氣志團万博2022 day2 @袖ヶ浦海浜公園 9/18
- 2022/09/22
- 22:16
2日目。この日は台風の接近に伴って朝から雨予報であったが、開演までには雨は降っていないというむしろ晴れて暑いくらいの天気に。前日も天気が良かっただけに、これはもしかしたら今年はこのまま天気が良いんじゃないかという淡い期待を持ちながら会場へ。
10:20〜 仙台貨物 [MOSSAI STAGE] (Welcome Act)
この日のWelcome Actはこのフェスではおなじみの存在と言える仙台貨物。そんな存在でもこの位置での出演というのが実にこのバンドらしい。
「One Night Carnival」のイガグリ千葉(ボーカル)歌唱バージョンのSEで出てくる前から笑いを巻き起こすと、ステージにおなじみのフェイスペイントを施したメンバーたちが登場し、「開運ざんまい」でスタートするのであるが、そうして開始したと同時に会場は豪雨に見舞われるという、逆になんか持ってるんじゃないかと思わせるような状況に。もうあまりに豪雨過ぎてステージが見えないくらいのレベルであるのだが、そもそも避難場所もあまりない為か、あるいはこのバンドのグッズであるツナギなどを纏ったファンもたくさんいたからか、全然みんなそのまま雨を楽しむようにしてライブを見続けている。それは毎年のように雨に降られているこのフェスだからこそ観客も耐性がついているのかもしれない。
そんなステージすらまともに見えない中でも聴こえてくる音だけで演奏がめちゃくちゃ上手いのがよくわかる。フルフェイスとReonald Satty schtrouzのギター2人も、名前の通りに中華風の長いつけ髭をつけた王珍々と頭にひまわりのような被り物をしているギガフレアによるリズム隊も、そんなメンバーのサウンドにデジタルかつダンサブルな要素を加えるKURIHARAのマニピュレーターっぷりも、さすが日本屈指の人気と売り上げを誇っていたビジュアル系バンドのメンバーだったバンドと言われているバンドである。
「MUKI MUKIさせてよ」では上半身裸に海パンという海の近くだからこそであるが、この豪雨の状況でその格好かいとツッコミを入れたくなるマッスルダンサーたちもステージに登場して筋肉を見せつけるのであるが、あまりにも視界が悪すぎて本当に筋肉があるのか全くわからなくなっているというくらいの豪雨っぷりである。
そんな中でもド下ネタソングの「絶交門」をぶっ込んでくるというブレないこのバンドのスタンスを感じさせると、イガグリ千葉による方言訛りボーカルが歌詞と相まって実に面白い「腐況の風」と最後までライブをやり切った頃には少し雨も弱まっているというのもこのバンドが何か特殊な力を持っていると思ったり思わなかったり。もうちょっとまともな状況の時にちゃんとまたライブを見てみたいと思う存在ではある。
そんな悪天候な中でもライブを見ることをやめなかったのは、3年前に直前に台風が千葉に直撃したことによって色々言われる中でも開催された時に、出演していないのにイガグリ千葉は会場に来て、台風の募金ブースにずっと立って募金を募っていた姿を見ていたからである。ただこのフェスでおなじみの存在であるというだけで千葉のためにそこまでしてくれた男の恩義にちゃんと応えたいと千葉県民としてずっと思っていた。だからこそ、またライブを見れる機会があれば是非見てみたいと思うのだ。
SE.One Night Carnival千葉さんver
1.開運ざんまい
2.日本でいちばんアツイ夏
3.MUKI MUKIさせてよ
4.絶交門
5.腐況の風
11:00〜 綾小路きみまろ [YASSAI STAGE] (OPENING CEREMONY ACT)
完全に名前繋がりであると思われるが、前日が松平健であっただけに実にわかりやすい綾小路きみまろのオープニングセレモニーアクトである。
花道の先から綾小路きみまろが浮上してくると、自身もその年齢であるだけに中高年をネタにした漫談を披露し、
「最近の中高年は元気です。元気に車でコンビニに突っ込みます」
などのかなりブラックなネタで押しまくるのであるが、明らかにウケていないネタをやった後のリアクションを見て
「ダメでした!」
と口にしたりするのが漫才とはまた違って面白いし、ちょっと雨が弱まってきたかと思ったらネタ中にまた雨が強くなってきて、花道でモロに雨を食いながらもネタを続けるというあたりはさすが下積み期間が長いプロだなと思った。長い髪のカツラが風で飛んだりしないかが心配だったけれど。
11:15〜 ゴールデンボンバー [YASSAI STAGE]
ある意味では氣志團直系の後輩と言える存在であるだけにこのフェスでもおなじみの存在である、ゴールデンボンバー。歌広場淳がとある事情によって活動休止中であるために3人での出演となるのだが、それ故に綾小路翔は
「カラオケ館翔が代わりに出ようか?」
と言っていたのも系統が自分たちと同じだからであろう。
ゴールデンボンバーの万博と言えば紹介VTRでの全裸芸であるが、3年振りの開催ということで野外フェスにおける対策として冷却スプレーを3人が全裸でかけ合うという全裸芸は3人になっても健在。これを見ると万博が帰ってきたんだな〜と思えるというくらいにもはやこのフェスの象徴とも言える。
歌広場を欠く3人体制でメンバーがステージに登場すると、「#CDが売れないこんな世の中じゃ」で鬼龍院翔(ボーカル)が変わることのない見事なボーカルを披露するのであるが、もはやエアバンドとしての矜持なのかと思うくらいに樽美酒研二(エアドラム)は全くドラムセットに座らずにステージや花道を歩き回りながら観客を煽っている。喜矢武豊(ギター)は「トラウマキャバ嬢」で1回のサビにつき2音くらいはギターを弾いているけれど。
自己紹介的なMCでは鬼龍院が
「雨降ってるんで力を抜いたりして見てもらえれば。どうせ我々のライブは生音じゃないんで(笑)」
と自虐しながら、
喜矢武「僕は久しぶりにHYDEさんに会えるのが嬉しいですね。HYDEさんの故郷の和歌山ではHYDEさん仕様の電車が走ってたって知ってます?もう終わっちゃったみたいなんですけど、なんかこの辺りを走ってるっていう話もあるんですよね」
樽美酒「僕は最近陰謀論系のYouTuberにハマってるんで、陰謀論系YouTuberになりたいですね」
という2人の前振り的なMCが着地するのはもちろん「抱きしめてシュバルツ」であり、喜矢武は自身がHYDE列車となり(機関車トーマスみたいに列車の正面がHYDEメイクを施した喜矢武の顔になっている)、樽美酒は陰謀論系ならぬ陰毛ロン毛として裸の股間にロン毛の陰毛をつけているというさすがの発想力に客席は爆笑。SASUKEでも有力選手の1人になっている樽美酒の肉体は実に見事であり、その肉体と「これ怒られないのか?」と思うようなHYDE列車が花道を走るという図はまさに万博のゴールデンボンバーのライブならではのバカバカしさである。HYDEはむしろこのHYDE列車を喜んでいたというあたりに両者の絆の深さを感じることができる。
そんなパフォーマンスが終わり、ここからは実はキャッチーであるからこそブレイクしたゴールデンボンバーの曲をしっかり聴かせてくれるのかと思いきや、HYDEメイクを落とした喜矢武は
「千葉はご当地ゆるキャラがたくさんいますけど、僕は袖ヶ浦のガウラくんに会いたいですね。会場に来ているみたいなんですよね」
という前振りはやはり「首が痛い」で喜矢武がガウラくんに、樽美酒がふなっしーに扮するというネタに繋がるのであるが、それはゆるキャラというよりはただの覆面プロレスラーという形になり、ヌンチャクや会場で販売されているプレミアムモルツの缶でお互いをどつきまくるという仁義なきデスマッチに発展していく。もはやゆるキャラは全く関係なくなっているが、
「お子さまは目を閉じてください〜!」
と言いながらも子供が湧くパフォーマンスになっているのもさすがである。
喜矢武と樽美酒がその覆面プロレスラー的な格好で歌詞に合わせて上手や下手へ忙しなく移動する「かまってちょうだい///」から、ラストはやはり3人が雨が降る中でも花道の先に出てきて実に久しぶりにフェスでこんなにたくさんの人が飛び跳ねまくる「女々しくて」。その光景を見て、これが万博だよな〜と思った。いつのまにかゴールデンボンバーは自分の中でこのフェスに欠かせないというか、フェスやライブ人生においても欠かせない存在になっていたということが改めてわかった。
1.#CDが売れないこんな世の中じゃ
2.トラウマキャバ嬢
3.抱きしめてシュバルツ
4.デスメンタル
5.首が痛い
6.かまってちょうだい///
7.女々しくて
12:00〜 私立恵比寿中学 [MOSSAI STAGE]
紹介VTRでは綾小路翔が
「最初に見た時から真山りかさんがずっと気になっていて、なんでだろうな?と思ったらマネージャーから「真山さんって團長のお母さんに似てますよね」って言われて。俺は母性を求めていたんだなって(笑)」
と言うほどの存在である、私立恵比寿中学。MOSSAI STAGEのトップバッターとして出演である。
新メンバーオーディションを経て現役中学生も含む新メンバーが加わって9人の大所帯グループとなっているのだが、全員がまさに中学生のようなピンク色を基調とした制服を着ているというのはとかく学ランや特攻服を選びがちなこのフェスにおいて真逆の爽やかさを醸し出し、「売れたいエモーション」でスタートすると新メンバーも含めてそれぞれの歌唱力の高さに驚かされる。様々なアーティストから曲を提供され、その楽曲が様々な人たちから評価されているということはわかっていたが、そうした曲の良さを引き出すことができる歌唱力を持ったグループであるということがわかる。だからこそオーディションもちゃんと各々の実力や才能、努力を見定めるものになっているんだろうなとも思う。
もうイントロからして絶対に魔法少女になり隊が作った曲だなとわかるのは彼らも自身のライブでセルフカバーしている「ちちんぷい」で、こうしたグループと相性が実にいいなと思うとともに、こうして歌ってもらえることによって提供者が評価されたらいいなとも思う。
病気を乗り越えて復帰した安本彩花の鮮やかな髪色も映えるのだが、ダンスのフォーメーションや顔芸的な表情作りに至るまでのパフォーマンスも実に見事だなというかキレと統率性があるなと感じられる「青春ゾンビィィズ」でのゾンビの歩き方を表現したかのようなダンスから、夏らしいパンクサウンドはTOTALFATのJoseが提供したものとすぐにわかる(こんな西海岸パンク的なサウンドを鳴らすバンドはなかなかいないだけに)「HOT UP!!!」でメンバーも観客もさらにエネルギッシュになると、ラストはメンバーのラップ的な歌唱も飛び出すテクノサウンドの「Family Complex」。それはこの後に出演する岡崎体育の提供曲であるのだが、グループのことをレペゼンするような歌詞はこのグループが本当に提供者に愛されてるんだなと思えるものだった。
個人的にはマカロニえんぴつ提供の「愛のレンタル」を聴きたかったというのもあるけれど、それはまた来年以降のこの場所で。
1.売れたいエモーション
2.ちちんぷい
3.大人はわかってくれない
4.青春ゾンビィィズ
5.HOT UP!!!
6.Family Complex
12:35〜 岡崎体育 [YASSAI STAGE]
どれだけ売れても3年前まではひたすらにMOSSAI STAGEに出演し、3年前にはアリーナワンマンまでもやっているのにMOSSAI STAGEのトリという位置だったために怒りのあまりに「MOSSAI STAGEの神・MOSSAI様」へと変貌した、岡崎体育。開催できなかった2年間を挟んでついにYASSAI STAGEに初進出。
しかしながらそれはMOSSAI様への冒涜であるからか、登場前にはおどろおどろしいサウンドとともに
「MOSSAI様をしかるべき場所に供えなかった者たちには厄災が降りかかるであろう」
という時代劇のオープニング的な朗読が流れる。3年前のMOSSAI様のテーマもそうだったが、このライブのためだけにこうして曲や文章を用意するあたりが岡崎体育のマメさ、真面目さ、それによる愛されっぷりを感じさせる。
なのでSEも厄災を感じさせるような怖いものになっているのだが、紹介VTR内よりも明らかに太った感のある岡崎体育が登場すると、早くもMOSSAI様の怒りが降り注いでいるかのような強い雨が。厄災はすでに始まっているのかと思うくらいの環境であるが、岡崎体育は急にポップなテクノサウンドを流し、
「やっほ☆全然怒ってないよ」
と、MOSSAI様のくだりはなんだったのかと思うくらいに朗らかにこのライブを行うことをアピールし(この曲もわざわざ作ってくるのが凄い)、
「じゃんけんで僕に勝った人だけ踊ってください!負けた人と引き分けた人はその場で突っ立っててください!」
というコロナ禍前からやっているパフォーマンスはコロナ禍になっても有効な観客とのコミュニケーションになることを実証するのであるが、雨がこんなに降っている中で棒立ちしていなければならないというのは実にツラいものがある。
そんな中でさらに観客とコミュニケーションを取りながら踊らせるべく、
「僕が「フランス」と言ったら「パン」って手を叩くっていう「フランスパンゲーム」をやります。フルコンボできた人はSNSで僕に教えてください。「凄いな」って思うので(笑)」
と言ってリアル音ゲー「フランスパンゲーム」が行われるのであるが、
「焼きそば」「フランシスコザビエル」
など、やはり一筋縄ではいかないフェイントを入れてくる岡崎体育には笑わされてしまう。
そんな「フランスパンゲーム」で雨の中でも体を動かして暖まると、ライブのクイックレポをネタにした「Quick Report」ではスクリーンに映像とともに歌詞が映し出され、
「観客のボルテージは一気に最高潮に」
と岡崎体育が叫ぶとサウンドが激しくなり、まさに観客のボルテージは一気に最高潮に達するように踊りまくるのだが、個人的にライブの感想をツイートする時に「観客のボルテージは一気に最高潮に」は絶対使わないようにしようと思った。
曲間には岡崎体育がお菓子を食べるという、通常時なら笑いになるであろうパフォーマンスもこの日は雨ゆえになかなかリアクションは寂しくもあったのだが、「1番サブスクで回ってる曲」と言って演奏された「なにをやってもあかんわ」はメロディのキャッチーさもさることながら、ネガティブなようでいて聴き終わった時には逆に開き直り的にポジティブになれるという恐ろしい力を持った岡崎体育の新たな代表曲である。
その「なにをやってもあかんわ」からラストはネタではなくマジな抒情性を感じさせるような曲が続く。それは岡崎体育のネタ的な面白さではない、曲の良さがあるからこそこんなにも巨大な存在になったということを示すものであるのだが、最後には
「来年はMOSSAI STAGEに出れるように頑張ります!」
とようやく辿り着いたYASSAI STAGEで宣言してやはり爆笑させてくれる。MOSSAI STAGEの神はYASSAI STAGEになっても最高に我々を楽しませてくれた。それはこの男が氣志團万博の守り神の1人であると言ってもいいのかもしれない。
1.MOSSAI様鎮静の儀
2.Insane
3.R.S.P
4.フランスパンゲーム
5.Quick Report
6.なにをやってもあかんわ
7.XXL
8.The Abyss
13:20〜 GEZAN [MOSSAI STAGE]
今年の出演者の中で個人的に最も出演が意外だった存在である。デモ的なライブの敢行などでも話題になった4人組バンド、GEZAN。まさかの氣志團万博初出演。
赤い衣装で統一されたメンバーがステージに登場すると、長い髪を靡かせるマヒトゥ・ザ・ピーポー(ボーカル&ギター)は仮面のようなものを顔に装着しており、イーグル・タカ(ギター)は民族楽器的な弦楽器を鳴らしている。もうこの時点で異世界に誘われている感じが凄まじいが、実際に「誅犬」でライブがスタートすると、念仏のようですらあるヤクモア(ベース)のコーラスがマヒトゥのクセというかアクというか、とにかく独特なボーカルに絡み合い、石原ロスカル(ドラム)の激しいビートとバンドの鳴らす爆音によって観客に激しいトランス感をもたらす。「これこのままだと中止になるんじゃないか」とすら思うくらいのあまりの豪雨であるがゆえにビールやアルコールなどを飲む気は1ミリも起きないが、そうしたものよりも刺激的かつ快楽的な音が目の前で鳴らされている。だから観客はみんな雨を気にすることなく踊りまくっているし、
「ピリオドの向こうを知っているバンドです。行けるところまで行こう」
と観客をアジテートするマヒトゥは
「雨が悪いわけじゃない。これは祝福の雨だよ」
と、雨が強すぎることによって動員にも影響が出ているかもしれないこの状況すらもポジティブに捉える。それが今の社会のことを歌うレベルミュージックがポジティブな音楽として響く。明らかに異形なバンド、異質な音楽であるが、そこにはハッキリとした意思が確かに鳴らされている。
それはマヒトゥが仮面を外して顔を、視線を観客に向け
「今から歌うのはそう 政治の歌じゃない」
と歌い始める「東京」の歌詞がそうであるように、生活や社会のこと。それを歌うことで変わることはないかもしれないけれど、このバンドのこれまでの活動は間違いなく触れた人たちの意識を少しだけでも変えている。収録アルバム「狂 (KLUE)」を聴いた時は少し怖さすらも感じてしまったのだが、目の前で鳴らされているこの音楽は紛れもなく希望を感じさせるものだ。
イーグルとロスカルも観客に挨拶をすると、「Third Summer of Love」がさらに観客の体を揺らす。ステージ左右のスクリーンにはまさに雨を祝福のようにして浴びながら笑顔で無我夢中で踊りまくる人の姿も映る。あれだけ強くて心が折れかけそうになっていた雨をこんなにもポジティブなものとして受け止めることができている。ずぶ濡れだから感動して涙が流れても雨に紛れてわからないな、と思っていたら、最後の
「今、俺が今くそムカついてるのは
最低な政治家その類じゃなくて
誰かを傷つけないと自分で居られない君
僕らは幸せになってもいいんだよ」
というフレーズがこれまでのどの曲よりもストレートなパンクサウンドによって目の前で歌われることで胸に、心に最短距離で突き刺さる「DNA」を演奏している時に、あれだけ豪雨だった雨が弱まって、空から光が射し込んできた。それが白い照明の光と合わさってこの上なく神聖なものとして自分の目に映る。こんなに感動的な光景が見れるのは、間違いなくGEZANの意思と音が連れてきたものだ。
野外ライブで雨が降ると伝説のライブになるとよく言われるけれど、この日その雨が呼んだ伝説のライブは間違いなくこのバンドのものだった。
綾小路翔は紹介VTRでGEZANについて、
「音楽でまだまだできることがあるんだなって思わせてくれた」
と言っていた。きっと氣志團ではやりたくてもどうしてもできないようなこともあるけれど、それをこのバンドがやっているという感覚があるはずだ。今年の3年ぶりの開催となる、混迷を極める状況の中での氣志團万博だからこそ、このバンドが出演した意味が確かにあった。こんなに素晴らしいライブをやるバンドだったなんて。
1.誅犬
2.replicant
3.AGEHA
4.Free Refugees
5.東京
6.Third Summer of Love
7.DNA
13:55〜 氣志團 [YASSAI STAGE]
前日はトップバッターとして出演した氣志團。中日であるこの日はタイムテーブルのちょうど真ん中あたりでの出演。
前日同様にメンバーが登場すると早乙女光(ダンス&スクリーム)がバスドラを打ち鳴らし、スクリーンに歌詞が映し出されることによってこのフェスのテーマソングであることがわかる「房総魂」からスタートするというのは変わらず、ダンサーたちが旗を振り回す「NIGHT THE KNIGHTS」へと続くというのも前日と変わらないが、時には花道へと進んで行って歌う綾小路翔(ボーカル)をはじめとしたメンバーたちには疲れの色は全く見えない。ただただ主催者としてこの自分たちの持つ時間を全うしようとしているように見える。
ここで前日と変わるのは「男帝 -Dandy-」であり、前日のカッコいいダンスパフォーマンスよりも歌と演奏に寄った選曲である。こうしてセトリを前日と変えるのはさすがであるが、この曲がもう15年以上前の曲であることには驚きである。
そしてここで「One Night Carnival」が演奏されるのであるが、また雨が強くなってきた中でも最後のサビ前で綾小路翔は
「お前たちだけ濡れさせてごめんな!」
と言って自ら雨に当たるべく花道を進み、ずぶ濡れになりながら前日同様に今年のフェスを開催した思いを語り、我々に
「歌わせてあげられなくてごめんな!」
と言う。それが前日よりも感動してしまったのはやはり雨による効果だろうか。ずっと花道で雨を浴び続けていただけに、もう髪型が崩れまくってリーゼントとは言えないくらいになっている。それでもこうして観客と同じように濡れて、少しでも近くで伝えたい。そんな思いが確かに感じられたし、だからこそ西園寺瞳(ギター)も星グランマニエ(ギター)も白鳥松竹梅(ベース)も目線を切らしたりすることなくずっと綾小路翔の方を見つめていたのだろう。そんな氣志團の優しさが痛いくらいに伝わってくる。
しかしそれだけでは終わらずに自分たちのステージをしっかり特別なエンターテイメントにしてくれるのが氣志團というバンドなのである。だからここで共に学ランを着た鬼龍院翔(ゴールデンボンバー)とイガグリ千葉(仙台貨物)をステージに招き、3人で振り付けを踊りながら「喧嘩上等」を歌い分ける。それは共にこのフェスを背負ってくれている仲間だからこそのコラボであるというのがわかるからこそ胸が熱くなる。久々のヒット曲となったこの曲も前日には演奏されていなかったなということにも気がつくのだけれど。
しかしそれだけでは終わらずに、さらにステージに招かれたのはゴールデンボンバーの喜矢武豊と樽美酒研二、さらには私立恵比寿中学のメンバー全員なのだが、登場時にゴールデンボンバーの2人がステージへの道を塞ぐように立っていたためにエビ中のメンバーたちに
「早く出てよー!」「詰まってる〜!」
と言われながらも、最後にその全員でコラボしたのは「THE アイシテル」で、エビ中のメンバーと鬼龍院、イガグリはMVのキャッチーな振り付けを踊りながら歌うのであるが、悪ノリ担当の喜矢武と樽美酒はライブ中の覆面レスラーの出で立ちのままでステージに仁王立ちしたり、ブリーフ姿になったりと曲に全く関係ないパフォーマンスをすることによって視線を掻っ攫ってしまう。このやりたい放題っぷりこそが氣志團とゴールデンボンバーの2組に通じるところだなと思いながらも、2日目の中盤にして早くもフェスは大団円のような空気になったし、どれだけ雨が強くても今年のこのフェスはきっと成功するなと思った。トリではなくても、やっぱりこのフェスは氣志團のフェスなんだと思わせてくれるライブを見せてくれることによって、我々を幸せにしかしない。どれだけ雨が降っていようが、この場に居合わせることができて本当に良かったと思っていた。
1.房総魂
2.NIGHT THE KNIGHTS
3.男帝 -Dandy-
4.One Night Carnival
5.喧嘩上等 w/ 鬼龍院翔、イガグリ千葉
6.THE アイシテル w/ ゴールデンボンバー、イガグリ千葉、私立恵比寿中学
14:40〜 RIP SLYME [MOSSAI STAGE]
SUの不祥事が発覚して活動休止になってしまったと思ったら、数々の名曲を生み出してきたPESまでも脱退。それでもRYO-Z、ILMARI、FUMIYAの3人でグループを存続させることを選んだRIP SLYME。このフェスで多くの人に再始動した姿を見せることになる。
ステージにはまずはFUMIYAが登場してターンテーブルを操作して音を鳴らすと、その横にはRYO-Z、ILMARIとはTERIYAKI BOYZとしても活動を共にしていたWISEの姿が。その後に揃いの衣装を着たRYO-ZとILMARIがステージに現れると、高速化した最新アレンジでの「楽園ベイベー」がILMARIのラップとともに始まり、不在メンバーのパートはWISEが担うというのがこの3人でのライブの形であることがわかる。最高音のPESと最低音のSUがいないというのはやはり少し寂しいけれど、サウンドもアップデートしながら前進していくというグループの心意気を感じざるを得ない。
今年になってからこの編成で配信シングルを連続リリースしており、その中からタイトルフレーズの歌唱が心地よさを感じさせる「Human Nature」を披露すると、RYO-Zが5年振りに帰還したこのフェスに感謝を告げるとともに、再始動する際に真っ先に連絡をくれたのが綾小路翔だったことを語る。つまりは恩返し的な意味も込めてのこのフェスへの出演ということである。
さらには最新シングル曲「さよならSunset」では音源にも参加しているフレンズのおかもとえみがサングラスをかけた状態で登場。「One」や「黄昏サラウンド」を彷彿とさせる美メロと抒情的なラップは人数が減ってもこのグループの根幹が変わっていないことを感じさせるし、おかもとえみの見事な歌唱っぷりが実に曲とマッチしている。
するとFUMIYAは突如としてヴァン・ヘイレンの「Jump」のイントロを鳴らすと、もちろんそこからお笑いのネタ番組のテーマ曲としてもおなじみのRIP SLYMEの「JUMP」に繋がるのであるが、「サヨナラSunset」からそのままステージに残ったおかもとえみもWISEとともにラップで(主にPESパート)参加し、さらにはFUMIYAも飛び跳ねながらボーカルを担うというゲストだけならずメンバー全員でいなくなったメンバーの穴を埋める総力戦。しかもメンバー自身がそうした新しい形を1番楽しんでいるように見える。それが雨が降る中でも我々もより楽しくなってくるのだ。
さらに「JOINT」でもおかもとえみとWISEを加えた4人編成で高速ラップによるマイクリレーが展開されると、最後にはやはりRIP SLYMEと言えばの夏ソング「熱帯夜」で4人が完璧に揃ったダンスを踊りながらラップを繋いでいく。それはこの4人のMCでの編成が新しいRIP SLYMEの形であるということを示唆していると言えるのであるが、ラップもダンスもゲストボーカルとは思えないクオリティでこなしてみせるおかもとえみのRIP SLYMEへの強い愛情を感じられた。この編成がずっと続くのかはまだわからないが、かつて日本で1番夏にCDが売れたアーティストにもなったRIP SLYMEの新たな物語が確かに動き出したのだった。
とはいえファンの中にはPESとSUがいない形でこうして活動することに複雑な思いを持っている人だっているはず。それはその2人を好きであればあるほどそう思ってしまうだろうと思う。
でも自分はこの日こうして形が変わってもまたRIP SLYMEのライブを見ることができて嬉しかった。学生時代に友達とみんなでカラオケで歌っていた青春の曲たちを、我々がもう学生じゃなくなって色々経てきて今があるように、メンバーも色々経てきた上でこうして聴くことができているからだ。複雑に思っている人がたくさんいることだって3人はわかっていると思うからこそ、こうして続けることを選んでくれてありがとうとライブを見て思った。やはりRIP SLYMEのライブは我々にとって楽園そのものだったのだ。
1.楽園ベイベー
2.Human Natutre
3.サヨナラSunset w/ おかもとえみ
4.JUMP
5.JOINT
6.熱帯夜
16:00〜 DOPING PANDA [MOSSAI STAGE]
この直前のYASSAI STAGEでのももいろクローバーZがあまりにも雨が強すぎて見ることができず、雨が当たらない場所でこのバンドのサウンドチェックを見ながら待っていた。するとサウンドチェックをあらかた終えたHAYATO(ドラム)は、
「みんな、無理しないでね。もうちょっとでスター(フルカワユタカ)出てくるからね」
と激しい雨の中で待ってくれているファンに優しい言葉をかけてくれる。再結成してから初めての、実に10年以上ぶりのフェスでのDOPING PANDAのライブである。
至って普通の出で立ちでメンバーがステージに現れると、なんとさっきまで豪雨だったのが見事に止むというMIRACLEを起こしたことによって「YA YA」から思いっきり踊りまくることができるのであるが、フルカワユタカ(ボーカル&ギター)は
「俺のとこ来ないか?」
と氣志團万博だからこそのフレーズも入れ込んでくるあたりの反射神経とサービス精神はさすがロックスターである。
さらには曲の中で抑揚というかアップダウンをより強くつけた「The Fire」と続くのであるが、その曲間なしで繋がっていく様はかつての無限大ダンスタイムを彷彿とさせるし、それが今のライブならではのアレンジにも表れている。ただ昔の代表曲を演奏するのではなくて、こうして今の形にアップデートしているというあたりにこうして再結成してフェスに挑んでいるバンドの熱意を感じざるを得ない。
「2012年にこのフェスが今みたいな形になって。俺たちは2012年に解散したから、一回も出れなかった。同世代で同じレーベルにいた氣志團のことをずっと凄いなと思ってたし、このフェスにも出たかったなと思ってた。
でも昨日からこのフェスの様子を見ていたら、フジファブリックが氣志團のカバーをしたりとか、オーラルが学ラン着てライブやったとかっていうのも見えて。俺たちも何かやらなきゃいけないんじゃないかと思ったんだけど、結局何にも思い付かなかった。でもそれでいいんだと思った。氣志團もそういうことをやるために俺たちを呼んだんじゃないだろうし。って言ってたら向こうに虹が出てきた(笑)」
とフルカワが指差した先には本当に虹がかかっていた。さっきまで豪雨だったとは思えないくらいの光景が見れているのは、このフェスがDOPING PANDAがやって来るのを喜んで迎え入れているかのようですらあった。
そんな奇跡のような光景を見ることができた後にはタロティことTaro Houjo(ベース)がリズムだけではなくてデジタルなダンスサウンドまでも操る「Hi-Fi」から口にせずとも無限大ダンスタイムのように際限なく観客は踊りまくり、それはかつてCMタイアップとしてヒットした夏の野外、しかもこうして晴れた空が似合う「beautiful surviver」へと続いていく。フルカワは少しボーカルがキツそうなところもあったけれど、間奏ではやはりロックスターを自認するだけはあるなという見事なギターソロを決めてみせる。
そんなフルカワはさらに我々を踊らせるべく、
「行こうぜ、ピリオドの向こうへ!」
と氣志團への感謝を込める言葉を口にして「Transient happiness」を演奏して、こんなにも踊らせまくるとは、というくらいに我々をノンストップで踊らせる。このキラーチューンの連打に次ぐ連打っぷりは解散から10年経って活動再開したフェスという場だからこそ、自分たちなりのフェスの戦い方、自分たちがフェスで何をするべきかということがわかったのかもしれない。奇を衒ったパフォーマンスをしなくても、ただただドーパンのど真ん中を今の3人で鳴らすのが自分たちがやるべきことだとわかったかのような。
だからこそ最後に演奏されたのはやはり「MIRACLE」だった。Hayatoとタロティによるコーラスではついつい合わせてそのコーラスを口にしてしまいそうになる。それくらいに今でも見ている我々の衝動を掻き立てるようなライブを今のドーパンがしているということだ。1曲の中で緩急を強くつけるというアレンジだからこそ、フルカワの間奏でのギターソロにより熱狂させられる。ライブが終わる頃にはさっきまでの豪雨はなんだったのかと思うくらいに爽やかな空が広がっていた。10年以上ぶりにフェスで見たドーパンのライブはやはりMIRACLEを起こしてしまったのだった。
もしかしたら、かつて何万人をも動員してその全員が踊りまくっていたような光景にはならないかもしれない。きっとこのバンドの存在すら知らないような若い人だって今のフェスにはたくさんいるから。知らないバンドはスルーされても仕方がないというのはベテランバンドのフェスの宿命とも言える。どんなに素晴らしい復活アルバムをリリースしていたとしても。
でももう見れないと思っていたあの熱狂のダンスフロアがまた帰ってきた。それだけは揺るぎない事実だし、きっとまたこれから先いろんな場所でこのバンドのライブを見ることができるようになるはず。そう考えるだけで楽しいし、ライブに行くのをやめなくて良かったなと思う。あの最高に楽しかった思いをまたこれから何度だって体感することができるのだから。この日の、あらゆるフェスの記憶を思い出してしまうライブももちろんそういうものだったのだ。
1.YA YA
2.The Fire
3.Hi-Fi
4.beautiful surviver
5.Transient happiness
6.MIRACLE
17:20〜 Def Tech [MOSSAI STAGE]
DOPING PANDAとはまた形は違うけれど、こちらも一度解散してから再結成したグループである。その解散前の風速はドーパン以上にポップシーンを塗り替えてしまっていた、Def Techが夕方の海の近くのステージという最高に似合う場所とシチュエーションで出演。
アコギとキーボードという3人のサポートメンバーによるバンドの前にMicroとShenが並ぶと、その姿はかつての大ブレイク時と全く変わっていないようにも見えるが、長身のShenはタトゥーが増えたようにも見える中、「Catch The Wave」のまさに波の音などが入ったアコースティックな感触が強いサウンドが心に染み入る。2人のラップとボーカルも実に滑らかであり、サウンドも相まって実に心地良い。
そのサウンドはどこか心に平穏をもたらしてくれるというか、サーフミュージックとはこんなにも争いなどのトゲトゲしい感情を心から消し去ってくれるのかと思う。それは2人の人間性によるものでもあるのだが、かつては仲違いをして解散したと言われていた2人が顔を向け合って呼吸を合わせるようにしてラップをし、歌を歌っている。一度離れたからこそ見えたものがきっとあったのだろうし、この2人のコンビネーションあればこそこうしてこのグループが大ヒットした名曲を世の中に生み出すことができたんだろうなと思う。実はDJ OZMAの音楽の元ネタになっていたと綾小路翔が語るのもよくわかるのであるが、もうDJ OZMAは別人という設定はどこかに行ったのだろうか。
するとMicroは
「THE FIRST TAKEバージョンで」
と言うとShenと向かい合ってタイミングを合わせるようにしてあのサビの歌い出しを歌い始め、2人の高音と低音が重なる。このグループの存在を世に知らしめた大ヒット曲「My Way」で、観客も当然腕を上げてこの曲を聴くことができたことを喜んでいるのだが、やはり今でもこの名曲は色褪せることはないし、曲名に名前が入っているこの曲はこの2人だから歌うことができる曲だ。大ヒットからもう15年くらい経つが、今になってこの曲をこうしてライブで聴いて、そこからいろんな感情が湧いてくることになるとは思いもしなかった。
ハワイのイメージが強いグループであるが、実はMicroは千葉と蒲田のハーフであるという紹介も親近感が生まれるけれど、もしかしたらこのグループのサウンドの奥底にはこの千葉の海の光景があるのかもしれないとも思った。ライブが終わっても名残惜しそうに観客と声が出せない中でもコミュニケーションを取ろうとしている2人はこれから先もずっと一緒に音楽をやっていくんだろうなと思った。
17:55〜 HYDE [YASSAI STAGE]
ソロでも毎回出演しているし、VAMPSとしてもこのフェスに出演したことがある、HYDE。この日の出演者からも多大なリスペクトを寄せられるこの男がやはり3年振りに開催されたこのフェスに帰還。
仮面をつけたバンドメンバーたちが先にステージに登場すると、先月のサマソニで見た時と同様に「LET IT OUT」を演奏しながら神輿に乗ったHYDEが登場するのであるが、その神輿が花道の最先端まで突き進んでいくというのはこのフェスならではのパフォーマンスである。
「DEFEAT」も含めて完全ラウド化したサウンドというのはこのフェスでこれまでにも示してきたことであるのだが、サマソニで口にしたマナーやルールについての言葉が話題になったようにこの日も
「声を出したりできないかもしれないけれど、その場所は君たちが3年かけてコロナから取り戻したものだ。有効に使え!」
と、安全かつ安心なライブを継続してきたからこそ国や自治体に認められて実証実験ができるようにもなったこの男だからこそ強い説得力を感じさせる言葉はこの日も健在。やはりカメラ目線でそうして話すHYDEの姿はどこか可愛いと思ってしまいがちであるけれど。
さらに「MAD QUALIA」では、
「俺が本気だと思った人だけ拍手をくれ!」
と言ってステージに立てた台の上に立つ。完全に本気でしかないし、その本気はこれからの音楽、ライブシーンのためにという思いを含んだ本気だということがわかるからこそ、より強く大きな拍手を送りたくなるのである。
そうしてラウド化したサウンドの中でHYDEの妖艶な歌声が響くバラード「THE ABYSS」がさすが盛り上げるだけではないライブができる、浸らせることができるくらいに強い世界観を持ったベテランだなと思わせると、ここで自身が提供した「GLAMOROUS SKY」のラウド・パンクサウンドカバーで会場を沸かせ、ステージの左右に動き回りながら歌うHYDEの姿は全くベテランに見えないくらいに若々しいし、やはりこうした誰もが知っている大ヒット曲を持ってるのは本当に強い。全然曲知らないけどとりあえず見ておくかくらいの人を巻き込むことができるからである。
するとこの日に自身にラブコールを送っていたももいろクローバーZのライブを見ていて衝撃的だったということを語り、
「こんな曲だったな…」
と言うとなんとももクロ「ココ☆ナツ」を歌い始める。しかも次第にバンドメンバーの音が重なってHYDEだからこその暗黒ラウドバージョンになるとHYDEもドラムセットのバスドラの上に立って振り付けをしながら歌うというとんでもないサプライズ。レジェンドであるにもかかわらずHYDEにどこか可愛らしさを感じてしまうのはきっとこういうところである。
そんなサプライズで湧き上がった客席をさらに楽しませてくれるのは湘南乃風のお株を奪うかのようなタオル回しが行われ、さらにその場でグルグル回るというコロナ禍だからこその楽しみ方が今だからこそのものとしてより一層楽しみになる「6 or 9」から、ラストはやはり「MIDNIGHT CELEBRATION II」で混沌を表現するかのようなラウドかつハードな音がこの袖ヶ浦を支配するとスクリーンには「THE END」の文字が浮かび上がった。今やHYDEはラウドバンドが数多く出演するこのフェスの元締め的な存在になっていると言っていいのかもしれない。
HYDEは少し前まであれだけ豪雨だったこの日に
「僕が出ると雨降らないんです」
と言っていた。その通りに本当に雨が降らないというのはやはりこの男は何か選ばれた力のようなものを持っているのかもしれないし、このフェスをこれからも晴れさせ続けて欲しいと思う。
1.LET IT OUT
2.DEFEAT
3.MAD QUALIA
4.THE ABYSS
5.GLAMOROUS SKY
6.ココ☆ナツ
7.6 or 9
8.MIDNIGHT CELEBRATION II
18:40〜 ROTTENGRAFFTY [MOSSAI STAGE]
紹介VTRで綾小路翔が
「なんで10-FEETとこんなに違うんだろう?(笑)」
と言いながら、かつてTAKUMAが盗難被害に遭った時に角材を手にして自主的に検問をして犯人を探していたというNOBUYA(ボーカル)の凶悪エピソードが語られた、ROTTENGRAFFTY。3年前に続いての出演である。
3年前はカラーのスーツを着て登場したが(翌日に10-FEETのメンバーがそれを着まわしていた)、この日は全員がカラーのジャージを着て登場するというこのフェスだからこその衣装で、やはりNOBUYAは角材を持って顔にヤクザ的なペイントまで施しているという気合いの入りっぷり。本人たちもこの設定を心から楽しんでいるのがよくわかる。
「これが俺たちの切り札ー!」
とNAOKIが叫んで「切り札」からスタートするというのはその高いテンションがそのまま現れているということであるが、KAZUOMIがライブに参加できなくなったことによって当初はKAZUOMIの弾く音源を同期で流していたのがサポートギタリスト(しっかりリーゼントヘアになっている)が加わったことによってやはりライブ感が増している。サポートということもあってかKAZUOMIのようにアクションを大きく取ることはないが、実に重要な役割を担っていると言える。
この時間には雨も止んでいたので、それを見越しての選曲だったのかと思うような「夕映え雨アガレ」ではHIROSHI(ドラム)の連打するビートが実に速くそして強い。紹介VTRで綾小路翔は「西と東の抗争再び」と言っていたが、まさに抗争を繰り広げているかのような激しいサウンドが鳴らされている。
「氣志團刑務所から来ました!」
と収監されていたことを口にしたNOBUYAの挨拶もこのフェスだからこそのもので、実際にNAOKIも
「氣志團万博だけのROTTENGRAFFTY」
と口にしていた。それを見ることができているというのは本当に幸せなことである。
タイトル通りにデジタルなサウンドを取り入れたダンサブルな「D.A.N.C.E.」では一度座らせてから一気にジャンプさせるというパフォーマンスによって観客をさらにぶち上げてくれるのであるが、こうした楽しみ方をしているとモッシュやダイブがなくても充分に楽しいし、先日のフェスに出演した際にダイブを止めさせたというのも自分たちがそれがなくても楽しませることができるということをわかっているのだと思う。
さらには手拍子が鳴り響く「THIS WORLD」とキラーチューン中のキラーチューンが続くと、NOBUYAとNAOKIはイントロのキメで思いっきりハイジャンプをし、このステージのトリにふさわしい衝動を炸裂させるライブになっていく。
そんな中でこのバンドのユーモア溢れる京都人っぷりが伝わってくる「響く都」のサウンドに合わせて観客が腕を左右に上げることで少しほっこりとした気分になるというか、抗争の間のブレイクタイムというような感じになると、ラストはやはり「金色グラフティー」なのであるが、この曲の入りの
「お前が見てる世界は」
というNAOKIのフレーズも
「俺のとこ来ないか?」
という氣志團のフェスだからこそのものに変化し、侑威地(ベース)はKAZUOMIがそうしていたように観客に向かって「違う!もっと!」とばかりに両腕を高く突き上げる。その熱演っぷりはライブハウスのバンドとしての底力を示すようなものだったからこそ、
「俺たちいつでもライブハウスにいるんで。またライブハウスで会いましょう!」
と、実は他のフェスより聴く機会が少ないセリフを口にしたのだ。
去り際にNOBUYAは
「これで氣志團刑務所から釈放ってことでいいですかね!」
と言っていたが、その刑務所の中にいたら毎年このフェスに出れるのであれば、ずっと収監され続けて欲しいと思うくらいに、この日の個人的ベストアクトはGEZANかこのバンドだ。
1.切り札
2.夕映え雨アガレ
3.D.A.N.C.E.
4.THIS WORLD
5.響く都
6.金色グラフティー
19:15〜 聖飢魔II [YASSAI STAGE]
この日のトリは聖飢魔II。かつてもこのフェスに出演しているが、35周年を記念した活動がコロナで延びてしまったことによって、37年目にして35年を祝う活動をすることに。10万歳を超えるデーモン小暮(ボーカル)を筆頭にダントツで今年のこのフェスの最年長出演者である。
先に完全に聖飢魔IIでしかない白塗りとコスチュームを着たメンバーがステージに登場すると、黒子スタッフが棺を引っ張って現れ、スモークが充満する棺の中からデーモン小暮が出てくるという悪魔ならではの降臨の仕方によって「創世記」からスタートすると、テレビ番組のコメンテーターとして話しているデーモン小暮の声とは全く違う超ハイトーンなハードロックボイスを響かせる。これはテレビのイメージしかないような人は間違いなく驚くと思う。それくらいにあまりにも歌が上手すぎる。
それはデーモン小暮の歌唱力だけではなくてメンバーの演奏もそうであり、背中にツノのような飾りをつけたゼノン石川和尚が後ろでしっかりとリズムを支え、ライデン湯沢殿下のドラムは機材と体が一体化しているかのように、意識だけで腕が動いているかのようにタイト極まりない。見た目からして常人ではないのだが、演奏の腕前も常人ではない。
何よりもSgt. ルーク篁III世参謀とジェイル大橋代官のギターの凄まじさたるや。ハードロックとはかくあるべしという演奏力をまざまざと見せつけてくれるし、それはこの出演者の中でレジェンドではありながらもなぜこのバンドがトリを務めているのかという理由になっている。
それは「見た目はイロモノでキャラクターもコミカルだけど実は音楽がめちゃくちゃしっかりしていて、演奏がとてつもなく上手い」というこのバンドのスタンスが確かに氣志團と通じるものであるということを示してくれる。だからこそ紹介VTRで綾小路翔もこのバンドのことを「目指すべき存在」と口にしたのだろう。
この袖ヶ浦に幼少期に潮干狩りによく来ており、まだキャッチ&リリースという概念もなかった時代なだけについつい貝を取りすぎて親に怒られていたというバンドの設定的に大丈夫なのかそれはというMCでこの場所への身近さを感じさせてくれると、このコロナ禍で逆に時間が出来たことによって生まれたというリリースされたばかりの最新アルバム「BLOODIEST」からは壮大な歌唱とメロディによる「LOVE LETTER FROM A DEAD END」が披露されて35年を超えてもなお前に進んでいるバンドの姿勢を改めて示すと、デーモン小暮が猟奇殺人者である曲のストーリーを口にしてから演奏された「JACK THE RIPPER」ではデーモン小暮が
「お前を…殺す!」
と連呼しながら、やはりギター2人が前に出てきて速弾きしまくる。改めてこんなに凄まじい演奏力を持ったメンバーが集結したとんでもないバンドだと思わざるを得ない。
するとデーモン小暮は
「深い森の中に小さな館があり、そこからは毎夜女性の叫び声が聞こえるとか聞こえないとか…」
と前フリをするのはもちろん「蝋人形の館」であるのだが、その決め台詞である
「お前も蝋人形にしてやろうか!」
はコロナ禍であるが故に
「今年いっぱいは声を出せない体にしてやろうか!いや、もうなってるのか…」
に変化して曲はシリアスなのに我々を爆笑させてくれる。しかもこの曲では聖飢魔IIというよりはKISSのようなメイクと衣装に着替えた氣志團改め鬼死團と、やはり小悪魔的な(どちらかというとBABYMETAL的な)メイクを施したももいろクローバーZ改め血の色クローバーマッドも賑やかしとして登場してコラボするのであるが、曲終わりに喋ろうとする綾小路翔に
「團長、事前の打ち合わせではここではフリートークはしないということだったが…」
とデーモン小暮が返してそそくさとステージから去ると、ラストの「FIRE AFTER FIRE」ではデーモン小暮の悪魔だからこその火吹き芸のために火を持ってくる役を氣志團が務め、やはりももクロの3人も加わっての大団円へ。
全員がステージの花道を進むと、前回の聖飢魔IIの出演時にデーモン小暮から直伝された倒立歌唱を百田夏菜子が見せ、綾小路翔は
「お前も16年間くらいNHKを出禁にしてやろうか!」
と観客に言って爆笑を誘う。そんな綾小路翔に
「NHK出たいの?」
と問いかけたデーモン小暮がフィナーレの花火のカウントダウンを行うのであるが、そのカウントダウンを100秒前から行おうとして綾小路翔に
「閣下!だいぶケツカッチンでございます!」
とツッコミを入れられる姿は、氣志團が目標にするのもよくわかるくらいに面白いおじさんでありながらカッコいいバンドマンであった。
雨が強くて心が折れかけそうになる瞬間もあったけれども、こうして最後までたどり着いて本当に良かったなとその花火を見ながら思っていた。
1.創世記
2.WINNER!
3.SAVE YOUR SOUL
4.LOVE LETTER FROM A DEAD END
5.JACK THE RIPPER
6.蝋人形の館
7.FIRE AFTER FIRE
10:20〜 仙台貨物 [MOSSAI STAGE] (Welcome Act)
この日のWelcome Actはこのフェスではおなじみの存在と言える仙台貨物。そんな存在でもこの位置での出演というのが実にこのバンドらしい。
「One Night Carnival」のイガグリ千葉(ボーカル)歌唱バージョンのSEで出てくる前から笑いを巻き起こすと、ステージにおなじみのフェイスペイントを施したメンバーたちが登場し、「開運ざんまい」でスタートするのであるが、そうして開始したと同時に会場は豪雨に見舞われるという、逆になんか持ってるんじゃないかと思わせるような状況に。もうあまりに豪雨過ぎてステージが見えないくらいのレベルであるのだが、そもそも避難場所もあまりない為か、あるいはこのバンドのグッズであるツナギなどを纏ったファンもたくさんいたからか、全然みんなそのまま雨を楽しむようにしてライブを見続けている。それは毎年のように雨に降られているこのフェスだからこそ観客も耐性がついているのかもしれない。
そんなステージすらまともに見えない中でも聴こえてくる音だけで演奏がめちゃくちゃ上手いのがよくわかる。フルフェイスとReonald Satty schtrouzのギター2人も、名前の通りに中華風の長いつけ髭をつけた王珍々と頭にひまわりのような被り物をしているギガフレアによるリズム隊も、そんなメンバーのサウンドにデジタルかつダンサブルな要素を加えるKURIHARAのマニピュレーターっぷりも、さすが日本屈指の人気と売り上げを誇っていたビジュアル系バンドのメンバーだったバンドと言われているバンドである。
「MUKI MUKIさせてよ」では上半身裸に海パンという海の近くだからこそであるが、この豪雨の状況でその格好かいとツッコミを入れたくなるマッスルダンサーたちもステージに登場して筋肉を見せつけるのであるが、あまりにも視界が悪すぎて本当に筋肉があるのか全くわからなくなっているというくらいの豪雨っぷりである。
そんな中でもド下ネタソングの「絶交門」をぶっ込んでくるというブレないこのバンドのスタンスを感じさせると、イガグリ千葉による方言訛りボーカルが歌詞と相まって実に面白い「腐況の風」と最後までライブをやり切った頃には少し雨も弱まっているというのもこのバンドが何か特殊な力を持っていると思ったり思わなかったり。もうちょっとまともな状況の時にちゃんとまたライブを見てみたいと思う存在ではある。
そんな悪天候な中でもライブを見ることをやめなかったのは、3年前に直前に台風が千葉に直撃したことによって色々言われる中でも開催された時に、出演していないのにイガグリ千葉は会場に来て、台風の募金ブースにずっと立って募金を募っていた姿を見ていたからである。ただこのフェスでおなじみの存在であるというだけで千葉のためにそこまでしてくれた男の恩義にちゃんと応えたいと千葉県民としてずっと思っていた。だからこそ、またライブを見れる機会があれば是非見てみたいと思うのだ。
SE.One Night Carnival千葉さんver
1.開運ざんまい
2.日本でいちばんアツイ夏
3.MUKI MUKIさせてよ
4.絶交門
5.腐況の風
11:00〜 綾小路きみまろ [YASSAI STAGE] (OPENING CEREMONY ACT)
完全に名前繋がりであると思われるが、前日が松平健であっただけに実にわかりやすい綾小路きみまろのオープニングセレモニーアクトである。
花道の先から綾小路きみまろが浮上してくると、自身もその年齢であるだけに中高年をネタにした漫談を披露し、
「最近の中高年は元気です。元気に車でコンビニに突っ込みます」
などのかなりブラックなネタで押しまくるのであるが、明らかにウケていないネタをやった後のリアクションを見て
「ダメでした!」
と口にしたりするのが漫才とはまた違って面白いし、ちょっと雨が弱まってきたかと思ったらネタ中にまた雨が強くなってきて、花道でモロに雨を食いながらもネタを続けるというあたりはさすが下積み期間が長いプロだなと思った。長い髪のカツラが風で飛んだりしないかが心配だったけれど。
11:15〜 ゴールデンボンバー [YASSAI STAGE]
ある意味では氣志團直系の後輩と言える存在であるだけにこのフェスでもおなじみの存在である、ゴールデンボンバー。歌広場淳がとある事情によって活動休止中であるために3人での出演となるのだが、それ故に綾小路翔は
「カラオケ館翔が代わりに出ようか?」
と言っていたのも系統が自分たちと同じだからであろう。
ゴールデンボンバーの万博と言えば紹介VTRでの全裸芸であるが、3年振りの開催ということで野外フェスにおける対策として冷却スプレーを3人が全裸でかけ合うという全裸芸は3人になっても健在。これを見ると万博が帰ってきたんだな〜と思えるというくらいにもはやこのフェスの象徴とも言える。
歌広場を欠く3人体制でメンバーがステージに登場すると、「#CDが売れないこんな世の中じゃ」で鬼龍院翔(ボーカル)が変わることのない見事なボーカルを披露するのであるが、もはやエアバンドとしての矜持なのかと思うくらいに樽美酒研二(エアドラム)は全くドラムセットに座らずにステージや花道を歩き回りながら観客を煽っている。喜矢武豊(ギター)は「トラウマキャバ嬢」で1回のサビにつき2音くらいはギターを弾いているけれど。
自己紹介的なMCでは鬼龍院が
「雨降ってるんで力を抜いたりして見てもらえれば。どうせ我々のライブは生音じゃないんで(笑)」
と自虐しながら、
喜矢武「僕は久しぶりにHYDEさんに会えるのが嬉しいですね。HYDEさんの故郷の和歌山ではHYDEさん仕様の電車が走ってたって知ってます?もう終わっちゃったみたいなんですけど、なんかこの辺りを走ってるっていう話もあるんですよね」
樽美酒「僕は最近陰謀論系のYouTuberにハマってるんで、陰謀論系YouTuberになりたいですね」
という2人の前振り的なMCが着地するのはもちろん「抱きしめてシュバルツ」であり、喜矢武は自身がHYDE列車となり(機関車トーマスみたいに列車の正面がHYDEメイクを施した喜矢武の顔になっている)、樽美酒は陰謀論系ならぬ陰毛ロン毛として裸の股間にロン毛の陰毛をつけているというさすがの発想力に客席は爆笑。SASUKEでも有力選手の1人になっている樽美酒の肉体は実に見事であり、その肉体と「これ怒られないのか?」と思うようなHYDE列車が花道を走るという図はまさに万博のゴールデンボンバーのライブならではのバカバカしさである。HYDEはむしろこのHYDE列車を喜んでいたというあたりに両者の絆の深さを感じることができる。
そんなパフォーマンスが終わり、ここからは実はキャッチーであるからこそブレイクしたゴールデンボンバーの曲をしっかり聴かせてくれるのかと思いきや、HYDEメイクを落とした喜矢武は
「千葉はご当地ゆるキャラがたくさんいますけど、僕は袖ヶ浦のガウラくんに会いたいですね。会場に来ているみたいなんですよね」
という前振りはやはり「首が痛い」で喜矢武がガウラくんに、樽美酒がふなっしーに扮するというネタに繋がるのであるが、それはゆるキャラというよりはただの覆面プロレスラーという形になり、ヌンチャクや会場で販売されているプレミアムモルツの缶でお互いをどつきまくるという仁義なきデスマッチに発展していく。もはやゆるキャラは全く関係なくなっているが、
「お子さまは目を閉じてください〜!」
と言いながらも子供が湧くパフォーマンスになっているのもさすがである。
喜矢武と樽美酒がその覆面プロレスラー的な格好で歌詞に合わせて上手や下手へ忙しなく移動する「かまってちょうだい///」から、ラストはやはり3人が雨が降る中でも花道の先に出てきて実に久しぶりにフェスでこんなにたくさんの人が飛び跳ねまくる「女々しくて」。その光景を見て、これが万博だよな〜と思った。いつのまにかゴールデンボンバーは自分の中でこのフェスに欠かせないというか、フェスやライブ人生においても欠かせない存在になっていたということが改めてわかった。
1.#CDが売れないこんな世の中じゃ
2.トラウマキャバ嬢
3.抱きしめてシュバルツ
4.デスメンタル
5.首が痛い
6.かまってちょうだい///
7.女々しくて
12:00〜 私立恵比寿中学 [MOSSAI STAGE]
紹介VTRでは綾小路翔が
「最初に見た時から真山りかさんがずっと気になっていて、なんでだろうな?と思ったらマネージャーから「真山さんって團長のお母さんに似てますよね」って言われて。俺は母性を求めていたんだなって(笑)」
と言うほどの存在である、私立恵比寿中学。MOSSAI STAGEのトップバッターとして出演である。
新メンバーオーディションを経て現役中学生も含む新メンバーが加わって9人の大所帯グループとなっているのだが、全員がまさに中学生のようなピンク色を基調とした制服を着ているというのはとかく学ランや特攻服を選びがちなこのフェスにおいて真逆の爽やかさを醸し出し、「売れたいエモーション」でスタートすると新メンバーも含めてそれぞれの歌唱力の高さに驚かされる。様々なアーティストから曲を提供され、その楽曲が様々な人たちから評価されているということはわかっていたが、そうした曲の良さを引き出すことができる歌唱力を持ったグループであるということがわかる。だからこそオーディションもちゃんと各々の実力や才能、努力を見定めるものになっているんだろうなとも思う。
もうイントロからして絶対に魔法少女になり隊が作った曲だなとわかるのは彼らも自身のライブでセルフカバーしている「ちちんぷい」で、こうしたグループと相性が実にいいなと思うとともに、こうして歌ってもらえることによって提供者が評価されたらいいなとも思う。
病気を乗り越えて復帰した安本彩花の鮮やかな髪色も映えるのだが、ダンスのフォーメーションや顔芸的な表情作りに至るまでのパフォーマンスも実に見事だなというかキレと統率性があるなと感じられる「青春ゾンビィィズ」でのゾンビの歩き方を表現したかのようなダンスから、夏らしいパンクサウンドはTOTALFATのJoseが提供したものとすぐにわかる(こんな西海岸パンク的なサウンドを鳴らすバンドはなかなかいないだけに)「HOT UP!!!」でメンバーも観客もさらにエネルギッシュになると、ラストはメンバーのラップ的な歌唱も飛び出すテクノサウンドの「Family Complex」。それはこの後に出演する岡崎体育の提供曲であるのだが、グループのことをレペゼンするような歌詞はこのグループが本当に提供者に愛されてるんだなと思えるものだった。
個人的にはマカロニえんぴつ提供の「愛のレンタル」を聴きたかったというのもあるけれど、それはまた来年以降のこの場所で。
1.売れたいエモーション
2.ちちんぷい
3.大人はわかってくれない
4.青春ゾンビィィズ
5.HOT UP!!!
6.Family Complex
12:35〜 岡崎体育 [YASSAI STAGE]
どれだけ売れても3年前まではひたすらにMOSSAI STAGEに出演し、3年前にはアリーナワンマンまでもやっているのにMOSSAI STAGEのトリという位置だったために怒りのあまりに「MOSSAI STAGEの神・MOSSAI様」へと変貌した、岡崎体育。開催できなかった2年間を挟んでついにYASSAI STAGEに初進出。
しかしながらそれはMOSSAI様への冒涜であるからか、登場前にはおどろおどろしいサウンドとともに
「MOSSAI様をしかるべき場所に供えなかった者たちには厄災が降りかかるであろう」
という時代劇のオープニング的な朗読が流れる。3年前のMOSSAI様のテーマもそうだったが、このライブのためだけにこうして曲や文章を用意するあたりが岡崎体育のマメさ、真面目さ、それによる愛されっぷりを感じさせる。
なのでSEも厄災を感じさせるような怖いものになっているのだが、紹介VTR内よりも明らかに太った感のある岡崎体育が登場すると、早くもMOSSAI様の怒りが降り注いでいるかのような強い雨が。厄災はすでに始まっているのかと思うくらいの環境であるが、岡崎体育は急にポップなテクノサウンドを流し、
「やっほ☆全然怒ってないよ」
と、MOSSAI様のくだりはなんだったのかと思うくらいに朗らかにこのライブを行うことをアピールし(この曲もわざわざ作ってくるのが凄い)、
「じゃんけんで僕に勝った人だけ踊ってください!負けた人と引き分けた人はその場で突っ立っててください!」
というコロナ禍前からやっているパフォーマンスはコロナ禍になっても有効な観客とのコミュニケーションになることを実証するのであるが、雨がこんなに降っている中で棒立ちしていなければならないというのは実にツラいものがある。
そんな中でさらに観客とコミュニケーションを取りながら踊らせるべく、
「僕が「フランス」と言ったら「パン」って手を叩くっていう「フランスパンゲーム」をやります。フルコンボできた人はSNSで僕に教えてください。「凄いな」って思うので(笑)」
と言ってリアル音ゲー「フランスパンゲーム」が行われるのであるが、
「焼きそば」「フランシスコザビエル」
など、やはり一筋縄ではいかないフェイントを入れてくる岡崎体育には笑わされてしまう。
そんな「フランスパンゲーム」で雨の中でも体を動かして暖まると、ライブのクイックレポをネタにした「Quick Report」ではスクリーンに映像とともに歌詞が映し出され、
「観客のボルテージは一気に最高潮に」
と岡崎体育が叫ぶとサウンドが激しくなり、まさに観客のボルテージは一気に最高潮に達するように踊りまくるのだが、個人的にライブの感想をツイートする時に「観客のボルテージは一気に最高潮に」は絶対使わないようにしようと思った。
曲間には岡崎体育がお菓子を食べるという、通常時なら笑いになるであろうパフォーマンスもこの日は雨ゆえになかなかリアクションは寂しくもあったのだが、「1番サブスクで回ってる曲」と言って演奏された「なにをやってもあかんわ」はメロディのキャッチーさもさることながら、ネガティブなようでいて聴き終わった時には逆に開き直り的にポジティブになれるという恐ろしい力を持った岡崎体育の新たな代表曲である。
その「なにをやってもあかんわ」からラストはネタではなくマジな抒情性を感じさせるような曲が続く。それは岡崎体育のネタ的な面白さではない、曲の良さがあるからこそこんなにも巨大な存在になったということを示すものであるのだが、最後には
「来年はMOSSAI STAGEに出れるように頑張ります!」
とようやく辿り着いたYASSAI STAGEで宣言してやはり爆笑させてくれる。MOSSAI STAGEの神はYASSAI STAGEになっても最高に我々を楽しませてくれた。それはこの男が氣志團万博の守り神の1人であると言ってもいいのかもしれない。
1.MOSSAI様鎮静の儀
2.Insane
3.R.S.P
4.フランスパンゲーム
5.Quick Report
6.なにをやってもあかんわ
7.XXL
8.The Abyss
13:20〜 GEZAN [MOSSAI STAGE]
今年の出演者の中で個人的に最も出演が意外だった存在である。デモ的なライブの敢行などでも話題になった4人組バンド、GEZAN。まさかの氣志團万博初出演。
赤い衣装で統一されたメンバーがステージに登場すると、長い髪を靡かせるマヒトゥ・ザ・ピーポー(ボーカル&ギター)は仮面のようなものを顔に装着しており、イーグル・タカ(ギター)は民族楽器的な弦楽器を鳴らしている。もうこの時点で異世界に誘われている感じが凄まじいが、実際に「誅犬」でライブがスタートすると、念仏のようですらあるヤクモア(ベース)のコーラスがマヒトゥのクセというかアクというか、とにかく独特なボーカルに絡み合い、石原ロスカル(ドラム)の激しいビートとバンドの鳴らす爆音によって観客に激しいトランス感をもたらす。「これこのままだと中止になるんじゃないか」とすら思うくらいのあまりの豪雨であるがゆえにビールやアルコールなどを飲む気は1ミリも起きないが、そうしたものよりも刺激的かつ快楽的な音が目の前で鳴らされている。だから観客はみんな雨を気にすることなく踊りまくっているし、
「ピリオドの向こうを知っているバンドです。行けるところまで行こう」
と観客をアジテートするマヒトゥは
「雨が悪いわけじゃない。これは祝福の雨だよ」
と、雨が強すぎることによって動員にも影響が出ているかもしれないこの状況すらもポジティブに捉える。それが今の社会のことを歌うレベルミュージックがポジティブな音楽として響く。明らかに異形なバンド、異質な音楽であるが、そこにはハッキリとした意思が確かに鳴らされている。
それはマヒトゥが仮面を外して顔を、視線を観客に向け
「今から歌うのはそう 政治の歌じゃない」
と歌い始める「東京」の歌詞がそうであるように、生活や社会のこと。それを歌うことで変わることはないかもしれないけれど、このバンドのこれまでの活動は間違いなく触れた人たちの意識を少しだけでも変えている。収録アルバム「狂 (KLUE)」を聴いた時は少し怖さすらも感じてしまったのだが、目の前で鳴らされているこの音楽は紛れもなく希望を感じさせるものだ。
イーグルとロスカルも観客に挨拶をすると、「Third Summer of Love」がさらに観客の体を揺らす。ステージ左右のスクリーンにはまさに雨を祝福のようにして浴びながら笑顔で無我夢中で踊りまくる人の姿も映る。あれだけ強くて心が折れかけそうになっていた雨をこんなにもポジティブなものとして受け止めることができている。ずぶ濡れだから感動して涙が流れても雨に紛れてわからないな、と思っていたら、最後の
「今、俺が今くそムカついてるのは
最低な政治家その類じゃなくて
誰かを傷つけないと自分で居られない君
僕らは幸せになってもいいんだよ」
というフレーズがこれまでのどの曲よりもストレートなパンクサウンドによって目の前で歌われることで胸に、心に最短距離で突き刺さる「DNA」を演奏している時に、あれだけ豪雨だった雨が弱まって、空から光が射し込んできた。それが白い照明の光と合わさってこの上なく神聖なものとして自分の目に映る。こんなに感動的な光景が見れるのは、間違いなくGEZANの意思と音が連れてきたものだ。
野外ライブで雨が降ると伝説のライブになるとよく言われるけれど、この日その雨が呼んだ伝説のライブは間違いなくこのバンドのものだった。
綾小路翔は紹介VTRでGEZANについて、
「音楽でまだまだできることがあるんだなって思わせてくれた」
と言っていた。きっと氣志團ではやりたくてもどうしてもできないようなこともあるけれど、それをこのバンドがやっているという感覚があるはずだ。今年の3年ぶりの開催となる、混迷を極める状況の中での氣志團万博だからこそ、このバンドが出演した意味が確かにあった。こんなに素晴らしいライブをやるバンドだったなんて。
1.誅犬
2.replicant
3.AGEHA
4.Free Refugees
5.東京
6.Third Summer of Love
7.DNA
13:55〜 氣志團 [YASSAI STAGE]
前日はトップバッターとして出演した氣志團。中日であるこの日はタイムテーブルのちょうど真ん中あたりでの出演。
前日同様にメンバーが登場すると早乙女光(ダンス&スクリーム)がバスドラを打ち鳴らし、スクリーンに歌詞が映し出されることによってこのフェスのテーマソングであることがわかる「房総魂」からスタートするというのは変わらず、ダンサーたちが旗を振り回す「NIGHT THE KNIGHTS」へと続くというのも前日と変わらないが、時には花道へと進んで行って歌う綾小路翔(ボーカル)をはじめとしたメンバーたちには疲れの色は全く見えない。ただただ主催者としてこの自分たちの持つ時間を全うしようとしているように見える。
ここで前日と変わるのは「男帝 -Dandy-」であり、前日のカッコいいダンスパフォーマンスよりも歌と演奏に寄った選曲である。こうしてセトリを前日と変えるのはさすがであるが、この曲がもう15年以上前の曲であることには驚きである。
そしてここで「One Night Carnival」が演奏されるのであるが、また雨が強くなってきた中でも最後のサビ前で綾小路翔は
「お前たちだけ濡れさせてごめんな!」
と言って自ら雨に当たるべく花道を進み、ずぶ濡れになりながら前日同様に今年のフェスを開催した思いを語り、我々に
「歌わせてあげられなくてごめんな!」
と言う。それが前日よりも感動してしまったのはやはり雨による効果だろうか。ずっと花道で雨を浴び続けていただけに、もう髪型が崩れまくってリーゼントとは言えないくらいになっている。それでもこうして観客と同じように濡れて、少しでも近くで伝えたい。そんな思いが確かに感じられたし、だからこそ西園寺瞳(ギター)も星グランマニエ(ギター)も白鳥松竹梅(ベース)も目線を切らしたりすることなくずっと綾小路翔の方を見つめていたのだろう。そんな氣志團の優しさが痛いくらいに伝わってくる。
しかしそれだけでは終わらずに自分たちのステージをしっかり特別なエンターテイメントにしてくれるのが氣志團というバンドなのである。だからここで共に学ランを着た鬼龍院翔(ゴールデンボンバー)とイガグリ千葉(仙台貨物)をステージに招き、3人で振り付けを踊りながら「喧嘩上等」を歌い分ける。それは共にこのフェスを背負ってくれている仲間だからこそのコラボであるというのがわかるからこそ胸が熱くなる。久々のヒット曲となったこの曲も前日には演奏されていなかったなということにも気がつくのだけれど。
しかしそれだけでは終わらずに、さらにステージに招かれたのはゴールデンボンバーの喜矢武豊と樽美酒研二、さらには私立恵比寿中学のメンバー全員なのだが、登場時にゴールデンボンバーの2人がステージへの道を塞ぐように立っていたためにエビ中のメンバーたちに
「早く出てよー!」「詰まってる〜!」
と言われながらも、最後にその全員でコラボしたのは「THE アイシテル」で、エビ中のメンバーと鬼龍院、イガグリはMVのキャッチーな振り付けを踊りながら歌うのであるが、悪ノリ担当の喜矢武と樽美酒はライブ中の覆面レスラーの出で立ちのままでステージに仁王立ちしたり、ブリーフ姿になったりと曲に全く関係ないパフォーマンスをすることによって視線を掻っ攫ってしまう。このやりたい放題っぷりこそが氣志團とゴールデンボンバーの2組に通じるところだなと思いながらも、2日目の中盤にして早くもフェスは大団円のような空気になったし、どれだけ雨が強くても今年のこのフェスはきっと成功するなと思った。トリではなくても、やっぱりこのフェスは氣志團のフェスなんだと思わせてくれるライブを見せてくれることによって、我々を幸せにしかしない。どれだけ雨が降っていようが、この場に居合わせることができて本当に良かったと思っていた。
1.房総魂
2.NIGHT THE KNIGHTS
3.男帝 -Dandy-
4.One Night Carnival
5.喧嘩上等 w/ 鬼龍院翔、イガグリ千葉
6.THE アイシテル w/ ゴールデンボンバー、イガグリ千葉、私立恵比寿中学
14:40〜 RIP SLYME [MOSSAI STAGE]
SUの不祥事が発覚して活動休止になってしまったと思ったら、数々の名曲を生み出してきたPESまでも脱退。それでもRYO-Z、ILMARI、FUMIYAの3人でグループを存続させることを選んだRIP SLYME。このフェスで多くの人に再始動した姿を見せることになる。
ステージにはまずはFUMIYAが登場してターンテーブルを操作して音を鳴らすと、その横にはRYO-Z、ILMARIとはTERIYAKI BOYZとしても活動を共にしていたWISEの姿が。その後に揃いの衣装を着たRYO-ZとILMARIがステージに現れると、高速化した最新アレンジでの「楽園ベイベー」がILMARIのラップとともに始まり、不在メンバーのパートはWISEが担うというのがこの3人でのライブの形であることがわかる。最高音のPESと最低音のSUがいないというのはやはり少し寂しいけれど、サウンドもアップデートしながら前進していくというグループの心意気を感じざるを得ない。
今年になってからこの編成で配信シングルを連続リリースしており、その中からタイトルフレーズの歌唱が心地よさを感じさせる「Human Nature」を披露すると、RYO-Zが5年振りに帰還したこのフェスに感謝を告げるとともに、再始動する際に真っ先に連絡をくれたのが綾小路翔だったことを語る。つまりは恩返し的な意味も込めてのこのフェスへの出演ということである。
さらには最新シングル曲「さよならSunset」では音源にも参加しているフレンズのおかもとえみがサングラスをかけた状態で登場。「One」や「黄昏サラウンド」を彷彿とさせる美メロと抒情的なラップは人数が減ってもこのグループの根幹が変わっていないことを感じさせるし、おかもとえみの見事な歌唱っぷりが実に曲とマッチしている。
するとFUMIYAは突如としてヴァン・ヘイレンの「Jump」のイントロを鳴らすと、もちろんそこからお笑いのネタ番組のテーマ曲としてもおなじみのRIP SLYMEの「JUMP」に繋がるのであるが、「サヨナラSunset」からそのままステージに残ったおかもとえみもWISEとともにラップで(主にPESパート)参加し、さらにはFUMIYAも飛び跳ねながらボーカルを担うというゲストだけならずメンバー全員でいなくなったメンバーの穴を埋める総力戦。しかもメンバー自身がそうした新しい形を1番楽しんでいるように見える。それが雨が降る中でも我々もより楽しくなってくるのだ。
さらに「JOINT」でもおかもとえみとWISEを加えた4人編成で高速ラップによるマイクリレーが展開されると、最後にはやはりRIP SLYMEと言えばの夏ソング「熱帯夜」で4人が完璧に揃ったダンスを踊りながらラップを繋いでいく。それはこの4人のMCでの編成が新しいRIP SLYMEの形であるということを示唆していると言えるのであるが、ラップもダンスもゲストボーカルとは思えないクオリティでこなしてみせるおかもとえみのRIP SLYMEへの強い愛情を感じられた。この編成がずっと続くのかはまだわからないが、かつて日本で1番夏にCDが売れたアーティストにもなったRIP SLYMEの新たな物語が確かに動き出したのだった。
とはいえファンの中にはPESとSUがいない形でこうして活動することに複雑な思いを持っている人だっているはず。それはその2人を好きであればあるほどそう思ってしまうだろうと思う。
でも自分はこの日こうして形が変わってもまたRIP SLYMEのライブを見ることができて嬉しかった。学生時代に友達とみんなでカラオケで歌っていた青春の曲たちを、我々がもう学生じゃなくなって色々経てきて今があるように、メンバーも色々経てきた上でこうして聴くことができているからだ。複雑に思っている人がたくさんいることだって3人はわかっていると思うからこそ、こうして続けることを選んでくれてありがとうとライブを見て思った。やはりRIP SLYMEのライブは我々にとって楽園そのものだったのだ。
1.楽園ベイベー
2.Human Natutre
3.サヨナラSunset w/ おかもとえみ
4.JUMP
5.JOINT
6.熱帯夜
16:00〜 DOPING PANDA [MOSSAI STAGE]
この直前のYASSAI STAGEでのももいろクローバーZがあまりにも雨が強すぎて見ることができず、雨が当たらない場所でこのバンドのサウンドチェックを見ながら待っていた。するとサウンドチェックをあらかた終えたHAYATO(ドラム)は、
「みんな、無理しないでね。もうちょっとでスター(フルカワユタカ)出てくるからね」
と激しい雨の中で待ってくれているファンに優しい言葉をかけてくれる。再結成してから初めての、実に10年以上ぶりのフェスでのDOPING PANDAのライブである。
至って普通の出で立ちでメンバーがステージに現れると、なんとさっきまで豪雨だったのが見事に止むというMIRACLEを起こしたことによって「YA YA」から思いっきり踊りまくることができるのであるが、フルカワユタカ(ボーカル&ギター)は
「俺のとこ来ないか?」
と氣志團万博だからこそのフレーズも入れ込んでくるあたりの反射神経とサービス精神はさすがロックスターである。
さらには曲の中で抑揚というかアップダウンをより強くつけた「The Fire」と続くのであるが、その曲間なしで繋がっていく様はかつての無限大ダンスタイムを彷彿とさせるし、それが今のライブならではのアレンジにも表れている。ただ昔の代表曲を演奏するのではなくて、こうして今の形にアップデートしているというあたりにこうして再結成してフェスに挑んでいるバンドの熱意を感じざるを得ない。
「2012年にこのフェスが今みたいな形になって。俺たちは2012年に解散したから、一回も出れなかった。同世代で同じレーベルにいた氣志團のことをずっと凄いなと思ってたし、このフェスにも出たかったなと思ってた。
でも昨日からこのフェスの様子を見ていたら、フジファブリックが氣志團のカバーをしたりとか、オーラルが学ラン着てライブやったとかっていうのも見えて。俺たちも何かやらなきゃいけないんじゃないかと思ったんだけど、結局何にも思い付かなかった。でもそれでいいんだと思った。氣志團もそういうことをやるために俺たちを呼んだんじゃないだろうし。って言ってたら向こうに虹が出てきた(笑)」
とフルカワが指差した先には本当に虹がかかっていた。さっきまで豪雨だったとは思えないくらいの光景が見れているのは、このフェスがDOPING PANDAがやって来るのを喜んで迎え入れているかのようですらあった。
そんな奇跡のような光景を見ることができた後にはタロティことTaro Houjo(ベース)がリズムだけではなくてデジタルなダンスサウンドまでも操る「Hi-Fi」から口にせずとも無限大ダンスタイムのように際限なく観客は踊りまくり、それはかつてCMタイアップとしてヒットした夏の野外、しかもこうして晴れた空が似合う「beautiful surviver」へと続いていく。フルカワは少しボーカルがキツそうなところもあったけれど、間奏ではやはりロックスターを自認するだけはあるなという見事なギターソロを決めてみせる。
そんなフルカワはさらに我々を踊らせるべく、
「行こうぜ、ピリオドの向こうへ!」
と氣志團への感謝を込める言葉を口にして「Transient happiness」を演奏して、こんなにも踊らせまくるとは、というくらいに我々をノンストップで踊らせる。このキラーチューンの連打に次ぐ連打っぷりは解散から10年経って活動再開したフェスという場だからこそ、自分たちなりのフェスの戦い方、自分たちがフェスで何をするべきかということがわかったのかもしれない。奇を衒ったパフォーマンスをしなくても、ただただドーパンのど真ん中を今の3人で鳴らすのが自分たちがやるべきことだとわかったかのような。
だからこそ最後に演奏されたのはやはり「MIRACLE」だった。Hayatoとタロティによるコーラスではついつい合わせてそのコーラスを口にしてしまいそうになる。それくらいに今でも見ている我々の衝動を掻き立てるようなライブを今のドーパンがしているということだ。1曲の中で緩急を強くつけるというアレンジだからこそ、フルカワの間奏でのギターソロにより熱狂させられる。ライブが終わる頃にはさっきまでの豪雨はなんだったのかと思うくらいに爽やかな空が広がっていた。10年以上ぶりにフェスで見たドーパンのライブはやはりMIRACLEを起こしてしまったのだった。
もしかしたら、かつて何万人をも動員してその全員が踊りまくっていたような光景にはならないかもしれない。きっとこのバンドの存在すら知らないような若い人だって今のフェスにはたくさんいるから。知らないバンドはスルーされても仕方がないというのはベテランバンドのフェスの宿命とも言える。どんなに素晴らしい復活アルバムをリリースしていたとしても。
でももう見れないと思っていたあの熱狂のダンスフロアがまた帰ってきた。それだけは揺るぎない事実だし、きっとまたこれから先いろんな場所でこのバンドのライブを見ることができるようになるはず。そう考えるだけで楽しいし、ライブに行くのをやめなくて良かったなと思う。あの最高に楽しかった思いをまたこれから何度だって体感することができるのだから。この日の、あらゆるフェスの記憶を思い出してしまうライブももちろんそういうものだったのだ。
1.YA YA
2.The Fire
3.Hi-Fi
4.beautiful surviver
5.Transient happiness
6.MIRACLE
17:20〜 Def Tech [MOSSAI STAGE]
DOPING PANDAとはまた形は違うけれど、こちらも一度解散してから再結成したグループである。その解散前の風速はドーパン以上にポップシーンを塗り替えてしまっていた、Def Techが夕方の海の近くのステージという最高に似合う場所とシチュエーションで出演。
アコギとキーボードという3人のサポートメンバーによるバンドの前にMicroとShenが並ぶと、その姿はかつての大ブレイク時と全く変わっていないようにも見えるが、長身のShenはタトゥーが増えたようにも見える中、「Catch The Wave」のまさに波の音などが入ったアコースティックな感触が強いサウンドが心に染み入る。2人のラップとボーカルも実に滑らかであり、サウンドも相まって実に心地良い。
そのサウンドはどこか心に平穏をもたらしてくれるというか、サーフミュージックとはこんなにも争いなどのトゲトゲしい感情を心から消し去ってくれるのかと思う。それは2人の人間性によるものでもあるのだが、かつては仲違いをして解散したと言われていた2人が顔を向け合って呼吸を合わせるようにしてラップをし、歌を歌っている。一度離れたからこそ見えたものがきっとあったのだろうし、この2人のコンビネーションあればこそこうしてこのグループが大ヒットした名曲を世の中に生み出すことができたんだろうなと思う。実はDJ OZMAの音楽の元ネタになっていたと綾小路翔が語るのもよくわかるのであるが、もうDJ OZMAは別人という設定はどこかに行ったのだろうか。
するとMicroは
「THE FIRST TAKEバージョンで」
と言うとShenと向かい合ってタイミングを合わせるようにしてあのサビの歌い出しを歌い始め、2人の高音と低音が重なる。このグループの存在を世に知らしめた大ヒット曲「My Way」で、観客も当然腕を上げてこの曲を聴くことができたことを喜んでいるのだが、やはり今でもこの名曲は色褪せることはないし、曲名に名前が入っているこの曲はこの2人だから歌うことができる曲だ。大ヒットからもう15年くらい経つが、今になってこの曲をこうしてライブで聴いて、そこからいろんな感情が湧いてくることになるとは思いもしなかった。
ハワイのイメージが強いグループであるが、実はMicroは千葉と蒲田のハーフであるという紹介も親近感が生まれるけれど、もしかしたらこのグループのサウンドの奥底にはこの千葉の海の光景があるのかもしれないとも思った。ライブが終わっても名残惜しそうに観客と声が出せない中でもコミュニケーションを取ろうとしている2人はこれから先もずっと一緒に音楽をやっていくんだろうなと思った。
17:55〜 HYDE [YASSAI STAGE]
ソロでも毎回出演しているし、VAMPSとしてもこのフェスに出演したことがある、HYDE。この日の出演者からも多大なリスペクトを寄せられるこの男がやはり3年振りに開催されたこのフェスに帰還。
仮面をつけたバンドメンバーたちが先にステージに登場すると、先月のサマソニで見た時と同様に「LET IT OUT」を演奏しながら神輿に乗ったHYDEが登場するのであるが、その神輿が花道の最先端まで突き進んでいくというのはこのフェスならではのパフォーマンスである。
「DEFEAT」も含めて完全ラウド化したサウンドというのはこのフェスでこれまでにも示してきたことであるのだが、サマソニで口にしたマナーやルールについての言葉が話題になったようにこの日も
「声を出したりできないかもしれないけれど、その場所は君たちが3年かけてコロナから取り戻したものだ。有効に使え!」
と、安全かつ安心なライブを継続してきたからこそ国や自治体に認められて実証実験ができるようにもなったこの男だからこそ強い説得力を感じさせる言葉はこの日も健在。やはりカメラ目線でそうして話すHYDEの姿はどこか可愛いと思ってしまいがちであるけれど。
さらに「MAD QUALIA」では、
「俺が本気だと思った人だけ拍手をくれ!」
と言ってステージに立てた台の上に立つ。完全に本気でしかないし、その本気はこれからの音楽、ライブシーンのためにという思いを含んだ本気だということがわかるからこそ、より強く大きな拍手を送りたくなるのである。
そうしてラウド化したサウンドの中でHYDEの妖艶な歌声が響くバラード「THE ABYSS」がさすが盛り上げるだけではないライブができる、浸らせることができるくらいに強い世界観を持ったベテランだなと思わせると、ここで自身が提供した「GLAMOROUS SKY」のラウド・パンクサウンドカバーで会場を沸かせ、ステージの左右に動き回りながら歌うHYDEの姿は全くベテランに見えないくらいに若々しいし、やはりこうした誰もが知っている大ヒット曲を持ってるのは本当に強い。全然曲知らないけどとりあえず見ておくかくらいの人を巻き込むことができるからである。
するとこの日に自身にラブコールを送っていたももいろクローバーZのライブを見ていて衝撃的だったということを語り、
「こんな曲だったな…」
と言うとなんとももクロ「ココ☆ナツ」を歌い始める。しかも次第にバンドメンバーの音が重なってHYDEだからこその暗黒ラウドバージョンになるとHYDEもドラムセットのバスドラの上に立って振り付けをしながら歌うというとんでもないサプライズ。レジェンドであるにもかかわらずHYDEにどこか可愛らしさを感じてしまうのはきっとこういうところである。
そんなサプライズで湧き上がった客席をさらに楽しませてくれるのは湘南乃風のお株を奪うかのようなタオル回しが行われ、さらにその場でグルグル回るというコロナ禍だからこその楽しみ方が今だからこそのものとしてより一層楽しみになる「6 or 9」から、ラストはやはり「MIDNIGHT CELEBRATION II」で混沌を表現するかのようなラウドかつハードな音がこの袖ヶ浦を支配するとスクリーンには「THE END」の文字が浮かび上がった。今やHYDEはラウドバンドが数多く出演するこのフェスの元締め的な存在になっていると言っていいのかもしれない。
HYDEは少し前まであれだけ豪雨だったこの日に
「僕が出ると雨降らないんです」
と言っていた。その通りに本当に雨が降らないというのはやはりこの男は何か選ばれた力のようなものを持っているのかもしれないし、このフェスをこれからも晴れさせ続けて欲しいと思う。
1.LET IT OUT
2.DEFEAT
3.MAD QUALIA
4.THE ABYSS
5.GLAMOROUS SKY
6.ココ☆ナツ
7.6 or 9
8.MIDNIGHT CELEBRATION II
18:40〜 ROTTENGRAFFTY [MOSSAI STAGE]
紹介VTRで綾小路翔が
「なんで10-FEETとこんなに違うんだろう?(笑)」
と言いながら、かつてTAKUMAが盗難被害に遭った時に角材を手にして自主的に検問をして犯人を探していたというNOBUYA(ボーカル)の凶悪エピソードが語られた、ROTTENGRAFFTY。3年前に続いての出演である。
3年前はカラーのスーツを着て登場したが(翌日に10-FEETのメンバーがそれを着まわしていた)、この日は全員がカラーのジャージを着て登場するというこのフェスだからこその衣装で、やはりNOBUYAは角材を持って顔にヤクザ的なペイントまで施しているという気合いの入りっぷり。本人たちもこの設定を心から楽しんでいるのがよくわかる。
「これが俺たちの切り札ー!」
とNAOKIが叫んで「切り札」からスタートするというのはその高いテンションがそのまま現れているということであるが、KAZUOMIがライブに参加できなくなったことによって当初はKAZUOMIの弾く音源を同期で流していたのがサポートギタリスト(しっかりリーゼントヘアになっている)が加わったことによってやはりライブ感が増している。サポートということもあってかKAZUOMIのようにアクションを大きく取ることはないが、実に重要な役割を担っていると言える。
この時間には雨も止んでいたので、それを見越しての選曲だったのかと思うような「夕映え雨アガレ」ではHIROSHI(ドラム)の連打するビートが実に速くそして強い。紹介VTRで綾小路翔は「西と東の抗争再び」と言っていたが、まさに抗争を繰り広げているかのような激しいサウンドが鳴らされている。
「氣志團刑務所から来ました!」
と収監されていたことを口にしたNOBUYAの挨拶もこのフェスだからこそのもので、実際にNAOKIも
「氣志團万博だけのROTTENGRAFFTY」
と口にしていた。それを見ることができているというのは本当に幸せなことである。
タイトル通りにデジタルなサウンドを取り入れたダンサブルな「D.A.N.C.E.」では一度座らせてから一気にジャンプさせるというパフォーマンスによって観客をさらにぶち上げてくれるのであるが、こうした楽しみ方をしているとモッシュやダイブがなくても充分に楽しいし、先日のフェスに出演した際にダイブを止めさせたというのも自分たちがそれがなくても楽しませることができるということをわかっているのだと思う。
さらには手拍子が鳴り響く「THIS WORLD」とキラーチューン中のキラーチューンが続くと、NOBUYAとNAOKIはイントロのキメで思いっきりハイジャンプをし、このステージのトリにふさわしい衝動を炸裂させるライブになっていく。
そんな中でこのバンドのユーモア溢れる京都人っぷりが伝わってくる「響く都」のサウンドに合わせて観客が腕を左右に上げることで少しほっこりとした気分になるというか、抗争の間のブレイクタイムというような感じになると、ラストはやはり「金色グラフティー」なのであるが、この曲の入りの
「お前が見てる世界は」
というNAOKIのフレーズも
「俺のとこ来ないか?」
という氣志團のフェスだからこそのものに変化し、侑威地(ベース)はKAZUOMIがそうしていたように観客に向かって「違う!もっと!」とばかりに両腕を高く突き上げる。その熱演っぷりはライブハウスのバンドとしての底力を示すようなものだったからこそ、
「俺たちいつでもライブハウスにいるんで。またライブハウスで会いましょう!」
と、実は他のフェスより聴く機会が少ないセリフを口にしたのだ。
去り際にNOBUYAは
「これで氣志團刑務所から釈放ってことでいいですかね!」
と言っていたが、その刑務所の中にいたら毎年このフェスに出れるのであれば、ずっと収監され続けて欲しいと思うくらいに、この日の個人的ベストアクトはGEZANかこのバンドだ。
1.切り札
2.夕映え雨アガレ
3.D.A.N.C.E.
4.THIS WORLD
5.響く都
6.金色グラフティー
19:15〜 聖飢魔II [YASSAI STAGE]
この日のトリは聖飢魔II。かつてもこのフェスに出演しているが、35周年を記念した活動がコロナで延びてしまったことによって、37年目にして35年を祝う活動をすることに。10万歳を超えるデーモン小暮(ボーカル)を筆頭にダントツで今年のこのフェスの最年長出演者である。
先に完全に聖飢魔IIでしかない白塗りとコスチュームを着たメンバーがステージに登場すると、黒子スタッフが棺を引っ張って現れ、スモークが充満する棺の中からデーモン小暮が出てくるという悪魔ならではの降臨の仕方によって「創世記」からスタートすると、テレビ番組のコメンテーターとして話しているデーモン小暮の声とは全く違う超ハイトーンなハードロックボイスを響かせる。これはテレビのイメージしかないような人は間違いなく驚くと思う。それくらいにあまりにも歌が上手すぎる。
それはデーモン小暮の歌唱力だけではなくてメンバーの演奏もそうであり、背中にツノのような飾りをつけたゼノン石川和尚が後ろでしっかりとリズムを支え、ライデン湯沢殿下のドラムは機材と体が一体化しているかのように、意識だけで腕が動いているかのようにタイト極まりない。見た目からして常人ではないのだが、演奏の腕前も常人ではない。
何よりもSgt. ルーク篁III世参謀とジェイル大橋代官のギターの凄まじさたるや。ハードロックとはかくあるべしという演奏力をまざまざと見せつけてくれるし、それはこの出演者の中でレジェンドではありながらもなぜこのバンドがトリを務めているのかという理由になっている。
それは「見た目はイロモノでキャラクターもコミカルだけど実は音楽がめちゃくちゃしっかりしていて、演奏がとてつもなく上手い」というこのバンドのスタンスが確かに氣志團と通じるものであるということを示してくれる。だからこそ紹介VTRで綾小路翔もこのバンドのことを「目指すべき存在」と口にしたのだろう。
この袖ヶ浦に幼少期に潮干狩りによく来ており、まだキャッチ&リリースという概念もなかった時代なだけについつい貝を取りすぎて親に怒られていたというバンドの設定的に大丈夫なのかそれはというMCでこの場所への身近さを感じさせてくれると、このコロナ禍で逆に時間が出来たことによって生まれたというリリースされたばかりの最新アルバム「BLOODIEST」からは壮大な歌唱とメロディによる「LOVE LETTER FROM A DEAD END」が披露されて35年を超えてもなお前に進んでいるバンドの姿勢を改めて示すと、デーモン小暮が猟奇殺人者である曲のストーリーを口にしてから演奏された「JACK THE RIPPER」ではデーモン小暮が
「お前を…殺す!」
と連呼しながら、やはりギター2人が前に出てきて速弾きしまくる。改めてこんなに凄まじい演奏力を持ったメンバーが集結したとんでもないバンドだと思わざるを得ない。
するとデーモン小暮は
「深い森の中に小さな館があり、そこからは毎夜女性の叫び声が聞こえるとか聞こえないとか…」
と前フリをするのはもちろん「蝋人形の館」であるのだが、その決め台詞である
「お前も蝋人形にしてやろうか!」
はコロナ禍であるが故に
「今年いっぱいは声を出せない体にしてやろうか!いや、もうなってるのか…」
に変化して曲はシリアスなのに我々を爆笑させてくれる。しかもこの曲では聖飢魔IIというよりはKISSのようなメイクと衣装に着替えた氣志團改め鬼死團と、やはり小悪魔的な(どちらかというとBABYMETAL的な)メイクを施したももいろクローバーZ改め血の色クローバーマッドも賑やかしとして登場してコラボするのであるが、曲終わりに喋ろうとする綾小路翔に
「團長、事前の打ち合わせではここではフリートークはしないということだったが…」
とデーモン小暮が返してそそくさとステージから去ると、ラストの「FIRE AFTER FIRE」ではデーモン小暮の悪魔だからこその火吹き芸のために火を持ってくる役を氣志團が務め、やはりももクロの3人も加わっての大団円へ。
全員がステージの花道を進むと、前回の聖飢魔IIの出演時にデーモン小暮から直伝された倒立歌唱を百田夏菜子が見せ、綾小路翔は
「お前も16年間くらいNHKを出禁にしてやろうか!」
と観客に言って爆笑を誘う。そんな綾小路翔に
「NHK出たいの?」
と問いかけたデーモン小暮がフィナーレの花火のカウントダウンを行うのであるが、そのカウントダウンを100秒前から行おうとして綾小路翔に
「閣下!だいぶケツカッチンでございます!」
とツッコミを入れられる姿は、氣志團が目標にするのもよくわかるくらいに面白いおじさんでありながらカッコいいバンドマンであった。
雨が強くて心が折れかけそうになる瞬間もあったけれども、こうして最後までたどり着いて本当に良かったなとその花火を見ながら思っていた。
1.創世記
2.WINNER!
3.SAVE YOUR SOUL
4.LOVE LETTER FROM A DEAD END
5.JACK THE RIPPER
6.蝋人形の館
7.FIRE AFTER FIRE