴らす「ゴーストバスター」からの後半も、そうしたアッパーな曲の連発となっており、それはリズム自体は軽快である「バンドワゴンに乗って」も含めて、自分たちはロックバンドなんだということを今一度示そうとしているように見えた。
そんな中でも石原は
「3人だけでこうしてフェスのトリをやれるようになったわけじゃない。スタッフの人やフェスを作ってくれてる人、そしてこうして俺たちのライブに来てくれて、音楽を聴いてくれてるみんながいてくれるから。本当に感謝してます。ありがとうございます!」
と、このステージに立てた感謝を口にしたのだが、この言葉で石原も地に足がついたような感じがした。だからこそその言葉の後に演奏された「優しさに溢れた世界で」は気持ちが先走ることなく、今1番伝えたいこととして歌えていたような感じがあった。魚座としては歌い出しのフレーズは共感するばかりなのであるが、優しすぎるがゆえに近年は傷付いたりすることもたくさんあったメンバーたちの優しさが、彼らの目の前にいる人たちにちゃんと伝わって欲しいと思う。
そんな初めてのフェスのトリの最後に演奏されたのは、各地の夏フェスなどでも最後に演奏されてきた「Be yourself」で、メンバーの演奏している姿が映し出されるスクリーンにはその上に曲の歌詞も映し出される。それによってこの曲の前向きなメッセージがしっかり頭に入ってくるし、それは
「君がくれる言葉には
不思議な力があると思うんだ
明日ももう少し
頑張ってみたくなる」
というフレーズがまさにこのバンドの歌詞、石原の言葉であることを示しているし、何よりも
「Don't let it get you down
君は君らしくいてよ
Don't worry about it
自分の為に生きて良いんだよ
間違えていこう!」
というサビを歌うメンバーは笑顔だった。プレッシャーももしかしたら感じていたかもしれない(秋澤以外は)けれど、笑顔になれるということは自分たちの音楽を自分たちのベストの演奏でやり切れたということだ。
きっとアンコールで「シンデレラボーイ」「いつか」という曲を演奏するだろうと予想していた人も多いだろうし、自分もそうするかな?とも思っていた。でもそのまま終演のアナウンスが流れた時に、本当に潔いというか清々しいバンドだなと思った。今自分たちがやりたいこと、自分たちが示したいことだけを初のフェスのトリというステージでやってみせたのだから。もうフェスに出まくっているだけに今年だけで何回見たかわからないくらいにライブを見ているけれど、そんな今年見てきたSaucy Dogの中で1番カッコいいと思ったライブだった。そしてどれだけ話題になったり売れたりしても、このバンドはロックバンドという軸だけは見失うことはないだろうなとも思った。
1.東京
2.メトロノウム
3.煙
4.結
5.君がいない
6.雷に打たれて
7.ゴーストバスター
8.バンドワゴンに乗って
9.優しさに溢れた世界で
10.Be yourself
昨年はぴあアリーナMMでの開催であり、会場もぴあが作ったものであるだけに今後はそこで開催されていくのかと思いきや、まさかの若洲公園に帰還。そこには野外でやりたいという思いや、ぴあアリーナだと同じ大きさで2ステージという設営しかできないなとの理由があると思われるが、ともあれおそらくは今年最後の野外フェスである。
そんな野外フェス日和すぎるというべきか、もう完全に夏フェスかのような暑さと陽射し。もう10月という完全に秋と言っていい時期だというのに5月にこの会場で開催されたMETROCKの時より暑いんじゃないかと思ってしまうくらいに暑い。名前こそ
WIND STAGE
CAMP STAGE
STAR STAGE
と変わっているが、ステージ構成もそのMETROCKと同様の3ステージ。
12:20〜 四星球 [CAMP STAGE]
本来はメインステージであり、この会場の象徴と言える風車が背後に聳えるWIND STAGEでBLUE ENCOUNTがフェスの開幕を告げるはずだったのだが、田邊駿一が当日に体調不良を訴えて陽性になってしまったために、その予定だった11:30からは空き時間となり、このステージとその10分前に開演となるSTAR STAGEがトップバッターになることに。
このCAMP STAGEのトップバッターである四星球はメンバーがサウンドチェックで衣装に着替える前の私服で登場すると、まだかなり早い時間から「ギンヤンマ」などの曲を演奏し始め、フェスではまずやらないような「HEY!HEY!HEY!に出たかった」「レッツ・エンターテイメント」あたりの曲を演奏するのは、コミックバンドでありながら年間100本以上のライブをしてきたライブバンドとして、常にこれらの曲を演奏できる状態にあるということを示しているかのようである。
しかもそれだけではなく、
「普通はやらへんからな?」
と北島康雄(ボーカル)が言いながら、どの曲をやるのかを観客が掲げたバンドのタオルによって決めるのであるが、ヤバTのタオルを見ると「あつまれ!パーティーピーポー」の音源をスマホで流してコードを確認し、
「この曲1分くらいずっと「しゃっ!」と「えびばーでぃ!」しか言ってないやん!こやま君凄いな!」
と驚きながらその場でコピーするのであるが、やはりイントロから「えびばーでぃ!」までのみというお約束っぷりで、さらにはかつてJAPAN JAMで本人とコラボしていたフォーリミ「swim」を演奏しようとすると、
まさやん「原キーで?」
北島「ゲンってどっちのゲン(原orGEN)って感じになるから(笑)」
とトークも昼間から絶好調なのであるが、原曲キーで歌ったことによって北島の喉は凄まじい消耗を強いられることに。本編で声が出なかったらこの曲のせいらしい。
さらにはロッキンでBiSHが出演キャンセルになった時に演奏していた「BiSH -星が瞬く夜に」までを演奏しようとするのだが、北島は袖にいたDizzy Sunfistのあやぺたを発見してステージに引っ張って歌わせようとすると、
あやぺた「アイドルになるっていう子供の頃からの夢が、BiSHの曲を歌わせてもらうことで叶いましたー!」
北島「こんなんで「夢叶った」って言っていいんか!?(笑)」
というバンド界最強クラスのボケとツッコミによるやり取りで笑わせながら、あやぺた歌唱で「BiSH -星が瞬く夜に」を演奏すると、客席のROTTENGRAFFTYのタオルを発見するも、
「タオルの向き逆やで。そういうところにうるさい人たちやから(笑)」
と言ってROTTENGRAFFTY「金色グラフティー」を演奏しようとするも、
まさやん「機械がないとできない!」
北島「機械ってなんやねん!(笑)」
まさやん「あ、じゃあチューニング変えてやります!」
北島「サウンドチェックしてるはずなのに「金色グラフティー」やるためだけにチューニング変えるってもう本末転倒ですよ!(笑)」
と、マジでこの曲のためだけにまさやんはチューニングを変えてイントロから「お前が見ている世界は」のセリフまでを演奏するのだが、そのセリフを「えびばーでぃっ!」に変えるというお約束をモリス(ドラム)だけが察知できずに演奏が止まり、最後は自分たちの「ギンヤンマ」を再度演奏してチェックを終える。
と、ここまでは全てまだ本編が始まる前の出来事である。本編の持ち時間30分に対してサウンドチェックを40分くらいやっていたが、これは間違いなくBLUE ENCOUNTのライブがなくなってこの時間の行き場がなくなってしまった我々が退屈しないで楽しめるためのものだ。その場で聴いた曲をすぐに演奏できる天才集団っぷりも凄いが、本当に優しいこのバンドがさらに大好きになってしまう。
本編で法被に着替えた北島がステージに現れると、
「チケットぴあではいろんなチケットを取り扱っております。音楽以外のチケットも取り扱っております!」
と、ライオンキングのU太(ベース)、しまじろう(のキャラクターの鳥?)のまさやん、ステージ脇に置かれていた怪しげな小型のテントから出てきた葉加瀬太郎のモリスというチケットぴあのイベントだからこその扮装で、なんの集団なのかパッと見では全然わからないメンバーが「鋼鉄の段ボーラーまさゆき」を演奏し始め、まさやんは自身の名前を力強く叫ぶと、小道具としてキャンプ用品やWIND STAGEの風車などのこの会場ならではのものが次々に出現する中、北島は観客にエアギターをやらせてその場でぐるぐる回らせたりするのだが、突如として歌うのをやめると、
「関係者がやってない!ぴあフェスの皆さん、関係者の人たちはぴあの50周年を祝う気がないみたいです!」
と、無理矢理関係者エリアの人たちにもエアギターをさせてその場でぐるぐる回らせるのであるが、北島が言う通りに今年でぴあは雑誌創刊から50年である。四星球が20周年なので、はるか大先輩ということになる。
早くも演奏された「クラーク博士と僕」ではまさやんがいきなりギターを置いて風車の小道具を北島とU太に向かって振り回すという狂人と化すのが面白すぎるが、そんな名曲で観客は踊りまくり、腕を上げたり手拍子を下する中で、リハから本編までの詰め込みっぷりに疲れてしまった北島はその場に寝転んでしまう。
それはもちろん「UMA WITH A MISSION」が始まる合図であるのだが、持ち時間が短いからかあっさり一回で起き上がるためにまさやんに合わせた曲中のダンスは覚えきれなかった人も結構多かったんじゃないだろうか。ちなみに
「持ち時間が5分増えても立ち上がるまでの時間が長くなるだけやから!」
とのこと。
そうした疲れは先週に4日で5本ライブをやり、この日も終わったらすぐに移動して翌日は島根でライブというとんでもないスケジュールによるものであるが、
「先週の5本目はライブ始まるまではさすがに疲れてた。始まるまでにいろんなもの飲んだりとかしてなんとか元気になろうと思ったんだけど、ライブ始まってステージに出たらすぐに元気になった。
みんなもそうでしょ?仕事、学校、バイトと疲れることがたくさんあって、土日に休んで元気になるところをこうしてわざわざライブ観に来てるんでしょ?それはライブを観たら元気になれるからですよ!」
と我々のことをわかってくれているあたりはさすがいろんな場所でライブをやりまくっていろんな人と出会って、いろんな光景を見てきたバンドだからこそだ。
そんなバンドの渾身のバラード「君はオバさんにならない」はこの日のトリのSaucy Dogの石原慎也も良い曲だと言っていた曲であるが、ぴあフェスのこのステージで聴くと、このフェスの初年度にバキバキのEDMアレンジのライブをやった、曲の元ネタの森高千里を思い出す。あの衝撃は長いフェス歴の中でもトップクラスと言えるくらいに強烈だったかもしれない。
そしてここまでですでにたくさん泣かせて、たくさん笑わせてくれたという泣き笑いっぷりを見せてくれたバンドが演奏する「妖怪泣き笑い」では北島が
「誰かが亡くなったっていうニュースを見ると、親にあと何回会えるかなとか、あの人に会いたいなとか思うんです。だから会える時に会いに来てくださいね」
と口にする。出来る限りそうした人生を送ってきたつもりであるが、こうして何度となく笑わせてもらって、何度となく力を貰ってきたからこそ、このバンドにもっと会いたいと思う。会えなくなった時に後悔しないように。そう思いながらもU太がエフェクティブなリズムに音を切り替えて、観客を座らせてから一斉にジャンプさせるのは本当に楽しくなってその後も何度だって飛び跳ねてしまう。
そんなライブの最後には、
「きっとSaucy Dog観た後にはこのライブなんか忘れてしまってるはずです!でもそれでいいんです!今日忘れても、来週の仕事とか学校で「あの時面白かったな」ってクスッと思い出し笑いしてくれたらそれでいいんです!」
と北島が告げて、パンクなリズムでメンバーはステージを動き回り、観客は飛び跳ねまくる「薬草」でザッツオールなのだが、最後にこの日使用した小道具をフル活用して
「祝50周年」
という文字を作ってぴあをお祝いしたことも含めて、こんなライブは忘れられるわけがない。今までに観てきた四星球のライブを覚えているように。こうしてこれからもライブを見るたびにきっと忘れようがないライブが増えていく。その記憶はそのまま平凡な日々を生きていくための力になってくれるはず。次にワンマンがあるんなら必ず足を運ぼうと思っている。
リハ.ギンヤンマ
リハ.Teen
リハ.HEY!HEY!HEY!に出たかった
リハ.レッツ・エンターテイメント
リハ.あつまれ!パーティーピーポー
リハ.swim
リハ.BiSH -星が瞬く夜に w/ あやぺた (Dizzy Sunfist)
リハ.金色グラフティー
リハ.ギンヤンマ
1.鋼鉄の段ボーラーまさゆき
2.クラーク博士と僕
3.UMA WITH A MISSION
4.君はオバさんにならない
5.妖怪泣き笑い
6.薬草
13:00〜 打首獄門同好会 [WIND STAGE]
ステージこそ違えど、この四星球→打首獄門同好会という流れは前週の豪雨の中津川 THE SOLAR BUDOKANと全く同じ流れである。なので2週間連続での四星球→打首という実に濃いフェスのスタートに。ブルエンが出れなくなったために実質このステージのトップバッターである。
メンバーとVJが登場するとおなじみの「新型コロナウイルスが憎い」でスタートし、
「VJもこの前かかったし
私もこの前かかったし」
とバンドで感染者が出てしまった歌詞に変わっているのは氣志團万博以降にすでに聴いているが、この日はさらに
「まさかのブルエンもやられたし
田邊君の分までぶちかますぞ」
という歌詞までもが追加されて、しっかりモニターにまで映っている。ブルエンのキャンセルが発表されたのがこの日の朝であったということを考えると凄まじい反射神経であるし、何より大澤会長(ボーカル&ギター)の人間としての優しさを感じる。それこそがこのバンドが様々なアーティストに慕われる所以なんだろう。
この日もステージにはレキシの等身大パネルが持ち込まれての擬似コラボが行われた「鬼の副長HIZIKATA」での肘や肩だけならず腰や膝までストレッチをしながら、新撰組局長・近藤勇のエピソードである「ゲンコツインザマウス」のフレーズで河本あす香(ドラム)とjunko(ベース)のリズムがレゲエを思わせるような軽やかなものに変化するのも実に楽しい。
やはりここで来るのはもう「スクワットの曲」としておなじみの「筋肉マイフレンド」であるが、ライブを40分見るよりもこの曲でスクワットをする時間の方がはるかにキツい。それでも周りにはやってない人がいないくらいにみんなスクワットをしているのでやらざるを得ない空気になってしまう。前週は四星球も自身のライブでスクワットを観客にやらせまくっていたが、この日はそうならなくて本当に良かったと思っていた。
すると会長は
「皆さんに一つ言いたいことがあります。今日、暑くないですか?(笑)
あまりにも暑いからセトリを変えました(笑)きっと今年この曲を演奏するのは今日が最後でしょう(笑)」
と言って演奏されたのは、コウペンちゃんが活躍するアニメーションが実に可愛い「なつのうた」。この曲のようにいろんな場所で夏の思い出を作ってきた、ようやくそんな夏が少しだけ戻ってきた今年の夏も間違いなくこの日、この週末で終わりだろう。9月以降は夏フェスなのか秋フェスなのかという問題もあるが、この曲が演奏されたことによってこの日は間違いなく夏フェスになったのだ。
「しまじろうのテーマソングの人気投票で1位になりました!」
と大澤会長が告げての「カンガルーはどこに行ったのか」ではしまじろうやカエルというキャラクターが大活躍するMVがスクリーンに映し出され、そこからは笑っちゃうくらいに共感せざるを得ない歌詞が映し出されることで笑いを誘う「死亡フラグを立てないで」、この暑さによる汗を流してさっぱりするために温泉に行きたいと思わせる、このバンドならではのラウドロックとサンバの融合と言える「地味な生活」とリリースしたばかりの新曲が続く。この2曲は時期こそ同じであるが、サウンドもテーマも何もかもが違う。それは打首というバンドがあらゆる意味での幅広さや引き出しを多く持っているバンドであるということだ。
12月に予定されているツアーファイナルの会場がぴあアリーナMMだというのもまたこのフェスに合わせたかのようであるが、この日にはそのライブが声出しOKのライブであることを発表する。ただ自分たちがそうしたいだけでそうするのではなく、我慢しまくってきた結果として自分たちが一歩踏み出すことで他のバンドにも繋げていきたいという想いを持っているということがしっかり伝わってくるのもメンバーの人間性によるものだろうが、海が近いだけに釣りをしにくる人も多くいるような会場だからこその「島国DNA」で昼飯時に残酷すぎる飯テロを起こすと、最後には
「去年までは見れなかったこの景色。これからの皆さんの大豊作を祈って!」
とやはり声には出せないけれど、心の中でと誰もが叫んだであろうタイトルフレーズも、ぴあアリーナワンマンでは思いっきり叫べるのか…と思うときっとその日は最高に楽しいものになるだろうなと思う「日本の米は世界一」が演奏された。
2回も流れてしまったぴあアリーナでのこのバンドのワンマンも含めて、きっと今年は秋からも大豊作と言えるくらいにいろんなライブを見れるようになる予感がしている。その流れを少なからずこのバンドは作ってくれたのである。
1.新型コロナウイルスが憎い
2.鬼の副長HIZIKATA
3.筋肉マイフレンド
4.なつのうた
5.カンガルーはどこに行ったのか
6.死亡フラグを立てないで
7.地味な生活
8.島国DNA
9.日本の米は世界一
13:50〜 Dizzy Sunfist [CAMP STAGE]
前回観たのが去年のSATANIC CARNIVALの時であり、この日に至るまでにいやま(ベース)の卒業もあってバンドの形が変わってから見るのははじめてのスリーピースメロディックパンクバンド、Dizzy Sunfistである。
テンション高くメンバー3人がステージに現れると、やはり新メンバーのメイ子(ベース)の金髪ショートという出で立ちはいやまとは真逆と言っていいものであるのだが、やはり何色にもわたる髪色をしているあやぺた(ボーカル&ギター)が
「暑い!めちゃくちゃ暑い!」
と叫びながら「Andy」でスタートし、そのメロディックパンクバンドとしての疾走感に腕が上がり、メロディの美しさについつい口ずさみたくなってしまう。
見るたびに見た目がワイルドになっている感じがするmoAi(ドラム)が力強いビートを叩きまくる「No Answer」ではスカのリズムになるフレーズで観客がツーステをして踊るという光景もこの日の出演者の中ではこのバンドだけだろうが、そうした演奏と楽しみ方がただでさえ暑いこの日をより暑くする。
「今までライブしてきて今日が1番暑い!」
「光合成してるみたい!みんな、光合成していこうぜ!」
とテンション高く、とりあえず思いついたことは全てそのまま口にするという、だからこそ意味不明に感じることも多いあやぺたのMCから「Someday」のメロディが響くと、メッセージからはシリアスさも感じさせる曲ながらも曲中にあやぺたとともに観客が腕を振るアクションが楽しい「Life Is A Suspence」とフェスらしくキラーチューンを連発していく。演奏を見ているとメイ子は機材はいやまとは変わらないように見えるが、高くベースを構えて弾くというあたりは彼女ならではの個性を感じる。
「みんな!心臓沸騰してるか!」
ともう暑すぎてわけがわからないくらいの感じになっているあやぺたの言葉から、曲に込めたメッセージはちゃんと説明できる最新曲「Hey! Stay by my side」はパンクというよりも跳ねるような軽快なビートが、まさにこのバンドが側にいてくれるという優しさを感じさせてくれるような曲だ。
「私も15年くらい前にKenさん(Ken Yokoyama)のチケットを取るために夜10時から朝10時まで梅田のチケットぴあの店舗に並びました!取れなかったけど!(笑)」
と、あやぺたなりのガチなぴあエピソードを語ると、メロディックパンクはポップな音楽であるということをしっかり感じさせてくれるような「Tonight, Tonight, Tonight」のサビで観客が両腕を上げたり手拍子をするのも実に楽しいが、心臓が沸騰するくらいに暑い中であってもあやぺたの歌唱は実に力強い。このバンドがこうしてメロディックパンクシーンの中で頭ひとつ飛び抜けた存在になったのはこの力強いサウンドに負けないようなあやぺたのボーカルがあるからだろう。
そしてあやぺたは最後まで、
「中学生の時に黒ギャルになりたくて日サロに2万円使って行ったけど、全然黒くならなかった!でも今日は日焼けして黒くなれそうな気がする!みんな、黒ギャルになろうぜー!」
と意味不明なことを口にし、メイ子とmoAiに
「中学生で日サロって早すぎる(笑)」
「中学生の2万ってだいぶデカイぞ(笑)」
と突っ込まれながらも、moAiがシンバルのセットを手で持ち上げる気合いを見せて、このバンドの活動指針そのものである「The Dream Is Not Dead」で自分たちの生き様を見せつけて終了かと思いきや、さすがそこはパンクバンド、30分の中に8曲を叩き込むように最後に「So Beautiful」を演奏した。それはあやぺたの超ポジティブな生き方はこんな時代になっても変わらないからこそ、こうして音楽があれば我々の人生も美しいということを示してくれているようだった。
「Dizzy Sunfistでした!ばいばいきーん!」
と言って終演SEのEDMサウンドで踊りまくりながら去っていくというのも楽しすぎた。
つまりはメンバーが変わってもDizzy Sunfistは変わらないということだ。もちろんメイ子が加入したことによってリズムやコーラスなどは彼女の個性を持って変化していくかもしれないけれど、あやぺたという太陽のような存在がいればこのバンドの輝きはずっと変わらないということが新編成でのライブを見てよくわかった。
1.Andy
2.No Answer
3.Someday
4.Life Is A Suspence
5.Hey! Stay by my side
6.Tonight, Tonight, Tonight
7.The Dream Is Not Dead
8.So Beautiful
14:30〜 ゲスの極み乙女 [WIND STAGE]
川谷絵音(ボーカル&ギター)はこの日2ステージ出演するが、1ステージ目はゲスの極み乙女でWIND STAGEに出演。ロッキンがコロナ感染でキャンセルになったために春フェス以来に見るライブである。
おなじみのコーラスメンバーのえつことささみおも含めた6人が轟音のSEでステージに登場。奇抜な衣装を着ることもある川谷絵音はこの日はジャケットを着用した普通の出で立ちであるが、この日の気候的に暑くないんだろうかと思うが、その川谷がギターを持ちながらキーボードを連打する「ロマンスがありあまる」でスタート。ちゃんMARIのピアノソロも実に美しいが、やはりメンバーそれぞれの演奏技術が実に高いバンドだというのが曲が始まってすぐに頭に浮かぶ感想というのはずっと変わらない。
その演奏技術の高さを改めて感じさせてくれるのは休日課長のゴリゴリのベースによって観客が飛び跳ねまくる「パラレルスペック」で、間奏ではメンバーそれぞれのソロも展開されるのであるが、川谷絵音は課長に
「今までに見たことないようなソロ見せて」
と無茶振りして課長はそれに応えようと渾身のソロを展開するのだが、川谷からは
「なんか見たことあるんだけど(笑)」
と一蹴されてしまう。その一方でちゃんMARIにも同じオーダーを出すとちゃんMARIはそれに応えて川谷も
「これは聞いたことないやつだった」
と言わざるを得ない見事なものに。そして最後にはドラマ「六本木クラス」に出演していたほな・いこか(ドラム)が
「行くぞ新木場クラスー!」
と叫んでのドラムソロへ。その麗しい見た目とタイトなドラムプレイが野外フェスという開放感を感じる観客のテンションをさらに上げてくれる。
サポート2人のコーラスが川谷のボーカルに美しく重なり合う「猟奇的なキスを私にして」でこのバンドが大ブレイクしたことはメンバーのキャラではなくてやはり曲の強さだなと思わざるを得ないヒット曲から、川谷がハンドマイクでステージを歩き回りながら言葉数の多いボーカルを歌う「はしゃぎすぎた街の中で僕は一人遠回りした」のメロディとサウンド、そして歌詞がやはりこのバンドの曲からは切なさを感じてしまうなと思ってしまう。
するとバンドの演奏も一気に激しく、サウンドもアッパーになる「crying march」ではいこかがドラムを叩きながら歌詞を口ずさんでいる姿がスクリーンにも映るのであるが、そんなサウンドがなだれ込んでいくのはまさかの「餅ガール」。アバンギャルド的とも言えるような演奏の中でメンバーが順番に「餅が」「食べたいわ」と口にするシュール極まりないこの曲がまさか今になって聴けるとは。改めて聴いても何もかもがめちゃくちゃ変な曲なのにめちゃくちゃポップな曲になっているというあたり、川谷絵音の魔力はすでにこの曲で全開に発揮されていたということがわかる。
そして川谷が再びハンドマイクになると、腕を挙げて観客を煽り、観客もそれに合わせて腕を上げる「キラーボール 」では間奏で川谷がちゃんMARIに
「チケットぴあのテーマ弾いて」
と言うと華麗なピアノソロを弾くのだが、それだけに止まらず
「イープラスは?」「ローチケは?」「楽天チケットは?」「ZAIKOは?」
と次々に競合他社のチケット会社のテーマを弾かせるのだが、ちゃんMARIの演奏を聴いて
「イープラスは狂ってる(笑)」
「楽天チケット使ったことないでしょ?(笑)」
「ZAIKOはよく問題起きるからそんな感じ(笑)」
と、これは後で怒られたりしないんだろうか?と心配になりながらも、
「ZAIKOはローチケのサービスだから同じだけど(笑)」
とさすがに川谷はチケット会社の事情にも詳しい。
そんな川谷はこの日の10月とは思えないような暑さを、
「今日想像したよりもずっと暑いんだけど、夏フェスを結構飛ばしちゃって出れなくなっちゃったから夏フェスに出てる感じがして嬉しかった」
と口にするのだが、その後に最後に演奏された、ゲスのど真ん中であり最新系でもある「もう切ないとは言わせない」はそのタイトルとは裏腹にその川谷の言葉が切なさを感じさせた。ロッキンとかをキャンセルしてしまったのも本人たちもきっと責任を感じていたところもあったのだろう。そうした今年の夏の切なさがこの曲のサウンドに全て集約されていた。来年は暑い10月だけではなくて8月のフェスでも見れるように。
1.ロマンスがありあまる
2.パラレルスペック
3.猟奇的なキスを私にして
4.はしゃぎすぎた街の中で僕は一人遠回りした
5.crying march
6.餅ガール
7.キラーボール
8.もう切ないとは言わせない
15:20〜 ROTTENGRAFFTY [CAMP STAGE]
ギターのKAZUOMIがライブ活動から離れている状態でもサポートギターを加えてあらゆるフェスに出演しまくっている、ROTTENGRAFFTY。このフェスにも出演と、毎週どこかのフェスでライブをしている感すらある。
これからライブが始まるというテンションを高めてくれるSEでメンバーが登場すると、黄色というか金色のシャツを着たNAOKI(ボーカル)が気合いを入れるようにして
「ぴあフェスー!」
と叫んで「ハレルヤ」からスタートすると、ラウドロックバンドだからこその重厚なサウンドとビートで観客を飛び跳ねさせまくる。この日の出演者の中でも音の強さは随一と言っていいくらいにやはり音の重さが違う。
しかしながら次の曲に行こうとすると侑威地(ベース)がドラムセットの前に立ってHIROSHI(ドラム)と何やら話をして、それを他のメンバーにも伝えている。どうやら同期の音かHIROSHIのイヤホンが上手く機能していなかったようで、スタッフが急いでそれを修復するのであるが、その間も実に自然にNAOKIが観客に向かってテンションを上げるような言葉を口にし続けているあたりはさすがである。きっとこうしたトラブルも数え切れないくらいに経験してきたのだろう。
そうして同期のサウンドが復活して演奏された「PLAYBACK」がさらに激しく強いこのバンドを感じさせてくれると、HIROSHIも立ち上がってスティックを振るう「D.A.N.C.E.」ではNAOKIが曲中に観客をその場に座らせるとNOBUYA(ボーカル)がステージから姿を消す。どこに行ったんだ?と思っていたらNOBUYAの声がステージ横にある関係者席の方から聞こえてきて、打首獄門同好会のjunkoらがライブを見ている関係者席で歌っていて座っている観客を爆笑させると、その直後に観客が一斉にジャンプしてさらにテンションが上がる。こうした、決して今のライブのルールからはみ出すことがないパフォーマンスはさすがである。
そのまま「THIS WORLD」とキラーチューンが続いていくのだが、KAZUOMIがいないことによって侑威地のコーラスの比重が強くなっているあたりはサポートギターが入るだけではなくてバンド全体でKAZUOMIの穴を埋めていくことによって、このピンチをメンバーそれぞれとバンド全体のさらなるレベルアップの機会だと捉えていることがよくわかる。
そして「「70cm四方の窓辺」」ではラウドな爆音の中に切ないメロディが同居するという、タイアップという要素もあっての新しいこのバンドの武器を見せてくれる。このメロディアスさはアコースティックアレンジなどからも感じることができるものであるが、これからそうしたメロディの力を強く打ち出した曲も増えていくんじゃないかと思う。
「おそらく今年最後の野外フェス」
という言葉からは少し寂しさも感じさせるが、すでに20年以上の歴史を誇るバンドだからこそ、ぴあの50周年という歴史に敬意を示しながら、互いにこれからももっと輝くようにという想いを込めて演奏されたのはやはり「金色グラフティー」であり、NAOKIのシャツの色も同じように輝く中、侑威地が観客に両手を挙げて踊るように煽りまくる。
氣志團万博ではいつもとは違う設定で我々を楽しませてくれたが、基本的にこのバンドがやることはいつも変わらない。全力で自分たちのロックを叩きつけるというだけだ。それでもこうしたフェスという非日常的な場所であってもこのバンドのライブからはライブハウスバンドの生き様が鳴っている。だからこそこうした場所でも強さがはっきりとわかるし、それこそがこのバンドが常に最前線に立ち、そこで勝ち続けてきた理由であるはずだ。
1.ハレルヤ
2.PLAYBACK
3.D.A.N.C.E.
4.THIS WORLD
5.「70cm四方の窓辺」
6.金色グラフティー
16:00〜 ヤバイTシャツ屋さん [WIND STAGE]
今でもとかくフェスではメインステージのトップバッターとして出演する機会が多いだけに、こうしたタイムテーブルの後半、夕方の時間に出演するのが実に珍しく感じるヤバT。個人的には先週の中津川 THE SOLAR BUDOKANが不慮のトラブルによって見れなかっただけにこうしてライブが見れるのが本当に嬉しい。
おなじみの「はじまるよ〜」の脱力SEでメンバーが登場すると、こやまたくや(ボーカル&ギター)が
「ヤバイTシャツ屋さん、始まるよー!」
と告げて最初の曲はいきなりの「ハッピーウエディング前ソング」なのだが、もりもと(ドラム)のビートをはじめとした曲のスピードがかなり速くなっている。「キッス!」「入籍!」などのコーラスを我々が歌うことができないのはやはり寂しいが、このバンドの鳴らす音はそうした観客の声がなくても衝動が漲っているということがよくわかる。
さらには「あつまれ!パーティーピーポー」とキラーチューン中のキラーチューンが連発されるのであるが、それはライブの最初とクライマックスを担えるような曲が増えてきているということでもある。この日は朝一で四星球に散々擦られた曲なだけに本家バージョンがちゃんと聴けるのはやはり嬉しいし、満員の観客がサビで腕を左右に振る光景は壮観である。
するとフェスでは実に珍しい選曲である、道重さゆみTシャツにスウェット姿のしばたありぼぼ(ベース)がAメロでカメラ目線で近づいていくのも楽しい「メロコアバンドの3曲目ぐらいによく収録されている感じの曲」で直前のROTTENGRAFFTY同様に観客を一斉に座らせてから一気にジャンプさせることによってより観客をテンション高く飛び跳ねさせまくる。この曲の座るスピードの速さで普段からヤバTのライブを見ている人かどうかわかるという分水嶺でもある。
さらにはフェスでは久々な感じもする、このバンドのタンクトップ(=パンクロック)精神を強く感じさせるような「Tank-top of the world」と、こうして代表曲やみんなが知っている曲はしっかり抑えながらもフェスでもセトリを毎回ガラッと変えてくるだけにヤバTのライブは飽きることがない。
それは
こやま「Saucy Dogです!」
しばた「編成が同じだから遠くにいる人は騙されるかもしれん(笑)」
こやま「白雪姫」
しばた「シンデレラボーイや」
こやま「白雪姫の反対が「シンデレラボーイ」や」
というこの日も絶好調のトークもそうであるが、しばたが観客にこのステージの象徴でもある風車のように腕を振り回すウェーブを客席後ろから前に展開すると、それを見たメンバーは「キモい!(笑)」と言うくらいの光景が広がり、そのまま最新シングル収録曲の「ちらばれ!サマーピーポー」へ。しばたの「イェイイェイイェイ」のコーラスも夏だからこそのテンションの高さを示してくれるのだが、まさか10月にもなってこの曲が似合うライブが続くとは思っていなかった。
「久しぶりにやる曲やります!」
と、こやまの学生時代の苦い思い出がパンクに刻まれた「sweet memories」ではこやまのギターもメロディアスに鳴り、しばたのハイトーンコーラスも抜群の安定感をもって響く。
さらには「泡 Our Music」と、こちらもCMタイアップという癒着はありながらもフェスでこうして演奏されるのは実に久しぶりの曲が続く。もちろんワンマンでは演奏されているが、こうした曲をいつでも演奏できるくらいにヤバTはライブをやりまくっているバンドだということだ。
するとこやまが観客の両腕を上げさせて手拍子をさせる「癒着☆NIGHT」はこの日もやはりいつものように「新曲」と言って演奏されるという永遠の新曲っぷりで披露されたのだが、
「上手いことやろうぜ、ぴあフェスー!」
というこやまの煽りはとっくに新曲じゃなくなった今でも我々のテンションをさらにブチ上げさせてくれる。こうして制限が多い中でも楽しむということはきっと上手いことやれているはずだ。
こやまが
「ヤバイTシャツ屋さんのライブ初めて見る人?」
と問いかけるとかなり多くの人が手を挙げたために
「すぐ下ろしてください」
と腕を下ろさせてから、しばたのベースももりもとのドラムも超高速化した「ヤバみ」がクライマックスの始まりを告げると、初めて見る人がたくさんいる中でも手拍子も「YEAH!!」のフレーズでピースするのも完璧に決まる「NO MONEY DANCE」というキラーチューンの連打っぷり。果たしてこの曲のコーラスを一緒に歌うことができるのはいつになるだろうかとも思うけれども、その時はきっと今よりもはるかに楽しいライブになるはずだ。
そんなライブの最後には「かわE」が演奏されて、観客は心の中で「やんけ」の大合唱が起きて楽しく踊って大団円と思われたのだが、こやまは
「あと3分30秒残ってる。無線LAN!」
と言って超高速で「無線LANばり便利」を演奏すると、その高速化しているビートの中で最後のサビ前で再び観客を座らせてから一気に大ジャンプさせる。
時間ギリギリまで使うのも、こうしてそれを何とか時間内に納めようとテンポを上げるのも、全ては観客に楽しんでほしいからだ。だからこやまは最後にも
「楽しかった人ー!」
と声をかけた。その声に応えるようにたくさんの腕が上がる。その光景こそが誰に何を言われても揺らぐことのない事実だ。ヤバTのライブはいつもそれを確かめさせてくれる。だからやめられないし、それを感じさせてくれるヤバTはかっこE越してかっこFなのである。
1.ハッピーウエディング前ソング
2.あつまれ!パーティーピーポー
3.メロコアバンドの3曲目ぐらいによく収録されている感じの曲
4.Tank-top of the world
5.ちらばれ!サマーピーポー
6.sweet memories
7.泡 Our Music
8.癒着☆NIGHT
9.ヤバみ
10.NO MONEY DANCE
11.かわE
12.無線LANばり便利
17:00〜 ハルカミライ [CAMP STAGE]
サウンドチェックでいつものように赤いTシャツの関大地(ギター)と髪を茶色く染めた小松謙太(ドラム)に肩を借りながら須藤俊(ベース)がステージに。先月のHAZIKETEMAZARE FESTIVALにてアキレス腱断裂という重傷を負ったためにその後のライブは当然出れず、この日が退院後初ライブなのだがすぐに歩くことができるわけもなく、須藤は椅子(というか大きめの箱)に座っての演奏。なのだが、
「今俺足にギブスつけてるんだけど、足にボルト入れるよりもちんこに管入れた方がよっぽど痛かった(笑)」
という入院エピソードで笑わせてから、座りながらでもいつも通りに演奏するあたりは負傷を全くネガティブなこととして捉えていないどころか、むしろ心配してしまいがちな観客すらも笑顔にしてくれる。この精神力の強靭さこそがハルカミライだと言えるだろう。
「この天気の良さ、アキレス腱切った時のハジマザのライブを思い出すな(笑)
あの時、激しい曲じゃなくて「ウルトラマリン」っていうむしろ良い曲系の曲で切れた(笑)」
と言ってその「ウルトラマリン」を実際にアキレス腱が切れたというパートまで演奏したりしてリハをすると、本番では橋本学(ボーカル)が旗を持ってステージに登場し、
「帰っときたぜー!」
と叫んで「君にしか」でスタートするのだが、橋本も関もこの3週間ほどをライブがない生活で過ごしていた我慢から解放されたかのように溜め込んだものを放出しようと思いっきり歌い、演奏し、動いている。そこに加われない須藤はなんとももどかしそうな顔をしているが、それでも椅子に座っていてもいつものようにベースをステージに置き去りにして弾かないかのように演奏していない部分があるというのは今までの感覚を忘れないようにしているところもあるのだろうか。
するとおなじみのコンボである「カントリーロード」では関が曲中にゆうに4mくらいはあるであろうステージ横の鉄骨をよじ登っていく。さすがに落ちたらアキレス腱どころじゃ済まないから落ちたり飛び降りたりしないでくれよと思っていると、そのままそこに座ってギターソロを弾いていたあたりは関もちゃんとわかっているようだ。彼もまた手首の骨にヒビが入っているという満身創痍状態であるらしいが。
サウンドチェックだけでなく本編でもしっかり演奏される「ファイト!!」でも須藤が動けないのは逆に新鮮であるが、
「ぴあ50周年と俺たちの復活祭に来てくれてありがとうー!」
と橋本が叫んだあたり、やはりライブをやりたくてやりたくて仕方がなかったんだろうなぁということが伝わってくる。
それが発揮されたのは「俺達が呼んでいる」で関がギターを抱えたままでステージを転がり回り、水を口に含んで橋本に吹きかけると橋本もお返しとばかりに関に吹きかけ、さらに関がドラムセットに突っ込んでぐちゃぐちゃになりながらギターを弾き、その状態でも小松はドラムを叩き続けるというパフォーマンス。それはどこかコロナ禍になる前のハルカミライのはちゃめちゃな、でもそれが何よりもロックバンドの衝動を感じさせてくれていたことを思い出す。我々からしたら1ヶ月はすぐであるが、バンドからしたら永遠のように長いライブができない期間だと感じていたのかもしれない。
そんな曲中にも須藤は関を自分のところに呼び寄せて耳打ちをし、それを関が小松に伝えることによってショートチューン「フルアイビール」が曲と曲を繋げるように演奏されるというその場でのセトリや流れの変え方はあれだけめちゃくちゃなライブをやっていても俯瞰した視点を失わない須藤ならではと言える。
それは橋本には伝えられていなかったために須藤が
「「フルアイビール」追加したの俺だから」
と橋本に告げてから演奏された「春のテーマ」でのメンバー全員の合唱は、やはりこのメンバーがこうして4人で演奏している間はこの場所が世界の真ん中になるんだなと思わせてくれる。それくらいにこのバンドのライブはやっぱり最強である。
「今日、Saucy Dogがトリなんだろ?変わってくれねぇかなぁ(笑)俺たち全然もう一回やるから!」
と、自身の初武道館ライブを捧げた友人だからこその言葉をSaucy Dogの初のトリに贈るのであるが、このバンドだっていつかは必ずこうしたフェスでメインステージのトリを務めるような日が来るはずだ。なんならワンマンのキャパを考えたら今メインステージに立っていてもおかしくないと思う。
須藤が
「学と大地が思いの外前に出るから俺ももっと前に行きたい」
と自身の座る箱を前に押し出してもらうと、その須藤の実家の犬の曲こと「Tough to be a Hugh」というショートチューンでさらにサウンドが加速すると、一瞬小松が前に出てきて観客を煽るようにしてから「世界を終わらせて」へ。この曲中に目の前にいたカップルが肩を組んで身を寄せ合うという場面に出くわしたのだが、それに舌打ちしたくなるのではなく、わかるよと思えるのがハルカミライの音楽の、ライブの凄さだ。なんならコロナ禍じゃなかったら周りの知らない人とそうしたくなるし、それが馴れ合いじゃなくて純粋な音楽の力であると言えるくらいに。
そしてメンバーが体を正対させるようにして薄暗くなってきた会場に真っ白い照明が当てられて轟音が鳴らされたのは「僕らは街を光らせた」で、橋本は曲中で
「バンドを始める理由なんて色々だ。中にはモテたくて始めたってバンドもいるかもしれないけど、ライブをやったりするにつれてその目的は変わっていく。バンドはカッコよくなっていくから、カッコいいバンドと一緒にカッコよくなろうぜ!」
と語る。もしかしたらそれこそが「地獄の果て」であり「音楽の果て」であり「歓声の果て」なのかもしれない。そうして一緒にカッコよくなっていくのはこのバンドであって欲しいと心から思っている。
橋本は
「セトリ変えます!」
と言うと、最後に演奏されたのは、轟音の中に確かな光が見える「ヨーロービル、朝」。僕らが光らせた街はこの新木場であり、ヨーロービルがあるバンドの地元の八王子なのだろうし、復帰初ライブという待ちに待った瞬間の最後に演奏するのはこの曲じゃなきゃいけないという一瞬の判断もあったのだと思う。
やはり須藤が負傷していて動けなくても、この4人が音を鳴らせばその最強っぷりは変わらないなと思っていたら、なんと
須藤「あと15秒ある?Bring!」
と言ってその、もはや残ってるって言わないような時間の中でもショートチューン「To Bring BACK MEMORIES」を一瞬で叩きつけて、やはり須藤が3人に背負われるようにしてステージを去っていった。もう笑っちゃうくらいにハルカミライすぎて、これならきっと大丈夫だなって思えたのだった。
須藤がアキレス腱を断裂したというニュースを見た時に、これは当分ライブは見れないだろうなと思った。プロ野球選手がアキレス腱を断裂して長いリハビリをすることになり、それから1年以上経過してグラウンドに戻ってきても、それまでのように走れなくなってしまった姿を見てきてしまったから。
そんな重傷を負いながらもハルカミライはすぐに戻ってきた。橋本はこの日ステージに現れてすぐに
「ヒーロー見参!」
と言っていたが、本当にこんなヒーローが他にいるだろうかと思う。今年はもう見れないかとも思ったハルカミライのライブはこれからもいろんな場所で見れる。
リハ.ファイト!!
リハ.ウルトラマリン
リハ.エース
リハ.ファイト!!
1.君にしか
2.カントリーロード
3.ファイト!!
4.俺達が呼んでいる
5.フルアイビール
6.春のテーマ
7.Tough to be a Hugh
8.世界を終わらせて
9.僕らは街を光らせた
10.ヨーロービル、朝
11.To Bring BACK MEMORIES
17:40〜 04 Limited Sazabys [WIND STAGE]
こちらもフェスではまだトップバッターとは言わないまでも、前半の時間帯に出演することが多い、フォーリミ。それはこの会場でのフェスでもそうであったが、この日はトリ前という時間帯。日中の暑さは完全に夏だったが、それでもこの時間にはもう場内がすっかり暗くなっているというのは今がもう夏ではないということを感じさせる。
おなじみの賑やかなオリジナルSEでメンバー4人がステージに現れると、
「ぴあフェス準備できてんの!?」
とGEN(ボーカル&ベース)が叫んで、来るべきアルバムに収録される新曲「Keep going」からスタート。前週の中津川の時は演奏されていなかった曲だが、この曲のシンプルかつストレートなメッセージと疾走感の強いビートは否応なしに我々の意識をより前へ前へと進ませてくれるし、アルバムへのただでさえ高い期待がさらに高まる。またこの曲はACIDMANの「Rebirth」も起用されていたアニメのタイアップなのだが、全くどんなアニメなのか観たことなくてもこの曲をきっかけに見てみたくなる。
「気持ちいいところへ一緒に行きましょう、ぴあフェス!」
とGENが言うとサビで腕を上げざるを得ないくらいに心躍るメロディーの「Warp」と、フォーリミもまた今はライブごとにガラッとセトリを変えているバンドだ。だからこそこうしてこの日はどんな曲が聴けるんだろう?と楽しみになるのだ。
さらにはポップなメロディーとKOUHEI(ドラム)によるビートが我々の体を踊らせてくれる「Kitchen」で手拍子もバッチリ決まると、
「もう薄暗くなってきてるから、降らせちゃってもいいですか!」
と「midnight cruising」へ。KOUHEIのカメラ目線のドラム連打も、RYU-TA(ギター)のやはりカメラ目線での変顔も実に楽しいが、雲ひとつなくわずかではあるが星が煌めくのが見える野外フェスの夜の時間に聴くことができるこの曲はやはり格別である。
「日本で1番有名な新幹線の利用客、04 Limited Sazabysです!」
とGENは前週の中津川でのライブ帰りに新幹線乗り場でTVに一般人として取材されたことをネタにするのだが、
KOUHEI「あの時、お前酒飲んでたからかもしんないけど、乗ってた新幹線が名古屋に引き返しますってなった時に1人だけ「修学旅行みたいじゃーん!」ってはしゃいでたのめちゃくちゃ恥ずかしかったからな!(笑)」
GEN「隣の席の人とかと協力して一緒に座席の向き変えたりして、なんだかこのコロナの状況の中でなんとか協力して生きていこうとしているみたいだったよね」
KOUHEI「さすがにそれは違うだろ(笑)」
GEN「違うか(笑)そんな、コロナなんて大昔にあったな〜って思うような、未来からのメッセージ!」
と「message」でのツービートでパンクに疾走すると、KOUHEIが身を乗り出すようにして中指を突き立てる「fiction」ではHIROKAZ(ギター)が観客を「オイ!オイ!」と煽りながら、ステージには様々な色のレーザーが飛び交う。それが野外で映えるのもこの暗くなった時間帯だからこそである。
するとそのHIROKAZの浮遊感を感じさせるギターフレーズが「swim」の現在形として響くような「fade」と、前週も同じくらいの持ち時間でのライブを見ているだけにセトリの様変わりっぷりには驚いてしまうのであるが、それはハードなサウンドの「escape」へと展開することによってこのバンドの器用さとパンクバンドでありながらのサウンドの幅の広さを実感する。それはHIROKAZとRYU-TAというタイプが違う2人のギタリストがいるからこそでもあるだろう。
そんなこの日は虫の鳴き声も聞こえてくるだけにすっかり秋であり、GENはHIROKAZに
「バッタ触れる?」
などの質問をぶつけるのであるが、自身の愛猫のちくわが寝る時に腕枕をせがんでくるようになったことによって秋を感じるようになったことを告げると、この日は「Letter」が残暑見舞いとして演奏される。この曲は春の卒業シーズンによく演奏されてきたイメージが強いが、こうしてこの時期に聴くと実に秋らしい曲でもあるなと思う。
するとGENによるベースと歌のみで始まる「soup」というまさかの選曲ではそのGENにスポットライトが当たるというフェスのステージとは思えないような演出が。それはこのフェスが本当にフォーリミのことを愛してくれている証拠であるし、その回答としてバンドはこの愛の曲を演奏しているように感じた。
そして中津川の時にも最後に演奏された「Just」は今のフォーリミの「monolith」と言ってもいいくらいの迫力を持ち、ライブ開始時は今日は少し喉がキツそうかなとも感じたGENもハイトーンの極みとも言えるようなこの曲をしっかり最後まで歌い切ることによってその曲の持つ力を引き出していると言える。
そんなライブの最後には
「ぴあフェス、この曲知ってるやつ何人いるんだ!」
と言って、その「Just」の雛形とも言えるような「monolith」までもが思いっきり腕を振り下ろすようにして演奏された。その演奏を見ていたら、初めてこの若洲公園でこの曲が鳴らされたのはMETROCKの1番小さいステージだったのが(当時すでにYON FESも開催されているという状況だったが)、今このバンドはこの会場のメインステージを担う存在になったんだなと思った。そこに至るまでを見てきただけに、今のフォーリミに絶大な頼もしさを感じるし、アルバムリリースからツアーと、まだまだここからコロナを振り切るくらいのスピードにフォーリミは加速していく。
1.Keep going
2.Warp
3.Kitchen
4.midnight cruising
5.message
6.fiction
7.fade
8.escape
9.Letter
10.soup
11.Just
12.monolith
18:40〜 indigo la End [CAMP STAGE]
川谷絵音のこの日2ステージ目はCAMP STAGEのトリでのindigo la End。もはやこのバンドがゲスの極み乙女のバーターではないことはここ数年のこのバンドの様々な曲での火のつき方から明確であるが、このバンドにピッタリな時間帯での出演である。
川谷とともにこの日2ステージ目であるサポートコーラスのえつことささみおも含めた6人編成で登場すると、長田カーティスが印象的かつテクニカルなギターフレーズを刻む「夜明けの街でサヨナラを」からスタートし、川谷はゲスのライブ時とは全く違う、切なさというか儚さを感じさせるような歌声になっているのもさすがであるが、佐藤栄太郎(ドラム)が激しく叩きまくるイントロからの「名もなきハッピーエンド」と、このバンドのギターロックバンドさを感じさせるような音の強さとスピードはゆったりしたムーディーな曲のバンドというイメージを持った人が初めて見たら驚くかもしれないくらいだ。
さらにもはやギターロックというよりもグランジ・オルタナ的な激しいサウンドが鳴り響く「実験前」ではカーティスだけではなく後鳥亮介(ベース)もステージ前に出てきて観客を煽るように演奏するのだが、佐藤の性格無比なドラムも含めて、やはりこのバンドはゲスの極み乙女とはまた違った方向でめちゃくちゃ演奏が上手い。それはやはり川谷が自分の描く音楽を再現するためのメンバーたちということもあるのだろうけれど、それぞれが演奏技術もキャラも全く違うメンバーたちばかりというのは川谷の人を見る目の凄まじさを実感させられる。少なくともミュージシャンを見る目においては。
それはコーラス2人もそうであり、その2人によるコーラスが曲の入りとなってその曲のイメージを決定づける「邦画」や「チューリップ」という曲は確かにそのムーディーなサウンドに浸るような曲でもあるのだが、それはこのコーラス2人によるものが大きいと言えるし、だからこそえつこがボーカルを務めるDADARAYのライブも見てみたくなる。何よりもそうした曲たちはこの夜という情景だからこそ本領を発揮できているというか、昼間だったらこんなにもこれらの曲でエモーショナルさを感じることはないだろう。
そんな中で意外な選曲は女優であり歌手でもある(YMOのメンバーたちとも活動している)原田知世に川谷が提供した「ヴァイオレット」のセルフカバー。そりゃあこの曲をカバーするならどのバンド、ユニットよりもこのバンドだろうと思うのであるが、まさかこうしてフェスという場で開陳するとは。まさにヴァイオレットな照明もまたこの夜だからこそ輝くものでもあると言えるだろう。
そして「はにかんでしまった夏」で再びカーティスのギターが牽引するロックサウンドが鳴り響く。こうした曲では観客の腕が上がっていた光景もまたこのバンドの音楽の受け取られ方が変わってきているんだなと思える。ただムーディーな音に浸るだけのバンドではないというのがちゃんと伝わってきているというか。
「フェスで夜に出るのも久しぶり。この曲をずっと夜の野外でやりたかった」
と川谷が言って演奏されたのはそんなバンドのイメージを決定づけた曲とも言える「夏夜のマジック」で、ギターロック的なアッパーなサウンドではなくてもたくさんの観客の腕が上がるというのは本当にこの曲が今のこのバンドの代表曲なんだなと思うけれど、もう10月だというのに完全に夏と言っていいくらいにこの日が暑かったのは、この日この場所でこのバンドがこの曲を演奏することが決まっていたからこそもたらされた、夏の夜の、今夜だけのマジックだったのかもしれないと思っていた。きっと今年この曲を夜の野外で聞けたのはこの日が最初で最後になった人もたくさんいただろうから。
1.夜明けの街でサヨナラを
2.名もなきハッピーエンド
3.実験前
4.邦画
5.チューリップ
6.ヴァイオレット
7.はにかんでしまった夏
8.夏夜のマジック
19:30〜 Saucy Dog [WIND STAGE]
今の勢いは確かに凄まじいものがあるとはいえ、タイムテーブルが発表された時は驚いてしまった。この日のメインステージであるWIND STAGEのトリはSaucy Dogである。
おなじみのSEでメンバー1人1人が順番に現れて丁寧に観客に頭を下げるのも、その出で立ちも普段と全く変わることはないが、やはりこのメインステージのトリというシチュエーションで3人だけの機材が並ぶステージ上は実にシンプルであるが、そんな中で石原慎也(ボーカル&ギター)が1曲目に歌い始めたのはこの東京都の会場で鳴らされた「東京」だった。
「東京。
大丈夫僕は。上手くやれているよ
諦めることにも麻痺してきたから
はじめて正しい事ばかりが
正義じゃないのが分かってきたんだ」
という島根から上京してきた石原の心境がリアルに響くのは、その自分に言い聞かせているかのようだった歌詞が、そうしなくても大丈夫になったという実感を感じさせるからだ。もちろんそれはこのフェスのメインステージのトリという状況がそう感じさせてくれたものである。
「バンドマンである僕らの歌」
と石原が言って演奏された「メトロノウム」もまた、
「僕らは旅をする 迷いながら
このままナビはいらないさ」
というサビのフレーズが、旅をしてきた結果としてのこのステージであることを感じさせるのだが、秋澤和貴(ベース)は本当に怖くなるくらいにフェスのメインステージのトリを任せられたプレッシャーを1ミリたりとも感じていないかのように普段と全く変わることがない。だからこそこうして地に足をついた演奏ができていて、バンドのサウンドがしっかりしているとも言えるのであるが、汗を飛び散らせながら
「今までに言われて1番キツかった曲」
と言って演奏された「煙」を歌う石原とは対称的だ。それはバンドとしては実に良いバランスと言えるのかもしれないけれど、石原の言葉は冒頭の恋人であろう人の会話がリアルな体験から生まれたものだということである。
まさかここで演奏されるとは思っていなかった「結」を歌う石原の歌唱は実に伸びやかであることは普段と変わらないというか、むしろ普段よりも一層そう感じるくらいだ。するとこちらも秋澤同様に普段と変わらないように見えるせとゆいか(ドラム)は
「私は普段、一緒に楽しみましょうってMCで言うようにしてるんだけど、今日は私たちがトリっていうことで、私たち以外のアーティストを観にきたっていう人もたくさんいると思う。だからそういう人たちも一緒に楽しめるライブがしたいなと思ってます。一緒に楽しみましょう」
と実に実直さを感じさせるような言葉を観客に送ると、逆にもう気持ちが前に前に行きまくっているように感じる石原は「君がいない」をタイトルコールして歌い始めると、感情を思いっきり乗せるように、なんなら叫ぶようにと言っていいくらいにして歌っていたのが印象的だ。
それは秋澤がステージ前に出てきてイントロのベースを鳴らす「雷に打たれて」もそうであったのだが、これらの普段フェスではあんまり演奏されることのない曲を演奏していたのは、この日はロックバンドとしての自分たちのライブを見せるというテーマがあったんじゃないかと思うし、初めてのフェスのトリとしてのライブでメンバーが1番示したかったのはそこだったんじゃないかと思う。
だからこそ石原がイントロで激しくギターを掻き鳴らす「ゴーストバスター」からの後半も、そうしたアッパーな曲の連発となっており、それはリズム自体は軽快である「バンドワゴンに乗って」も含めて、自分たちはロックバンドなんだということを今一度示そうとしているように見えた。
そんな中でも石原は
「3人だけでこうしてフェスのトリをやれるようになったわけじゃない。スタッフの人やフェスを作ってくれてる人、そしてこうして俺たちのライブに来てくれて、音楽を聴いてくれてるみんながいてくれるから。本当に感謝してます。ありがとうございます!」
と、このステージに立てた感謝を口にしたのだが、この言葉で石原も地に足がついたような感じがした。だからこそその言葉の後に演奏された「優しさに溢れた世界で」は気持ちが先走ることなく、今1番伝えたいこととして歌えていたような感じがあった。魚座としては歌い出しのフレーズは共感するばかりなのであるが、優しすぎるがゆえに近年は傷付いたりすることもたくさんあったメンバーたちの優しさが、彼らの目の前にいる人たちにちゃんと伝わって欲しいと思う。
そんな初めてのフェスのトリの最後に演奏されたのは、各地の夏フェスなどでも最後に演奏されてきた「Be yourself」で、メンバーの演奏している姿が映し出されるスクリーンにはその上に曲の歌詞も映し出される。それによってこの曲の前向きなメッセージがしっかり頭に入ってくるし、それは
「君がくれる言葉には
不思議な力があると思うんだ
明日ももう少し
頑張ってみたくなる」
というフレーズがまさにこのバンドの歌詞、石原の言葉であることを示しているし、何よりも
「Don't let it get you down
君は君らしくいてよ
Don't worry about it
自分の為に生きて良いんだよ
間違えていこう!」
というサビを歌うメンバーは笑顔だった。プレッシャーももしかしたら感じていたかもしれない(秋澤以外は)けれど、笑顔になれるということは自分たちの音楽を自分たちのベストの演奏でやり切れたということだ。
きっとアンコールで「シンデレラボーイ」「いつか」という曲を演奏するだろうと予想していた人も多いだろうし、自分もそうするかな?とも思っていた。でもそのまま終演のアナウンスが流れた時に、本当に潔いというか清々しいバンドだなと思った。今自分たちがやりたいこと、自分たちが示したいことだけを初のフェスのトリというステージでやってみせたのだから。もうフェスに出まくっているだけに今年だけで何回見たかわからないくらいにライブを見ているけれど、そんな今年見てきたSaucy Dogの中で1番カッコいいと思ったライブだった。そしてどれだけ話題になったり売れたりしても、このバンドはロックバンドという軸だけは見失うことはないだろうなとも思った。
1.東京
2.メトロノウム
3.煙
4.結
5.君がいない
6.雷に打たれて
7.ゴーストバスター
8.バンドワゴンに乗って
9.優しさに溢れた世界で
10.Be yourself
9mm Parabellum Bullet 「Wake A Tightrope Tour 2022」 @Zepp Haneda 10/2 ホーム
go! go! vanillas 「My Favorite Things」 @日本武道館 9/30